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【ドル円見通し】日米協調介入で相場の空気が一変|155円の恐怖と158円の希望が交錯する週へ FX分析 2026年8月3日

 

2026年8月3日 ドル円 今週の見通しと予想レンジ

作成日:2026年8月3日 12時30分

対象期間2026年8月3日~8月7日

日米協調介入と原油安はドル円の上値を抑える一方、米国のインフレ率と高い長期金利はドルの下値を支えています。どちらを重く見るかで、市場関係者の見方も分かれています。結論を受け取るだけではなく、上値と下値の分岐点を確認し、ご自身のシナリオを組み立てる材料としてご覧ください。

今週のドル円の予想レンジ:154.50~158.00円

ドル円は日米協調介入で急落|163円→155円の背景

ドル円は7月30日の日本による円買い介入を受け、163.65円付近から急落しました。翌31日には米財務省も円買いに動き、日米両政府はその後、協調介入を実施したことを明らかにしています。

ドル円は7月31日に158.225円で取引を終え、8月3日のアジア市場では一時155円前半まで円高が進みました。日米当局は、過度で無秩序な円安が再び進んだ場合には追加対応を取る姿勢を示しています。

米国の円買いはユーロ売りを伴った点が焦点

今回の介入の特徴は、日米がともに行動しただけではなく、米国側の取引では、ニューヨーク連銀が米財務省に代わってユーロを売り、円を買ったと報じられている点です。ドル円だけを対象にした取引ではなかったため、円相場全体の下落を抑える意思が示されたと市場では受け止められています。

一方、これまでのドル円の上昇は円安だけが要因ではなく、米国のインフレ高止まりがドル円を支えていたことも一因です。そのため、介入警戒と原油安が上値を抑えるものの、米国のインフレ高止まりがそれを妨げる効果も期待されます。

では、その下値を支える米金利は、今週どこまで頼りになるのでしょうか。まず金融政策の現在地から確認します。

FOMCの据え置きと米長期金利|ドル円の下値を支える材料

7月29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、政策金利を3.50~3.75%に据え置きました。採決は9対3で、反対した3人は0.25%の利上げを主張しました。声明文では、経済活動は堅調に拡大している一方、インフレ率は2%目標に比べて高いとの判断が示されています。

政策金利は据え置かれましたが、3人が利上げを主張したため、早期利下げを前提にできる状況ではありません。7月31日の米国債利回りは、2年債が4.28%、10年債が4.75%でした。介入後も米長期金利が高い水準で推移すれば、ドル円の下落を抑える材料とし脚光を浴びる可能性があります。

米10年債利回りの反応がドル円の方向を左右する

その点では、米雇用指標を受けて米10年債利回りがどう反応するかが非常に大切です。雇用が強く、米長期金利が上昇すれば、ドル円の戻りをサポートしやすくなる一方、雇用が弱く、米長期金利も低下すれば、介入後の円買いと重なり、ドル円が155円割れを試しやすくなります。

日米金利差はドル円の主要材料ですが、足元では特に米長期金利の方向が判断材料になります。ただし、金利だけで説明できないほど介入の影響も大きく、単一の材料で方向を決めにくいところもあります。

要人発言と原油価格|ドル円の上値を抑える要因

また、直近の要人発言で注目しておきたいのは、次の2点です。どちらもドル円の下押し材料となります。

米財務長官のスコット・ベッセント氏は、円相場が再び無秩序に動いた場合、日米協調介入を繰り返す用意があると表明しました。日本政府も米国との連携を継続し、必要な措置を取る姿勢を示しています。

このため、ドル円が158円から160円方向へ戻る場面では、追加介入への警戒が強まりやすくなります。米金利が上昇しても、介入への警戒が上値を抑える可能性があります。

原油安がドル買い需要と米インフレ圧力を弱める経路

中東情勢では、トランプ米大統領がイランへの新たな攻撃を見送り、核問題とホルムズ海峡の再開を巡る協議を行う方針を示しました。これを受け、8月3日の原油市場では北海ブレント原油が一時6%超下落し、1バレル82.41ドルとなりました。

原油価格の下落は、日本の輸入企業が原油代金として必要とするドル買いを減らす方向に働きます。同時に、米国ではエネルギー価格を通じたインフレ圧力を弱める要因になります。

ただし、米国とイランの協議が不調に終わり、ホルムズ海峡の供給不安が再燃した場合には、原油価格が再び上昇する可能性があります。原油安を前提に固定するのではなく、協議の進展と価格の反応を分けて確認する必要があります。

もっとも、原油安がインフレ全体を押し下げるかは別の問題です。実際の物価指標を見ると、エネルギー以外の部分の粘着性が浮かび上がります。

米インフレと経済指標|CPI・PCE・GDPが示す粘着性

6月CPIとPCE価格指数はエネルギー以外の伸びが残る

6月の米消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%低下し、前年同月比では+3.5%上昇しました。食品とエネルギーを除くコア指数は前月比横ばい、前年同月比+2.6%上昇でした。エネルギー指数は前月比+5.7%低下しましたが、前年同月比では+15.7%上昇しています。

月間の物価低下は、主にエネルギー価格の反落によるものでした。コア指数の伸びは鈍化しましたが、総合指数はFRB(米連邦準備制度理事会)の2%目標を上回っています。エネルギー価格が再上昇した場合には、インフレ率が再び押し上げられる余地があります。

6月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前月比+0.1%低下、前年同月比+3.7%上昇しました。コア指数は前月比+0.1%、前年同月比+3.3%上昇しました。実質個人消費は前月比0.4%増加しており、高い物価のなかでも消費は増加しています。

