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金(ゴールド)週間見通し|2週間ぶり高値でも安心できない、4,075ドルとFOMCが分岐点(XAU/USD)2026年7月23日

 

金相場見通し4,075ドルとFOMCが分岐点(2026年7月23日)

作成日時:2026年7月23日 12:00

監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人

7月23日〜30日の金相場(XAU/USD)は、同じ材料が相反する方向へ作用する、判断の難しい局面を迎えています。

原油高は安全資産としての金買いを促す一方、インフレを通じて米国の利上げ観測を強めます。緊迫化がそのまま金高につながらないのは、このためです。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、この対立に決着をつけるイベントになります。判断の前に、ご自身がどちらの材料を重く見ているかを整理しておきたいところです。

金(ゴールド)の今後1週間の想定レンジ:3,950〜4,250ドル

金価格は4,000ドル割れから2週間ぶりの高値へ反発

金相場は一時4,000ドルを割り込んだものの、その後はドル安やテクニカルな買いに支えられ、4,100ドル台半ばまで反発しました。下降トレンドラインを上抜け、約2週間ぶりの高値を付けています。4,000ドルを下回った場面では押し目買いが入り、短期的には下値の堅さが確認される格好になっています。

もっとも、ここから本格的な上昇基調へ戻ると判断するには、まだ材料が足りません。金相場は1月に付けた過去最高値の5,600ドル近辺から3割弱下落しており、現在も大幅な調整局面の中にあります。

足元の上昇は、長期的な上昇再開というより、急落後の買い戻しという性格が強いとみられます。

中東情勢と原油高が金相場に与える二つの影響

地政学リスクは安全資産としての金需要を支える

中東情勢の緊迫化は、安全資産としての金需要を支える材料です。

ホルムズ海峡では原油輸送を巡る不安が残り、紅海でもフーシ派による海上封鎖の警告や、タンカーの航路変更が報じられています。トランプ大統領はイランへの追加攻撃を警告し、フーシ派が紅海の海運を妨害した場合の報復措置にも言及しています。

原油供給網を巡るリスクがホルムズ海峡と紅海の二方面に広がっていることは、安全資産としての金を支える要因です。

原油高はインフレと米利上げへの警戒を強める

ただし、中東情勢の悪化が、そのまま金高につながるとは限りません。

原油価格が上昇すれば、米国のインフレ再燃への警戒が強まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測や米国債利回りの上昇につながる可能性があります。金は利息を生まないため、金利が上昇する局面では(国債などで得られるはずの)利息を諦めることにつながり相対的な魅力が低下して、金の上値を抑えられやすくなります。

中東情勢は、緊迫化による安全資産買いを促す一方で、原油高によるインフレ・利上げ警戒も金相場にもたらします。どちらの反応が強く表れるかによって、同じニュースでも金価格の方向は変わります。

一方、停戦協議や外交交渉への期待が強まり、原油価格が落ち着けば、地政学リスクを理由とした金買いは弱まる可能性があります。ただし、同時にインフレ・利上げ警戒も後退するため、金への影響は一方向には決まりません。

今週は軍事衝突の拡大だけでなく、停戦や外交面の動き、そして原油価格と米金利がどう反応するかを合わせて確認する必要があります。

米FOMCの焦点は政策金利の据え置きより次の利上げ

FOMCは7月28〜29日に開催され、政策声明は日本時間7月30日午前3時、ウォーシュFRB議長の記者会見は同3時30分に予定されています。

市場では、7月会合での政策金利据え置きが中心シナリオです。ただし、原油高を背景としたインフレ再燃への警戒から、9月以降の利上げ観測が強まっています。

今回の焦点は、政策金利の結果そのものではありません。声明文やウォーシュ議長の会見で、FRBが原油高やインフレをどの程度警戒し、次回以降の利上げにどこまで含みを残すかが重要です。

