
検索ビジネスの最先端を走るグーグル(Google)を傘下に抱えるアルファベット(Alphabet)は、生成AI分野における圧倒的な技術投資を継続し、検索事業のイノベーションを急加速させています。2026年(FY26)1Q決算は売上高が109,896百万ドル、当期純利益が62,578百万ドルとなり、収益性の高さを見せつける結果となりました。AIを活用した検索機能の高度化やクラウド事業の拡大が、さらにその成長を後押ししています。ここでは中核企業であるグーグル(Google)の事業とこれまでの決算内容を分析しながら、アルファベット(Alphabet)の2026年(FY26)2Qの業績を予想してみます。
(1)グーグル(Google)の最新業績と2026年(FY26)2Q予想
グーグル損益計算書(四半期)


(※1)EPS=希薄化後1株当たり利益 (※2)PER=株価収益率 (※3)PBR=株価純資産倍率
グーグル(Google)は本業の検索広告事業の堅調さに加えて、生成AI技術の統合が進んだことで、売上成長率が再加速しています。2026年(FY26)1Qの売上高は前年同期比22.1%増の109,896百万ドルとなり、営業利益率も36.1%という非常に高い水準を記録しました。
市場アナリストのコンセンサス予想では、AIの普及に伴う広告効果の改善やクラウド事業の拡大を背景に、引き続き好調な業績が見込まれています。私も同様で、2026年(FY26)2Qの業績を売上高114,400百万ドル、営業利益38,287百万ドル、当期純利益35,245百万ドルと見込んでいます。これにより売上高成長率は18.5%増、営業利益成長率は22.0%増となります。
生成AIビジネスの本格的な収益化が進む
市場が最も期待しているのは、AIの本格的な収益化です。検索連動型広告での単価向上や、法人向けクラウドサービスにおける生成AI機能の導入拡大が、売上高をさらに押し上げると見込まれています。
巨額設備投資に伴う減価償却費の重圧
その一方で、企業が直面する課題は巨額の設備投資に伴う固定費の重圧です。データセンターやAIサーバーへの集中投資は将来の減価償却費の増加につながり、一時的に利益率を圧迫するリスクがあります。成長とコストのバランスをいかに保つかが、今後の注目点となります。
グーグル損益計算書(通期)


(※1)EPS=希薄化後1株当たり利益 (※2)PER=株価収益率 (※3)PBR=株価純資産倍率
(2)売上高の動向
グーグル(Google)の通期ベースの売上高は、2021年(FY21)の257,637百万ドルから2025年(FY25)の402,836百万ドルへと着実に拡大しています。売上高成長率は2022年(FY22)に9.0%まで鈍化したものの、その後は回復し、2025年(FY25)は15.1%増となりました。

四半期ベースでは2024年(FY24)3Qの88,251百万ドルから2025年(FY25)4Qの113,769百万ドルまで増加基調をたどり、2026年(FY26)1Qも109,896百万ドル、前年同期比22.1%増と力強い伸びを示しています。

2026年(FY26)2Qの業績予想では、114,400百万ドルとさらなる拡大を見込んでいます。なお、2026年(FY26)1Qの売上高109,896百万ドルは、2025年(FY25)の通期実績である402,836百万ドルに対して27.28%の進捗率です。1四半期で年間の4分の1を超えていることから、売上拡大に向けて順調な滑り出しと言えそうです。
(3)営業利益の動向
グーグル(Google)の通期ベースの営業利益は、2021年(FY21)の78,714百万ドルから、2022年(FY22)は72,881百万ドルとなり、前年比で7.4%減と一時減少しましたが、2025年(FY25)は129,039百万ドルまで再び拡大しました。営業利益率は30%前後の高水準を維持しています。

四半期ベースでは、2025年(FY25)4Qに一時的なコスト増で営業利益率が28.5%まで低下しましたが、2026年(FY26)1Qは営業利益39,696百万ドル、営業利益率36.1%と大きく改善しました。2026年(FY26)2Qでも38,287百万ドル、営業利益率33.5%と堅調な水準を保つと予測しています。

