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【金相場見通し】ゴールド4,000ドルが底値?年内5,000ドルまで上昇余地あり!インフレ・円安の影響と中央銀行が金を買い続ける理由|池水雄一

金相場は2026年1月に史上最高値を更新した後、上値の重い展開が続いています。中東情勢の緊迫化や米国の利上げ観測などが意識されるなか、「ゴールドは今後どうなるのか?」と注目する投資家も多いでしょう。

日本貴金属マーケット協会代表理事の池水雄一氏は、現在の金価格について「上昇トレンドが終わったわけではなく、急騰後の調整局面」と分析しています。

インフレの長期化や世界の中央銀行による金買い、円安の進行などを背景に、中長期的にはゴールドを取り巻く環境は依然として良好です。池水氏は年内に5,000ドルまで上昇する可能性があるとの見方を示しています。

本記事では、池水氏のインタビューをもとに、金価格が伸び悩む理由や今後の見通し、日本人がゴールドを保有するべき理由について解説します。

【必見!】池水雄一氏の金(ゴールド)見通し動画

 

 

金(ゴールド)が上昇しない理由は「上がり過ぎ」の反動

池水氏は、現在の調整局面について「昨年までの急激な上昇の反動」が最大の要因だと指摘します。

2025年から2026年初めにかけて金価格は急ピッチで上昇しました。約40年間貴金属マーケットを見続けてきた池水氏も「これほどの上昇は見たことがない」と振り返ります。そのため現在は、利益確定売りやポジション調整が続き、相場は一服している状況です。

一方で、価格が大きく崩れる局面では押し目買いが入り、一定水準では何度も反発しています。池水氏は「4,000ドル付近は非常に強いサポートラインになっている」とみています。

中東情勢悪化で金(ゴールド)が売られた理由

ゴールドは「有事の金」と呼ばれる安全資産ですが、今回の中東情勢では株式や暗号資産とともに売られる場面もありました。

その背景には、原油供給への懸念があります。ホルムズ海峡の閉鎖されると世界経済への影響が極めて大きくなります。市場ではリスク資産だけでなく、安全資産も換金して現金を確保する動きが優先されました。

リスクオフの局面では、「まず現金を持つ」という行動が優先されるため、ゴールドも一時的に売られるケースがあります。

米利上げ観測が金(ゴールド)価格の上値を抑える

短期的に金価格の重荷となっているのが、FRBの金融政策です。

ゴールドは利息や配当を生まない資産です。そのため、米金利が上昇すると、利回りを得られる債券などへ資金が移りやすくなります。

池水氏によると、今回の調整局面ではETFや先物市場を中心に短期投資家の売りが増加しました。ただし、この売りは短期的なものに過ぎません。

市場では利上げがかなり織り込まれており、米雇用統計や米CPIが市場予想を下回れば、FRBが利上げを見送り、再びゴールドが買われる展開も考えられます。

インフレは中長期で金(ゴールド)の追い風

池水氏は、金利上昇は短期的にマイナスでも、インフレ自体はゴールドにとって強い追い風になると説明します。

インフレは、物価が上昇する一方で、通貨価値が低下する現象です。

希少性の高い現物資産であるゴールドは、通貨価値が下がる局面で資産価値を維持しやすい特徴があります。

現在は利上げ観測による売りが目立っていますが、インフレが長期化すれば、再びゴールドへの資金流入が強まる可能性があります。

中央銀行の金(ゴールド)買いが4,000ドルを支える

金相場を支えている最大の要因が、世界各国の中央銀行による継続的な買いです。

池水氏は、中国人民銀行を代表例として挙げています。

価格が高い局面では購入量を抑え、価格が下落すると買い増すなど、長期目線で保有を続けています。

中央銀行が購入した金は、市場へ戻ることがほとんどありません。

年間約3,700トンの金生産量に対し、中央銀行が年間約1,000トンを購入する状況が続けば、市場で流通する供給量は大きく減少します。

この需給構造が、4,000ドル近辺で金価格を支える要因になっていると池水氏は分析しています。

なぜ世界の中央銀行は金(ゴールド)を買い続けるのか?