4~6月期GDPは減速も民間需要は3.9%増

4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率+1.5%増と、1~3月期の+2.1%増から減速しました。ただし、個人消費と民間固定投資からなる民間国内最終需要は+3.9%増加しました。

同じ4~6月期のPCE価格指数は年率+5.1%、コア指数は+3.4%上昇しています。成長率は減速していますが、需要と物価はなお強く、利下げと利上げのどちらも簡単には決めにくい状況です。

6月米雇用統計は雇用者数の鈍化と賃金の高止まりが同居

6月の非農業部門雇用者数は前月比5万7,000人増、失業率は4.2%でした。平均時給は前月比+0.3%、前年同月比+3.5%上昇しました。また、4月と5月の雇用者数は合計7万4,000人下方修正されています。

雇用の増加ペースは鈍化していますが、賃金上昇率は依然として高い水準です。雇用者数の弱さを重視するか、賃金の粘着性を重視するかで、金融政策の見通しは分かれます。

この判断の難しさは、市場参加者のポジションと予想の分布にも表れています。

市場センチメント|円売り越しの解消が急落要因

シカゴ通貨先物(円)投機筋(Non-Commercial)2026年8月1日

シカゴ通貨先物(円)投機筋(Non-Commercial)のポジションー外為どっとコム

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、7月28日時点の投機筋の円先物ポジションは、買いが10万1,271枚、売りが26万4,683枚でした。差し引きでは16万3,412枚の円売り越しとなり、前週から売り越し幅が1万1,287枚拡大しました。

この統計は7月30日以降の介入前のポジションであるため、介入後の円買い戻しは反映していません。大きく積み上がっていた円売りが介入によって解消されたことが、ドル円の下落幅を拡大させたと考えられます。

次回のCFTC統計では、円売り越しがどこまで減少したかが焦点です。投機筋の円売りは円安を進める材料になる一方、解消時には急速な円高を起こす要因にもなります。

ドル円のテクニカル分析|158円・155円の分岐点

ドル円テクニカル分析 2026年8月1日

ドル円 日足/25日・200日移動平均線/14日RSI 外為どっと「コム外貨ネクストネオ」

日足チャートでは、ドル円は7月高値の163.988円から急落し、200日移動平均線が推移する157.97円を下回っています。200日線を下抜けたことで、157円台後半は、これまでの下値支持から上値抵抗へ変わりやすくなっています。

上値抵抗と下値支持の水準

今週の主要な上値抵抗は157.88~158.00円です。158.00円を一時的に上回るだけでなく、日足終値で回復できるかが確認点になります。

下値では、5月6日安値の155.033円付近が最初の支持帯です。155円を日足終値で割り込んだ場合は、予想レンジ下限の154.50円、その下は2月23日安値の153.997円付近が次の下値目処となります。

14日RSIは21.5と売られ過ぎ水準

14日相対力指数(RSI)は21.5と、一般的な売られ過ぎの目安である30を下回っています。下落基調ではありますが、155円付近では短期的な買い戻しが入りやすい状態です。

RSIだけで底打ちとは判断できません。長い下ヒゲや陽線など、日足で下げ止まりが確認できるかが重要です。支持線と抵抗線も、一時的な突破ではなく日足終値で確認する必要があります。

ここまで整理した材料と水準を踏まえ、筆者の見立てと、その前提が崩れる条件をお示しします。

今週のドル円戦略|戻り売りと逆張り買いの条件、ご自身のシナリオの組み立て方

ドル円のメインシナリオは、157.20~158.00円で戻りが鈍る展開を想定した戻り売りです。利益確定の第一目標は155.20~155.00円、第二目標は154.50円としています。

ただし、これは相場の正解ではなく、介入警戒と200日移動平均線を重視したベースシナリオです。158.00円を日足終値で明確に回復した場合は、戻り売りの前提を見直す必要があります。

逆張り買いを検討する場合の条件

逆張り買いは、155.00~155.30円で下げ止まりを確認した場合を想定しています。戻りの目安は156.50円、次いで157.50円付近です。154.50円を日足終値で割り込んだ場合は、153.997円方向への下落リスクが高まり、買いの前提は崩れます。

重視する材料ごとの確認ポイント

  • 介入を重視する場合|158円付近の上値抵抗を日足終値で回復できるか
  • 米金利を重視する場合|米10年債利回りの方向と、158円回復の持続性
  • 売られ過ぎを重視する場合|155円付近で下ヒゲや陽線が出るかどうか

どの材料を優先するかによって、ご自身の見立てに合わせて戦略を組み立ててください。

冒頭でお伝えしたとおり、この相場は結論が一つに定まりにくい局面です。

【あなたの見通しは?】

  • A 日米協調介入と原油安を重視し、157.88~158.00円では上値が抑えられると考える
  • B 米国のインフレと高い長期金利を重視し、158.00円を日足終値で回復する可能性を考える
  • C 米雇用統計の結果を確認するまでは方向を決めず、155.033円と158.00円のどちらを日足終値で抜けるかを見る

いずれの見方を取る場合も、判断材料が出てくるタイミングは共通しています。今週の確認ポイントは以下のとおりです。

今後の重要イベント|米ISM景況指数と7月米雇用統計

  • 8月3日(月) 23:00 米国 7月米供給管理協会(ISM)製造業景況指数
  • 8月4日(火) 23:00 米国 6月雇用動態調査(JOLTS)
  • 8月5日(水) 8:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨(6月分)
  • 8月5日(水) 21:15 米国 7月ADP雇用統計
  • 8月5日(水) 23:00 米国 7月米供給管理協会(ISM)非製造業景況指数
  • 8月6日(木) 21:30 米国 4~6月期米労働生産性・単位労働コスト速報値
  • 8月6日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
  • 8月7日(金) 21:30 米国 7月雇用統計