2026年(FY26)1Qの営業利益は、2025年(FY25)の通期実績である129,039百万ドルに対して進捗率が30.76%です。本業の収益性が極めて高く、利益を創出する力が依然として高いことがわかります。
(4)当期純利益の動向
グーグル(Google)の通期ベースの当期純利益は、2021年(FY21)の76,033百万ドルから、2022年(FY22)には59,972百万ドルとなり、前年比21.1%減となりました。その後は急回復し、2025年(FY25)は132,170百万ドルで前年比32.0%増となりました。

四半期ベースでは、2026年(FY26)1Qは一時的な投資関連の評価益や税効果などの要因が加わり、62,578百万ドルと前年同期比81.2%増の大幅な伸びを記録しました。2026年(FY26)2Qは35,245百万ドル、前年同期比25.0%増となり、「巡航速度」の成長に戻る予想です。
なお、2026年(FY26)1Qの当期純利益は、2025年(FY25)の通期実績である132,170百万ドルに対して47.35%の進捗率となりました。第1四半期のみで前年通期の半分近くの純利益を計上しています。
(5)株主価値指標の動き
続いて、グーグル(Google)の株価が、会社の価値に対して「割安」か、それとも「割高」かをみてみましょう。
1)EPS(希薄化後1株当たり利益)

EPS(1株当たり利益)は、会社が1株に対してどれだけの純利益を出したかを示す指標です。グーグル(Google)の通期ベースのEPSは、2022年(FY22)が4.56ドルでしたが、2025年(FY25)は10.81ドルへと大きく向上しました。

なお、2026年(FY26)1Qは5.11ドルと高水準を維持し、2026年(FY26)2Qは2.89ドルを予想しています。
2)PER(株価収益率)
PER(株価収益率)は、株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す指標です。通期ベースでは、2022年(FY22)の19.30倍から、2025年(FY25)には28.96倍まで上昇しました。これはAI技術への期待が高まっていることを反映しています。2026年(FY26)1Qは21.94倍です。


PBR(株価純資産倍率)
PBR(株価純資産倍率)は、会社の純資産に対して株価が何倍まで評価されているかを示す指標です。グーグル(Google)は通期ベースで、2022年(FY22)の5.10倍から2025年(FY25)は9.11倍まで上昇しました。2026年(FY26)1Qは7.28倍となっており、強固な資産基盤や将来の成長性が評価されています。
貸借対照表から見る「財務の安定性」
貸借対照表は、会社の「財産(資産)」「借金(負債)」「返済不要の自分のお金(純資産)」のバランスを示しています。まさに会社の「健康診断書」です。


1)資産の動向
グーグル(Google)の総資産は、2021年(FY21)の365,264百万ドルから2025年(FY25)には595,281百万ドルとなり、2026年(FY26)1Qは703,919百万ドルへと大きく拡大しています。
その内訳では、データセンターなどの固定資産が2021年(FY21)の200,469百万ドルから、2026年(FY26)1Qには490,166百万ドルと約2.4倍に増えました。AIインフラへの積極的な設備投資が、固定資産の積み上がりに直結しています。
2)負債の動向
グーグル(Google)の負債合計は、2021年(FY21)の109,120百万ドルから、2026年(FY26)1Qには225,173百万ドルと増加しています。
特に固定負債は、2023年(FY23)の36,050百万ドルから2026年(FY26)1Qには113,985百万ドルと急増しています。大型のAI設備投資を支えるため、長期間にわたる資金を調達していることを示しています。
3)純資産の動向
グーグル(Google)の純資産は右肩上がりで増え続けています。2021年(FY21)は256,144百万ドルでしたが、2025年(FY25)には415,265百万ドル、2026年(FY26)1Qには478,746百万ドルに達しています。
借入金が増えている一方、本業の利益も積み上がっているため、自分のお金にあたる純資産もしっかりと増えています。
4)流動比率の動向
流動比率は、1年以内に支払う負債に対して、1年以内に現金化できる資産がどれだけあるかを示す指標です。一般に100%を超えると短期的な支払能力があると判断され、200%前後は高い水準とされます。
グーグル(Google)の流動比率は2021年(FY21)の237.80%から一時低下し、200%を割り込んだものの、2025年(FY25)には200.53%と回復しました。2026年(FY26)1Qも192.24%と高水準を維持しています。
5)自己資本比率の動向
自己資本比率は、総資産のうち返済不要な純資産が占める割合を示す指標です。グーグル(Google)の自己資本比率は、2021年(FY21)の70.13%から2026年(FY26)1Qの68.01%まで、70%前後で推移してきました。外部からの資金調達を増やしながらも、高い財務の安全性を維持しています。
キャッシュフロー計算書から見る「事業の健全性」
最後にキャッシュフロー計算書を確認します。キャッシュフロー計算書は、会社の「お金の家計簿」です。お金の流れを3つの活動に分けて見ていきます。


