
豪ドル円は6月上旬以来となる114円台を回復した。23日発表の豪6月雇用統計が市場予想を大きく上回り、豪準備銀行(RBA)の追加利上げ観測が意識されている。7月27日週は29日の豪4-6月期消費者物価指数(CPI)を最大の焦点に、115円台を試すかが注目される。
●予想レンジ:113.25~115.50円
中村アナリストの豪ドル/円見通し解説動画
豪6月雇用統計は市場予想を上回る

前週の焦点だった豪6月雇用統計は、新規雇用者数の伸びが市場予想を大幅に上回り、失業率も低水準を維持した。
前回5月分は雇用者数が大きく増加したものの、増加の中心が非常勤雇用だったため、RBAの追加利上げ観測を大きく高めるには至らなかった。今回は労働市場の底堅さが改めて意識され、豪ドルの支援材料となった。
RBAは5月の金融政策報告で、労働市場について「依然として堅調ながら、需給は徐々に均衡へ向かっている」との認識を示している。労働市場の強さが確認されたことで、賃金上昇を通じてサービス価格の伸びが続くとの見方が意識されやすくなっている。
今週最大の焦点は豪4-6月期CPI
7月27日週の最大の注目材料は、29日に発表される豪4-6月期CPIと6月CPIである。
4-6月期CPIの市場予想は前年比+4.1%で、1-3月期の+4.0%からインフレが加速する見通しとなっている。7月以降は中東紛争に伴うエネルギー価格の上昇などを背景に、伸びがさらに拡大する公算が大きい。
RBAは金融政策を判断するうえで基調的なインフレを重視しており、価格変動の大きい品目を除いたトリム平均CPI(予想:前年比+3.7%)が特に注目される。
強い雇用統計に続き、トリム平均CPIが市場予想を上回る結果となれば、RBAの追加利上げ観測は一段と高まり、豪ドルの支援材料となりそうだ。反対に、トリム平均CPIを含めインフレの鈍化が確認されれば、利上げ観測は後退し、豪ドルの上値を抑える要因となる。
中国景気の減速は引き続きリスク要因
豪ドルを見るうえでは、中国経済の動向も引き続き重要である。
中国は豪州最大の輸出先であり、鉄鉱石や石炭などの主要な需要国でもある。中国景気が減速すれば、豪州の資源輸出や交易条件が悪化するとの見方から、豪ドルは売られやすくなる。
今週は31日に中国7月の製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。不動産市場の低迷や個人消費の弱さが引き続き懸念材料となっているだけに、PMIが改善すれば豪ドルの支援材料に、悪化すれば上値を抑える要因になりやすい。
円買い介入と中東情勢に注意
前週同様、原油をはじめとする資源価格の高止まりは豪ドルの支援材料となる一方、中東情勢の一段の悪化には注意が必要だ。
地政学リスクが高まり市場全体が強いリスク回避に傾けば、リスク選好通貨である豪ドルには下押し圧力がかかる。
加えて、ドル円が歴史的な円安水準で推移するなか、本邦政府・日銀による円買い介入への警戒感も根強い。不意打ちの介入が実施された場合、豪ドル円もクロス円として連れ安となる可能性があるため注意したい。
また、市場では引き続き米連邦準備制度理事会(FRB)の年内追加利上げ観測が意識されている。米経済指標が底堅い内容となれば、米金利上昇を通じて豪ドルは対米ドルで上値を抑えられる一方、ドル円が上昇すればクロス円は下支えされやすい。
豪ドル円の見通し:豪CPIで115円台を試すか

7月27日週の豪ドル円は、豪4-6月期CPIの結果を受けて値動きが大きくなる可能性がある。
トリム平均CPIを中心にインフレの加速が確認されれば、RBAの8月利上げ観測が高まり、豪ドル円は6月高値を上抜けて115円台を試す展開が予想される。一方、インフレの鈍化が示されれば、利上げ観測が後退し、豪ドル円には下押し圧力がかかりやすい。
中国景気の減速懸念、中東情勢を背景としたリスク回避、本邦当局による円買い介入は、いずれも上値を抑える要因となる。
前週の豪ドル円は、強い雇用統計と資源高、円安を背景に114円台を回復した。今週は豪CPIがこの上昇基調を維持できるかを左右する。雇用に続きインフレでも強さが確認されれば、115円台を試す可能性は高まりそうだ。
今週の注目イベント
・7/29(水)豪 6月CPI、豪 4-6月期CPI
・7/30(木)豪 6月住宅建設許可件数
・7/31(金)中国 7月製造業・非製造業PMI、豪 4-6月期PPI