FRBがインフレ抑制を重視し、利上げの可能性を強く残した場合は、米金利とドルの上昇を通じて金相場に下押し圧力がかかりそうです。

反対に、ウォーシュ議長が利上げに慎重な姿勢を示し、原油高の影響を一時的と判断すれば、米金利の低下とともに金の買い戻しが進む可能性があります。

FOMC後はPCE物価指数にも注意

FOMC後の7月30日夜には、FRBが物価判断で重視する個人消費支出(PCE)物価指数も発表されます。

伸びが市場予想を上回れば、FOMCで示されたインフレ警戒や利上げ姿勢が改めて意識され、金には下押し圧力がかかりやすくなります。反対に、コアPCEを含め物価上昇が鈍化すれば、米金利低下を通じて金の下値が支えられる可能性があります。

金相場のテクニカル分析|25日移動平均線が短期分岐点

金スポット 日足/25日・75日移動平均線/14日RSI 外為どっとコム「CFDネクスト」

金スポット 日足/25日・75日移動平均線/14日RSI 外為どっとコム「CFDネクスト」

テクニカル面では、金相場は短期的な下降トレンドラインを上抜け、4,075ドル付近の25日移動平均線を回復しました。これにより、目先は戻りを試す余地が広がっています。

ただし、25日移動平均線は低下基調が緩やかになってきた段階で、明確な上昇には転じていません。4,395ドル付近の75日移動平均線も現在値を大きく上回っており、中期的には下向きの流れが残っています。

RSI(14日)は46.7です。売られ過ぎの状態からは離れたものの、強弱の境目となる50を下回っています。短期的な買い戻しは進んでいますが、買いの勢いが優勢になったとはいえません。

上値抵抗と下値支持の重要価格

目先の分岐点は、4,075ドル付近の25日移動平均線です。

この水準を維持すれば、4,200〜4,250ドルを試す余地がある一方、25日移動平均線を割り込み、4,000ドルも下抜けた場合は、予想レンジ下限の3,950ドルから、6月30日に付けた直近安値3,942ドルにかけての価格帯が支持帯となります。

この支持帯を明確に下抜けると、2025年11月以来の安値圏へ下値を切り下げる展開も想定されます。

プロの視点と、金相場シナリオの組み立て方

筆者のメインシナリオは、短期反発局面とみて4,200ドル台を試す展開です。

上方向では、4,200〜4,250ドルが重要な抵抗帯です。この水準を明確に上抜けるには、中東情勢を受けた安全資産買いだけでなく、FOMC後の米金利低下も必要でしょう。

下方向では、4,075ドル、4,000ドル、3,950ドルを順に確認します。FOMCで利上げ警戒が強まり、25日移動平均線を割り込んだ場合は、4,000ドルを再び試す可能性があります。

特に4,000ドルを割り込み、その下で定着すると、今回の上昇が一時的な買い戻しにとどまり、3,950〜3,942ドルの支持帯まで下値を広げる可能性が高まります。

ただし、これは一つの見方にすぎません。中東情勢を重視するか、原油価格と米金利の連動を重視するかによって、想定するシナリオは変わります。まずは25日移動平均線と4,000ドルを基準に、ご自身の見立てに合わせて戦略を組み立ててください。

【あなたの見通しは?】金価格の3つのシナリオ

  • 上昇シナリオ:25日移動平均線をサポートにして、中東情勢への警戒やFOMC後の米金利低下を背景に、4,200〜4,250ドルを試す。
  • 底固めシナリオ:安全資産買いと利上げ警戒が相殺され、4,100ドル台を中心に4,000〜4,200ドルの範囲で振幅する。
  • 下落シナリオ:FOMCやPCE物価指数を受けて米金利が上昇し、4,000ドルを下抜け、3,950ドルから3,895ドル付近を試す。

どの選択肢を選んだとしても、価格だけでなく、その背景にある中東情勢、原油、米金利のつながりまで整理したことが、ご自身の相場観を持つための一歩になります。

今後の金相場に影響する重要イベント

7月27日(月) 21:30 米国 6月耐久財受注

7月28日(火) 23:00 米国 7月消費者信頼感指数

7月29日(水) 27:00 米国 FOMC政策金利・声明発表

7月29日(水) 27:30 米国 ウォーシュFRB議長記者会見

7月30日(木) 21:30 米国 4〜6月期国内総生産(GDP)速報値

7月30日(木) 21:30 米国 6月個人所得・個人消費支出

7月30日(木) 21:30 米国 6月PCE物価指数・コアPCE物価指数

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外為どっとコム総合研究所
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。