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【米国株】図表でわかる財務分析 マイクロソフト(Microsoft)2026年3Q決算・4Q予想 2026年7月27日

クラウドインフラであるアジュール(Azure)と高度な生成AI技術を軸に、マイクロソフト(Microsoft)は、世界中の企業のデジタル変革を力強く牽引しています。近年のテクノロジー業界では、生成AIの急速な普及に伴い、データセンターや専用インフラに対する需要が、かつてない規模で高まっています。マイクロソフト(Microsoft)は、この歴史的トレンドの先頭に立ち、主要なビジネスツールであるコーパイロット(Copilot)の展開や、クラウドインフラの拡張を推し進めてきました。

 2026年(FY26)第3四半期(3Q)までの決算実績を見ると、クラウド事業の拡大と、その収益性の高さを背景に、売上高のみならず、各利益指標が前年を大幅に上回り、好調に推移してきました。一方で、拡大し続ける需要に応えるために、巨額の設備投資を続けています。そこでマイクロソフト(Microsoft)の過去の通期決算、2026年(FY26)3Q決算を分析し、2026年(FY26)4Qおよび2026年(FY26)通期決算を予測してみます。

(1)マイクロソフト(Microsoft)の最新業績と2026年(FY26)4Qの業績予想

 まず、マイクロソフト(Microsoft)の直近四半期のトレンドを振り返ると、2026年(FY26)1Qは売上高77,673百万ドル、前年同期比18.4%増、2Qの売上高は81,273百万ドル、同16.7%増、そして、3Qの売上高は82,886百万ドル、同18.3%増でした。期を追うごとに、売上規模が着実に増加しています。

 営業利益も、1Qの37,961百万ドルから3Qの38,398百万ドルへと右肩上がりで上昇してきました。営業利益率は46%から48%台で推移し、非常に高い収益性を誇っています。特に2Qは、当期純利益が38,458百万ドル(同59.5%増)と大きく跳ね上がりました。これは事業の好調さに加えて、税制面や投資関連の特殊要因が寄与したためだと考えられます。全体でみると、生成AIおよびクラウド需要の急速な拡大に支えられ、強い成長トレンドが続いています。

・順調に進む収益化シナリオと市場シェア拡大

 市場アナリストの多くは今後の業績に対するコンセンサス予想で、マイクロソフト(Microsoft)のAI分野における優位性を評価し、好意的な見方をしています。しかし、コンセンサス予想だけに頼るのではなく、実際の財務データを使って、独自の視点から深掘りすることも大切です。

 私は2026年(FY26)4Qの売上高を88,000百万ドル、営業利益を40,500百万ドル、当期純利益を34,000百万ドルと予測しました。これらを加算した2026年(FY26)通期ベースの予想は、売上高329,832百万ドル、営業利益155,134百万ドル、当期純利益131,983百万ドルです。なお、通期ベースの営業利益率は47.0%で、前年の45.6%よりも向上する見込みです。

 私の分析によれば、市場の期待の中心にあるのは、生成AIの収益化シナリオが極めて順調に進んでいることです。法人向けコーパイロット(Copilot)は多くの企業で導入が進みました。これにより1ユーザーあたりの単価は向上し、クラウド利用量が増大するという好循環が生み出されています。企業向けクラウドインフラのアジュール(Azure)が他社の競合サービスから、シェアを奪い続けている点も高く評価されています。

・巨大化する設備投資負担増と収益化のバランス

 一方で、同社が直面している課題も見過ごせません。私が最も警戒しているのは、AI需要に対応するための設備投資の巨大化です。データセンターの建設や高性能GPUの確保、さらには電力確保のための費用が急増しており、これが将来的に減価償却費として固定費化します。需要に対する供給能力の整備が遅れれば、機会損失につながり、逆に過剰投資となれば、利益率が圧迫されます。この巨額投資のスピードと収益化のバランスをどのように舵取りしていくかが、同社の今後の企業価値を左右する決定的な要因になると私は見ています。

