
作成日時 2026年8月14日 7時50分
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
8月14日〜21日の米国株式市場は、大型指標を通過し、上昇の持続力そのものが問われる週になりそうです。上値余地の見方はプロの間でも分かれていますが、以下では材料を整理していきます。読み進めながら「自分はどの材料を重く見るのか」を意識していただくと、週明け以降の値動きへの向き合い方が変わってくるはずです。
予想レンジ:7,650〜8,050ポイント
SP500見通し|7,620ポイント突破で局面転換、米国株の焦点は8,000ポイントへ
SP500はこれまで上値を抑えていた7,620ポイント付近を突破し、8月13日には一時7,810ポイント台まで上昇しました。局面は「最高値を更新できるか」から、7,800台を維持して8,000ポイントへ向かえるかを見る段階へ移っています。
今回の上昇を支えているのは、企業業績の底堅さに加え、インフレ鈍化によって米金利上昇への警戒が後退していることです。7月の消費者物価指数(CPI)が市場予想に沿った内容となり、9月FOMCでの利上げ織り込みは約40%まで低下しました。生産者物価指数(PPI)も横ばいにとどまり、利上げ観測はさらに後退しています。AI関連を中心とする設備投資や企業利益への期待が続くなか、米長期金利が株高を妨げなければ、8,000ポイントは十分に射程圏に入ります。
ベースシナリオは、上昇基調が維持され、7,800台での値固めを経て8,000ポイントをうかがう展開です。判断を分けるのは、個人消費の底堅さと金利低下が両立するかどうか、という一点になるとみられます。そこで次に、その確認材料となる米経済指標を絞って見ていきます。
米経済指標はここだけ確認|消費は金利低下に反応したか
米小売売上高|コアの戻りが最大の焦点
14日の米小売売上高が、この週で最も見逃せない数字です。市場予想は前月比+0.3%、コア+0.2%。見どころはコアが前月のマイナスから素直に戻るか。金利上昇が一服し、CPIも鈍化するなかで消費が持ち直していれば、今回の上昇に実体面の裏づけが加わります。
米小売決算|消費の実像と企業側の見通し
ホーム・デポ(18日)、ターゲット・ロウズ(19日)、ウォルマート(20日)と続く決算では、企業が示す通期見通しを上方修正できるかが焦点です。統計より生々しい消費の実態が、ここに表れます。
米PMI速報|インフレ鈍化に持続性はあるか
21日の8月PMI速報は総合指数よりサービス部門の販売価格指数です。ここが落ち着いていれば、消費を支えてきた金利低下に持続性があると判断できます。なお20日にはFOMC議事要旨(7月28〜29日会合分)が公表されますが、雇用統計・CPIより前の会合であり、それほど重視されない可能性があります。
指標と決算がSP500に波及する3つの経路
ここからは、これらの材料が株価指数にどう伝わるのかを整理します。
消費の底堅さが確認され、米金利も落ち着いた場合、インフレ鈍化と景気の底堅さが両立する構図が固まります。8,000ポイントの突破が現実味を帯び、買い持ちの方にとっては最も素直に含み益が伸びやすい組み合わせです。
消費が強すぎて、金利上昇を招いた場合は、業績が良好でも株価の割高感が意識されやすくなります。ただし、これは景気の強さを背景とした金利上昇であり、上昇基調そのものを崩す性格のものとは考えにくく、押し目形成にとどまる可能性があります。
小売決算が振るわず、消費の減速が示された場合は、金利が低下しても株価が素直に反応しにくくなります。企業側の先行き見通しが慎重なら景気後退懸念が意識され、指数は7,700ポイント前後まで値を消す展開が想定されます。高値圏で買い持ちを抱えている場合、最も警戒したいパターンといえます。
SP500のテクニカル分析|移動平均線とRSIで見る支持帯と予想レンジ
ここまでの材料を、どの水準を目安に判断すればよいかに置き換えていきます。

SP500は最高値を更新し、25日移動平均線が7,580ポイント付近、50日移動平均線が7,530ポイント付近、100日移動平均線が7,340ポイント付近と、期間の短いほうから順に上から並び、いずれも上向きです。上昇トレンドの形状は崩れていません。
14日の相対力指数(RSI)は70台前半。買われ過ぎの目安とされる70を上回りますが、強い上昇局面では70台に張り付いたまま値を伸ばす場面も珍しくありません。価格が高値を切り上げる一方でRSIが切り下がる形になった場合に、勢いの鈍化として注意したいところです。
上値メドは8,000ポイントの節目
上値のメドは心理的節目の8,000ポイントで、これを明確に上抜ければ8,050ポイント近辺までの上昇余地が意識されます。
下値メドは7,600〜7,620ポイントの支持帯
すでに上昇ピッチは速く、7,800ポイント割れが直ちにトレンド転換を意味するわけではありません。7,700ポイント前後までの調整なら、高値圏での値固めの範囲と考えられます。
判断の分かれ目は、これまで上値抵抗となっていた7,600〜7,620ポイント付近です。上抜け後は支持帯に転換しやすい水準で、すぐ下には25日線・50日線も控えています。ここを明確に割り込むかどうかが、買い持ちの方にとっては見方を切り替える目安に、売り持ちを検討する方にとっては戻り売りの成算を測る目安になります。
SP500の視点と戦略、シナリオの組み立て方
筆者のメインシナリオは、7,800台での値固めを経て、8,000ポイント突破をうかがう展開です。8月14〜21日の予想レンジは7,650〜8,050ポイントとみています。
もっとも、これはあくまで一つの見方にすぎません。金利低下と業績の追い風を重く見るか、上昇の速さそのものを警戒材料と見るかで結論は変わります。ご自身がどちらの材料に比重を置くかを決めたうえで、上記の修正条件を「見方を切り替えるきっかけ」として使っていただくのが実用的かと思います。
【あなたの見通しは?】
①上昇シナリオ:消費の底堅さが確認され、金利低下も続いてSP500は8,000ポイントを突破する
②ベースシナリオ:7,800台での値固めが続き、8,000ポイントを視野に入れながら高値圏を維持する
③下落シナリオ:強すぎる指標やタカ派的なFOMC議事要旨で金利が上昇し、7,700ポイント前後への調整を挟む
今後の重要イベント
- 8月14日(金)21:30 米国 7月小売売上高
- 8月14日(金)23:00 米国 8月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報
- 8月17日(月)21:30 米国 8月ニューヨーク連銀景気指数
- 8月17日(月)23:00 米国 8月NAHB住宅市場指数
- 8月18日(火)21:30 米国 7月住宅着工件数・建設許可件数
- 8月18日(火)22:00 ホーム・デポ決算説明会
- 8月18日(火)22:15 米国 7月鉱工業生産指数
- 8月19日(水)21:00 ターゲット決算説明会/22:00 ロウズ決算説明会
- 8月19日(水)27:00 米国 FOMC議事要旨(7月28〜29日開催分)
- 8月20日(木)20:00 ウォルマート決算発表(21:00説明会)
- 8月20日(木)21:30 米国 新規失業保険申請件数
- 8月20日(木)23:00 米国 7月景気先行指数
- 8月21日(金)22:45 米国 8月製造業・サービス部門PMI・速報
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