1)営業キャッシュフロー(営業CF)の動向
営業CFは本業で稼いだ現金の動きです。グーグル(Google)の営業CFは、2021年(FY21)の91,652百万ドルから2025年(FY25)には164,713百万ドルまで順調に拡大しました。2026年(FY26)1Qの営業CFは45,790百万ドルとなり、2025年(FY25)の通期実績である164,713百万ドルに対して進捗率は27.80%となりました。本業で現金を生み出す力は引き続き強い状態です。
2)投資キャッシュフロー(投資CF)の動向
投資CFは将来のための設備投資などによる現金の動きです。積極的に投資する企業ほど、マイナス額が大きくなる傾向があります。グーグル(Google)の投資CFは、2022年(FY22)のマイナス20,298百万ドルから、2025年(FY25)にはマイナス120,291百万ドルへと大幅に拡大しました。
2026年(FY26)1Qの投資CFはマイナス63,389百万ドルで、2025年(FY25)の通期実績であるマイナス120,291百万ドルに対して52.70%の進捗率です。1四半期だけで、すでに前年通期の半分を超える投資を実行しており、生成AIのインフラ構築へ集中的に支出していることがわかります。
3)財務キャッシュフロー(財務CF)の動向
財務CFは、借り入れや返済、株主還元などによる現金の動きです。グーグル(Google)の財務CFは、2021年(FY21)から2024年(FY24)にかけて、自社株買いなどの株主還元を優先した結果、大幅なマイナスで推移していました。
ところが、2026年(FY26)1Qは25,077百万ドルのプラスに転換しました。2025年(FY25)の通期実績であるマイナス37,388百万ドルとは異なる動きであり、巨額のAIインフラ投資に備えて、社債発行などによる資金調達を実施したことがうかがえます。
加速するAIインフラ投資と期待される持続的成長
アルファベット(Alphabet)は、傘下のグーグル(Google)を通じて、AI技術の主導権を確保するための歴史的な投資サイクルを実行しています。2026年(FY26)2Qは、売上高114,400百万ドル、営業利益38,287百万ドルを予想しています。これは検索事業やクラウド事業が、さらに力強く成長することを見込んでいるためです。
グーグル(Google)は、営業利益率30%以上を維持する強固なビジネスモデルを持っています。巨大な売上規模を持ちながら二桁成長を続けており、生成AIの収益化にも大きな期待が寄せられています。財務面では、自己資本比率約68%を維持し、手元資金と調達資金の両方を活用してAIインフラ投資を進めています。
今後の課題は、投資増加に伴う減価償却費などのコスト管理です。ただし、強力な営業CFが下支えとなるため、目先の費用増加だけでなく、企業全体の財務健全性と、同社が強力に推進するAI領域の成長力に着目することが、本質的な価値を見極める鍵となるでしょう。
岩田仙吉(いわたせんきち)氏株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
