その時々のトランプ氏の相反する発言を受けて原油先物価格が76ドル台から72ドル台へ急反落し、米10年債利回りも一時4.55%台へ低下したことで、東京市場のドル円は162.25円まで下押しする場面があった。市場ではトランプ氏の発言の真意や信頼性を測りかねており、エネルギー価格の一服感がドルの上値を抑える要因になりやすい。一方で、タカ派的な米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて9月利上げ観測も浮上していることや、FRBのインフレ高止まりへの強い警戒感が意識されており、ドルの下値も相応に底堅いとみられる。
こうした底堅いドル地合いの上値を阻む最大の壁が、本邦通貨当局による実質的な防衛ラインだ。市場では、財務省が事前警告なしに突発的な円買い介入に踏み切るとの観測が根強く、162円後半では追随買いが抑制されやすい。また、日本の長期金利が1996年以来、約30年ぶりの高水準2.900%まで上昇しており、これまで一方的に進んできた日米金利差拡大を背景とした円売りポジションの巻き戻し(円の買い戻し)を誘発しやすい地合いも整いつつある。年初に見られた日米協調でのレートチェックのようなドル高・円安抑制への警戒感も燻るなか、NY市場でも急激な上昇局面では常に利益確定や戻り待ちの売り圧力が意識される局面が続きそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、1986年12月22日高値163.30円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、日足一目均衡表・基準線161.21円。
(関口)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