(2)売上高の動向

 マイクロソフト(Microsoft)の売上高は通期ベースでみると、2022年(FY22)の198,270百万ドルが、2023年(FY23)は211,915百万ドル、前年比6.9%増となり、一時的ですが、成長の鈍化が懸念されました。ただ、これは「パンデミック特需に伴うパソコン市場急拡大の反動や、世界的なインフレによる企業のIT支出抑制が影響したためだ」と私は分析しています。結局、2024年(FY24)は245,122百万ドル、前年比15.7%増、2025年(FY25)は281,724百万ドル、同14.9%増と、生成AIブームの本格化を背景に、強力な成長軌道へ復帰しました。

 マイクロソフト(Microsoft)の直近業績を四半期データからみてみましょう。2026年(FY26)の1Qは77,673百万ドルでした。2Qは81,273百万ドル、3Qは82,886百万ドルで、3四半期の売上高合計は241,832百万ドルとなります。

 これは2025年(FY25)の通期実績である281,724百万ドルに対して、約85.8%という非常に高い進捗率です。1年の4分の3を経過した段階での進捗率85%超は、年間を通じて、高い売上高が維持されていることを示しています。私の2026年(FY26)4Q予想は88,000百万ドルで、これを加えた通期ベースは売上高329,832百万ドル、前年比17.1%増に達すると見込んでいます。

(3)営業利益の動向

 続いてマイクロソフト(Microsoft)の営業利益です。営業利益は企業の「本業での稼ぐ力」を表します。営業利益率は売上高に対する営業利益の割合で、効率よく利益を生み出せているかどうかという「収益性」を示します。マイクロソフト(Microsoft)の通期ベースの営業利益は、2022年(FY22)の83,383百万ドルから2025年(FY25)の128,528百万ドルへと一貫して拡大してきました。営業利益率も2022年(FY22)の42.1%から2025年(FY25)の45.6%へと着実に向上しています。

 四半期ベースでみると、2026年(FY26)1Qから3Qまでの営業利益の合計は114,634百万ドルとなり、前年(FY25)の通期実績である128,528百万ドルに対して約89.2%の進捗率でした。売上高の進捗率約85.8%を上回るペースで営業利益が蓄積されているのは、「利益率の高いクラウド事業やAIサービスの拡大で粗利益率が改善したからだ」と私は分析しています。

 2026年(FY26)の通期は、営業利益155,134百万ドル、成長率20.7%、営業利益率47.0%の着地と予想しています。過去最大級の設備投資を続けながら、卓越した収益体質を維持すると私は見込んでいます。

(4)当期純利益の動向

 マイクロソフト(Microsoft)の当期純利益は、通期ベースでみると、2022年(FY22)は72,738百万ドル、2023年(FY23)は72,361百万ドルで、前年比マイナス0.5%となり、税制関連の影響などで一時的な足踏みが見られました。しかし、2024年(FY24)は88,136百万ドル、前年比21.8%増、2025年(FY25)は101,832百万ドル、同15.5%増と、力強いV字回復を遂げました。

 四半期ベースでみてみると、マイクロソフト(Microsoft)の当期純利益は、2026年(FY26)1Qが27,747百万ドル、2Qが38,458百万ドル、3Qが31,778百万ドルでした。これらを足し合わせた3四半期の合計は97,983百万ドルです。前年(FY25)通期実績に対して進捗率は約96.2%と、非常に高い水準に達しています。一時的な要因も含めて、特に2Qで利益が大きく膨らんだことが、進捗率を後押ししました。私は2026年(FY26)4Qを34,000百万ドル、通期の当期純利益予想は131,983百万ドル、前年比29.6%増を予想しています。同社の利益を生み出す能力の高さが、改めて確認できる数値となるでしょう。

(5)株主価値指標の動き

 続いて、マイクロソフト(Microsoft)が企業として稼いだ利益や築いた純資産が、株式一株あたりでどのように評価されているかを示す株主価値の指標をみていきましょう。

1)EPS(希薄化後の一株当たり利益)