2022年以降、中央銀行による金購入は急増しました。

背景にあるのが、ロシアへの経済制裁です。ロシアが保有するドル資産が凍結されたことで、多くの国が「米国債だけに依存するリスク」を意識するようになりました。その結果、BRICSを中心に米国債からゴールドへ資産を移す動きが加速しています。

ゴールドには発行体が存在せず、政治的な影響を受けにくいことから、安全資産として改めて評価されています。

通貨価値低下が金(ゴールド)価格を押し上げる

池水氏が重要だと考えているキーワードが「ディベースメント」です。ディベースメントとは、通貨供給量の増加によって通貨価値が低下する現象を指します。

1971年のニクソン・ショック以降、各国は金保有量に関係なく通貨を発行できるようになりました。経済危機が起きるたびに金融緩和や財政出動が繰り返され、世界のマネーサプライは拡大を続けています。

一方、金の生産量は年間約3,700~3,800トンと大きく増えません。

供給量が限られるゴールドは、通貨価値が低下する局面で資産価値を維持しやすく、中長期では価格上昇につながりやすいと池水氏は考えています。

円安が続く日本では円建て金(ゴールド)の価値が高まる

日本人にとっては、円建てゴールドを保有する意味も大きくなっています。

円建て金価格は、主にドル建て金価格とドル円相場の2つで決まります。ドル建て金価格が横ばいでも、円安が進めば円建て価格は上昇します。

池水氏は、日本人は給与や預金など資産の大半を円で保有しているため、「円だけを持つこと自体がリスクになり得る」と指摘します。

ゴールドは、インフレだけでなく円安リスクへの備えとしても有効な資産だといえます。

金(ゴールド)相場の今後の見通し

池水氏は、現在の金相場について「4,000ドル近辺が強い下値」との見方を示しています。

今後の焦点となるのは、米雇用統計、米CPI、FRBの金融政策です。

仮に利上げが実施されても、市場ではある程度織り込み済みであるため、大幅な下落にはつながりにくいとみています。一方、米経済指標が弱く、利上げ観測が後退すれば、再び金価格が上昇する可能性があります。

池水氏は、年内5,000ドルまで上昇する余地があると予想しています。

さらに長期的には、インフレ、中央銀行の買い、通貨価値の低下が続けば、2030年ごろには現在より高い価格水準を目指す可能性もあるとの見方を示しました。

個人投資家は積立投資を基本に

池水氏は、金投資では短期売買よりも長期での保有が望ましいと指摘しています。

価格が上昇している局面で慌てて買うのではなく、積立や下落局面での買い増しなど長期保有を基本戦略として挙げています。

また、資産配分については、株式を中心としながらも、金や銀、プラチナなどのハードアセットを20~25%程度保有する考え方も紹介しました。ゴールドは大きなリターンを狙う資産ではなく、資産全体を守るための保険という位置付けです。

現物・純金積立・ETF・CFDの違い

現物

金地金や金貨を直接保有する方法です。

発行体リスクがなく、実物資産を保有できる点がメリットです。一方で、保管場所の確保や盗難対策が必要となり、売値と買値の差も比較的大きくなります。

純金積立

毎月一定額で金を購入する方法です。

価格が高い時には購入量が減り、安い時には購入量が増えるため、購入価格を平準化しやすい特徴があります。相場を見ながら売買する必要がなく、初心者にも利用しやすい方法です。

金ETF

証券取引所を通じて、株式と同じように売買できます。

現物の保管が不要で、売買コストも比較的抑えやすい点が特徴です。金価格への連動を重視しながら、手軽に取引したい投資家に適しています。

金CFD・先物

少ない資金で大きな金額を取引できる一方、損失も拡大しやすい商品です。

FXと似た仕組みで取引できるため、FX経験者には理解しやすいでしょう。ただし、レバレッジやロスカットの仕組みを十分に理解していない初心者には注意が必要です。

まとめ|金(ゴールド)は今後も長期目線で注目

足元の金相場は、急騰後の調整局面と米利上げ観測によって上値が重くなっています。

しかし、中長期では、インフレの継続、中央銀行による金買い、世界的な財政悪化、円安の進行といった構造的な追い風は変わっていません。

池水雄一氏は、4,000ドル近辺が下値の目安となり、年内には5,000ドルまで上昇する可能性があるとの見方を示しています。

短期的な値動きに振り回されるのではなく、資産防衛の観点から長期保有を前提にゴールドを組み入れることが、今後の資産形成では重要になりそうです。

 

ikemizu.jpg 池水雄一(いけみず・ゆういち)氏
1962年生まれ兵庫県出身。1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社入社、その後1990年クレディ・スイス銀行、1992年より三井物産株式会社で貴金属チームリーダーを務める。2006年よりスタンダードバンク東京支店副支店長、2009年に同東京支店で支店長に就任。2019年9月より日本貴金属マーケット協会(JBMA)代表理事に就任。一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界各国のブリオン(貴金属)ディーラーでブルース(池水氏のディーラー名)の名を知らない人はいない。