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FX/為替「米雇用統計NFPは2.3万人減、時間給も伸び鈍化|次回の下方修正に要警戒」 2026年8月10日 By 外為どっとコム総研

 

米雇用統計ふりかえり NFPは予想に反してマイナス 2026年8月

執筆日時:2026年8月10日 14時50分
執筆者:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人

2026年7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比2.3万人減となりました。市場予想は8.5万人増でしたので、市場予想とは増減の符号が逆に振れた形です。失業率は4.1%と、予想の4.2%を下回りました。

ドル円は一時156.627円まで下落し、9月の米利上げ観測も後退しました。唯一改善したように見える失業率も、労働参加率の低下を伴っており、額面通りには受け取りにくい内容です。次回のNFPは、6・7月分が今月に続き下方修正されるのか市場は早くも警戒しています。最大の焦点となっています。

ドル円チャート 5分足 2026年6月 米雇用統計発表時の値動き

※チャート:ドル/円-5分足 外為どっとコム「ネオチャート

過去分の下方修正が示す米労働市場の減速

NFPの2.3万人減もさることながら、目を引くのは過去分の修正です。5月分は12.9万人増から6.3万人増へ、6月分は5.7万人増から2.0万人増へ、合計10.3万人分が引き下げられました。前回6月分の発表時も下方修正が続いており、春先に見えていた雇用の勢いは、実際にはかなり細っていたようです。

失業率の低下は労働参加率の低下が主因

失業率は4.2%から4.1%へ低下しました。ただ、労働参加率は61.4%と2021年2月以来の低水準です。労働力人口が26.4万人減少したことが失業率低下の一因であり、労働需給が改善した結果とは読みづらいところです。一般論では労働供給が減ると賃金上昇圧力が強まりますが、今回のデータを見る限り、その傾向は確認できません。

平均時給は前月比+0.1%、賃金インフレ圧力は後退

平均時給が前月比+0.1%上昇と、予想の+0.3%に届かなかったためです。前年同月比も+3.2%上昇と、予想の+3.5%を下回りました。賃金面からのインフレ圧力は、前回よりも明確に和らいだといえます。

9月FOMCの米利上げ観測が後退した理由

前回6月分では、失業率の低下と平均時給の底堅さが支えとなり、弱いNFPでも利上げ観測が残りました。今回はその支えの一方、賃金の側が外れました。

FedWatchの利上げ確率は58%から44%へ低下

CMEのFedWatchでは、9月FOMCでの利上げ確率が発表直後に58%から44%へ低下し、7日夕方には据え置き確率が6割近くまで上昇しました。前日まで利上げが優勢でしたので、市場の見立てが1日で入れ替わったことになります。

フォワードガイダンス廃止で、指標の重要性が増す

7月FOMCでウォーシュFRB議長が政策金利の先行きについて明確な手掛かりを示さなかったため、今回の雇用統計はFRBの政策反応を探る試金石とみられていましたが、弱い結果を受けて9月利上げ観測は後退しました。

政策の道筋を当局の説明ではなく指標そのもので測る局面に入っており、8月12日の米消費者物価指数(CPI)への注目度も一段と高まりそうです。

米雇用統計発表当日の市場反応|ドル円・米国株・金

為替市場:ドル円は156円台へ下落後に157円台へ戻す

ドル円は発表直後に156.627円まで下落しました。その後は下げ渋り、NY終値は157.77円と、前日比0.65円程度の下落にとどまっています。7月末以降の円買い介入で既に円高方向へ大きく動いていたため、材料に対する反応が鈍かったようです。

株式市場:米長期金利の低下でS&P500は最高値を更新

米株は上昇しました。利上げ観測の後退で米長期金利が低下したほか、好決算を発表したソフトウエア・半導体関連への買いが指数を押し上げました。

  • ダウ平均 前日比:+0.28%(+151.83ドル)の54,036.93ドル
  • ナスダック総合 前日比:+1.30%(+342.26ポイント)の26,690.62ポイント
  • S&P500 前日比:+0.62%(+47.68ポイント)の7,757.64ポイント(終値ベースの最高値を更新)

金市場:ドル安と金利低下でスポット金が急伸

金は大きく上昇しました。利上げ観測の後退、米金利低下、ドル安が追い風となり、スポット金は一時3%超上昇しました。米金先物は2.3%高の4,399.70ドルで取引を終え、週間では7%超上昇し、約7カ月ぶりの大幅な上昇となりました。

今後の焦点|8月CPIと9月の米雇用統計

労働市場の減速は数字で確認されました。一方で、失業率の低下やホルムズ海峡を巡る協議進展など、方向感を曇らせる材料も同居しています。9月FOMCまでには8月12日の7月CPI、9月4日の8月雇用統計、9月11日の8月CPIが控えており、その都度織り込みが振れる展開が想定されます。

次回発表では、8月分の数字に加えて6月分・7月分がどこまで下方修正されるかも焦点になりそうです。マイナスとなった7月分がさらに下振れするようなら、労働市場の弱まりは基調のものと受け止められ、FRBの姿勢にも影響しかねません。ドル円については、介入警戒が上値を抑える構図も引き続き意識されそうです。

株価指数・商品CFDチャート
※チャート:左上から横に米国S&P500、米国DJ30、日本N225、金スポット、5分足
 外為どっとコム「株価指数・商品CFDチャート

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米雇用統計の予想と戦略(先行記事へのリンク)

 
外為どっとコム総合研究所
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。