 EPS(一株当たり利益)は、一株がどれだけの純利益を生み出したかを表します。通期ベースでEPSをみると、2022年(FY22)は9.65ドル、2025年(FY25)は13.64ドルと右肩上がりに成長してきました。

 2026年(FY26)の四半期推移では、1Q3.72ドル、2Q5.16ドル、3Q4.27ドルという推移でした。3四半期の累計で、すでに13.15ドルに達しています。私は2026年(FY26)通期ベースで17.65ドルを見込んでいます。一株価値の着実な向上が期待できる状況です。

2)PER(株価収益率)

 PER(株価収益率)は、株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す指標です。マイクロソフト(Microsoft)のPERを通期ベースでみると、市場の期待を反映して、2022年(FY22)の26.62倍から2024年(FY24)には37.88倍まで高まりました。2026年(FY26)3Qは22.05倍で過去と比較して、落ち着いた数値にとどまっています。これは市場の期待がしぼんだわけではなく、「企業の利益(EPS)が速いスピードで伸びて、指標上の割高感が解消されたから」と私は解釈しています。

3)PBR(株価純資産倍率)

 PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株当たりの純資産の何倍かを示す指標です。通期ベースでみると、2022年(FY22)11.51倍、2025年(FY25)10.77倍、そして2026年(FY26)3Qは6.64倍です。PBRが少しずつ低下しているのは、マイクロソフト(Microsoft)が利益を蓄積して自己資本(純資産)を拡大させたことによるもので、私は「同社の財務安全性の高まりを示すポジティブな変化」と評価しています。

(6)貸借対照表から見る「財務の安定性」

貸借対照表は、企業がどのような財産を保有し、それをどのような調達手段で賄っているかを示すバランスシートです。マイクロソフト(Microsoft)の財務的な安全性について診断してみましょう。

1)資産の動向

 マイクロソフト(Microsoft)の総資産は通期ベースでみると、2023年(FY23)の411,976百万ドルが、2025年(FY25)には619,003百万ドルへと増加、2026年(FY26)3Qは694,228百万ドルに達しました。注視すべきは、その内訳の変化です。流動資産が2023年(FY23)の184,257百万ドルから、2026年(FY26)3Qには175,329百万ドルへと、横ばいから微減で推移しているのに、固定資産は2023年(FY23)の227,719百万ドルから、2026年(FY26)3Qの518,899百万ドルへと大きく増加しています。これはAI時代に向けたデータセンター建設など、将来の利益を生み出すインフラ資産を増やしている証拠です。

2)負債の動向

 負債総額は2023年(FY23)の205,753百万ドルが、2025年(FY25)の275,524百万ドル、2026年(FY26)3Qは279,861百万ドルと推移しました。固定資産の伸びと比較すると、負債の増加ペースは緩やかです。設備投資を行う際、借入金が増加しやすい傾向にありますが、マイクロソフト(Microsoft)は、本業でキャッシュを生み出す力が高いので、必要以上に借金に依存しない経営が可能です。

3)純資産の動向

 純資産は2023年(FY23)の206,223百万ドルから、2025年(FY25)の343,479百万ドルへと増加し、2026年(FY26)3Qは414,367百万ドルに拡大しています。高い当期純利益が続いていることで、社内に十分な資金が蓄積されています。同社の財務基盤は一段と強固になりました。

4)流動比率の動向

 流動比率は1年以内に返済すべき債務に対して、1年以内に現金化できる資産がどれだけあるかを示します。マイクロソフト(Microsoft)の流動比率は、2023年(FY23)に176.92%、2025年(FY25)は135.34%、2026年(FY26)3Qは128.29%へと推移しています。この低下傾向の背景にあるのは、「手元資金を設備投資へ振り向けたこと」と分析しています。ただ、安全性の目安となる100%は、依然として上回る128.29%なので、短期的な支払い能力に懸念はありません。

