
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野直人
執筆日時 2026年8月7日 17時00分
日米協調介入の影響が残るなか、ユーロ円とポンド円は週初に下押しした後、週後半にかけて反発しました。ユーロ圏の物価指標や英国の金融政策スタンスが支えとなる一方、来週は米CPIを中心に海外金利と円安けん制が相場を左右しそうです。本稿では、今週の値動きの背景、来週の主要指標の注目点、欧州・英国の政策姿勢、そしてテクニカル分析による予想レンジを解説します。
予想レンジ:ユーロ円 181.00~185.00円
予想レンジ:ポンド円 211.00〜216.00円
ユーロ円とポンド円、下値拡大後に急反発
2026年8月3〜7日のユーロ円・ポンド円は、週初に日米当局による円買い介入の影響で大きく下落した後、週後半にかけて持ち直しました。7月30日に日本が単独で円買い介入を実施し、翌31日には米財務省も円買いに動いたことが週初に明らかとなる中、両通貨とも下値を探りました。ただし、その後は追加介入が見られず円買いの勢いは徐々に後退。ユーロ円は、7月のユーロ圏消費者物価指数の加速を受けたECBの追加利上げ観測も支えにして、182.60円台まで戻しました。一方、ポンド円はドル円が158円台へ戻したことも手伝って、213.30円付近まで水準を回復しました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
ユーロ円の見通し(2026年8月10日~8月14日)
7月のユーロ圏消費者物価指数は前年比+2.9%、エネルギーと飲食料を除いた指数が+2.5%、サービス価格が+3.3%と、インフレの粘着性は残っています。4〜6月期GDPも前期比+0.4%増と成長が持ち直しているため、市場は9月10日の理事会での利上げをほぼ織り込んでいます。欧州の地下ガス貯蔵率が例年を大きく下回っていることも、冬場のエネルギー価格上昇リスクを意識させ、ECBの利上げ観測を支える材料となっています。
ただし、ラガルドECB総裁はエネルギー価格上昇の二次的効果の兆候は見られないとの認識を示しており、賃金への波及はまだ確認されていません。原油価格や8月の物価指標次第では、利上げ期待が後退する余地も残っています。
来週は12日の独CPI、13日のユーロ圏鉱工業生産、14日のユーロ圏4〜6月期GDPが並びますが、相場の中心は同じ12日の米CPIになりそうです。米CPIが上振れた場合、ドル高はユーロの重しになる一方、米金利上昇による円安はユーロ円を支えるため、方向感が定まりにくくなりそうです。ただ、円安が再び加速すれば、日米協調介入への警戒が強まり、急な円高には注意が必要です。
ユーロ円テクニカル分析
ユーロ円は日足では、187.47円付近から179.37円まで急落した後、182円台半ばまで反発しています。ただ、200日移動平均線(183.78円)を下回っており、戻り基調ながら上値の重さは残ります。25日線(184.90円)と75日線(184.95円)が重なる185円前後は、強い抵抗帯になりそうです。
売買面では、183.78円を回復できれば185.00円付近までの戻り余地があります。一方、182円を割り込むと181.00円が次の下値目安です。183.80円を反発継続の分岐点、185.00円を上値の壁として見たい局面です。
【ユーロ円チャート 日足】

ポンド円の見通し(2026年8月10日〜8月14日)
7月30日に結果が公表されたMPCでは、6対3で政策金利が3.75%に据え置かれ、ピル・グリーン両委員に加えてマン委員も4.00%への利上げを主張しました。ただ、ベイリー総裁は会見で、英中銀が利上げに近づいていると市場が受け止めるべきではないと述べており、その後、市場の早期利上げ観測は後退し、足元では次回利上げの完全な織り込みは2027年2月まで後ずれしています。
しかし、インフレ率が6月の2.6%から年内に3.2%へ上昇するとみており、秋に向かって物価が素直に落ち着く前提は置きにくい状況です。
来週の最大の材料は、13日発表の4〜6月期GDP速報値と6月の鉱工業生産です。英国景気は減速が見込まれるものの、インフレが再び高まるとの見通しもあり、英中銀が早期の利下げに転じる状況ではありません。一方、総裁の発言を信じるなら、現時点では利上げ期待だけでポンドの上値を追う展開にもなりにくそうです。
ポンド円テクニカル分析
ポンド円は219.61円付近から209.55円まで急落した後、213円台まで反発しています。200日移動平均線(211.88円)を回復し、14日RSIも38.8まで持ち直していますが、75日線(214.85円)と25日線(216.45円)が上値を抑えそうです。
売買面では、211.88円を維持できれば214.85円付近までの戻り余地があります。ただし、215〜216円台は戻り売りが出やすいでしょう。一方、211.88円を割り込むと211.00円、さらに209.55円への下押しに注意が必要です。212円前後を下値の攻防ライン、214.85〜216.00円を上値抵抗として見たい局面です。
【ポンド円チャート 日足】

2026年8月10日〜8月14日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 8月11日(火)
- 23:00 アメリカ 7月中古住宅販売件数
- 8月12日(水)
- 15:00 ドイツ 7月消費者物価指数(CPI、改定値)
- 21:30 アメリカ 7月消費者物価指数(CPI)
- 8月13日(木)
- 08:01 イギリス 7月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数
- 08:50 日本 7月国内企業物価指数
- 15:00 イギリス 4-6月期四半期国内総生産(GDP、速報値)
- 15:00 イギリス 6月月次国内総生産(GDP)
- 15:00 イギリス 6月鉱工業生産
- 15:00 イギリス 6月商品貿易収支
- 15:00 イギリス 6月貿易収支
- 18:00 ユーロ 6月鉱工業生産
- 21:30 アメリカ 7月卸売物価指数(PPI)
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 21:15 アメリカ クリーブランド連銀総裁、発言
- 21:40 アメリカ リッチモンド連銀総裁、発言
- 8月14日(金)
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 15:45 フランス 7月消費者物価指数(CPI、改定値)
- 18:00 ユーロ 4-6月期四半期域内総生産(GDP、改定値)
- 18:00 ユーロ 6月貿易収支
- 21:30 アメリカ 7月小売売上高
- 23:00 アメリカ 6月企業在庫
- 23:00 アメリカ 8月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
関連記事
- ユーロ円 ポンド円見通し:円急騰後の反発余地を探る ハロンズFX 2026/8/1
- ユーロ円 ポンド円見通し:ECB利上げ観測とBOEの慎重姿勢 ハロンズFX 2026/7/25
- ユーロ円 ポンド円見通し:ユーロは中銀待ち、ポンドは政治から物価へ ハロンズFX 2026/7/18