5)自己資本比率の動向

 自己資本比率は、総資産のうち返済不要な自己資本がどれだけの割合を占めるかを示します。マイクロソフト(Microsoft)の自己資本比率は2023年(FY23)の50.06%から、2025年(FY25)の55.49%へと向上しています。2026年(FY26)3Qは59.69%に達しました。インフラ投資を進めながらも、自己資本比率を高めているのは、「自前の利益で成長できる健全な状態である」ということを示しています。

(7)キャッシュフロー計算書から見る「事業の健全性」

 キャッシュフロー(CF)計算書は、一定期間における実際の現金の出入りを記録した書類です。

 

営業キャッシュフロー(営業CF)は、本業の営業活動を通じて実際に獲得した現金の額を表します。投資キャッシュフロー(投資CF)は、将来の成長のための設備投資や企業買収などに使った現金を表します。財務キャッシュフロー(財務CF)は、借入金の調達や返済、配当金の支払いや自社株買いなどの資金取引を表します。

1)営業キャッシュフロー(営業CF)の動向

 営業CFは、2023年(FY23)に87,582百万ドル、2025年(FY25)には136,162百万ドルへと着実に拡大してきました。四半期ベースでみると2026年(FY26)1Qは45,057百万ドル、2Qは35,758百万ドル、3Qは46,679百万ドルで、これらを合計した2026年(FY26)3四半期累計の営業CFは127,494百万ドルです。

 これは前年(FY25)通期実績の136,162百万ドルに対して、約93.6%という非常に高い進捗率です。同社の主力事業が強力に現金を生み出していることがわかります。

2)投資キャッシュフロー(投資CF)の動向

 投資CFは常に大きなマイナスで推移しています。将来の成長に向けて積極的に現金を投じています。通期ベースをみると、2023年(FY23)のマイナス22,680百万ドルが、2025年(FY25)のマイナス72,599百万ドルまで急増させてきました。四半期ベースでは、2026年(FY26)1Qから3Qまでの合計がマイナス68,615百万ドルで、前年(FY25)の通期実績に対して約94.5%の進捗率です。「AI革命」の主導権を握るために、必死にインフラ投資を実行していることが読み取れます。

3)財務キャッシュフロー(財務CF)の動向

 財務CFも一貫して大きなマイナスです。本業で得た現金を使って積極的な株主還元を行っています。通期ベースでは、2023年(FY23)のマイナス43,935百万ドルが2025年(FY25)にはマイナス51,699百万ドルになりました。四半期ベースでは2026年(FY26)1Qから3Qまでの合計はマイナス56,821百万ドルで、すでに前年の通期実績であるマイナス51,699百万ドルを超えて約109.9%となっています。マイクロソフト(Microsoft)は設備投資を実行しながら、株主還元をしっかりと実行していることがわかります。

(8)AI投資の「果実」と強固な財務基盤が拓く未来

 財務分析をしてみると、マイクロソフト(Microsoft)が生成AIやクラウドインフラといった次世代テクノロジーの最前線で、巨額の設備投資を実行する一方で、売上高を伸ばし、極めて財務安全性の高い経営を行っていることがわかります。私の分析によれば、2026年(FY26)4Qは売上高88,000百万ドル、営業利益40,500百万ドルを見込んでおり、これらを加えた2026年(FY26)通期ベースは、売上高329,832百万ドル、前年比17.1%増、営業利益155,134百万ドル、同20.7%増、当期純利益131,983百万ドル、同29.6%増で、「過去最高」を更新すると予想しています。

 マイクロソフト(Microsoft)は営業利益率47.0%、自己資本比率59.69%、年間100,000百万ドル超の営業CFと、財務の重要指標が調和しています。

 今後はデータセンターをはじめとする固定資産が、どれくらいのスピードで収益化されるのかが、とても重要になります。インフラ投資に伴う将来の減価償却費を吸収しつつ、法人向けAIツールの普及とクラウドビジネスでのシェア拡大を、どこまで推し進められるのか、そして、増大した利益を、いかに株主還元へと循環させていくのか、マイクロソフト(Microsoft)が、持続的に企業価値を向上させる上で、重要な鍵になると考えています。

 

岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。