
執筆日時:2026年7月3日 16時15分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
2026年6月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比5.7万人増と市場予想(11.3万人増)を大きく下回りました。一方、失業率は4.2%と市場予想(4.3%)よりも改善しました。
弱いNFPを受けてドル円は一時160円台半ばまで反落しましたが、米利上げ観測が完全に消えたわけではありません。失業率の低下や平均時給の底堅さも意識され、為替・株式・金市場では方向感の定まりにくい反応となりました。

※チャート:ドル/円-5分足 外為どっとコム「ネオチャート」
2026年6月の米雇用統計:雇用は小幅増にとどまるも、失業率は低下
2026年6月分の米雇用統計は、米労働市場の減速を示す一方で、大崩れとまでは言い切れない内容となりました。
非農業部門雇用者数(NFP)は前月比5.7万人増と、市場予想の11.3万人増を大きく下回りました。雇用の増加ペースは明らかに鈍化しており、企業の採用意欲に慎重さが出ていることがうかがえます。
一方、失業率は4.2%へ低下し、市場予想の4.3%を下回りました。ただし、これは労働参加率の低下による影響も大きく、雇用環境が一段と強まったと単純に評価するのは難しい内容です。雇用者数の伸びは弱いものの、失業率は改善するという、やや読みづらい結果となりました。
また、注目されていた平均時給は前月比0.3%と市場予想通りの結果でした。賃金の伸びが急速に鈍化したわけではなく、インフレ圧力が完全に後退したとは言い切れません。
弱いNFPでも利上げ観測が残った理由
NFPは市場予想を大きく下回りましたが、米利上げ観測が完全に消えたわけではありません。
その理由は、失業率が4.2%へ低下したことに加え、平均時給も前月比0.3%と市場予想通りの伸びを維持し、賃金インフレの鈍化を明確に示す内容ではなかったためです。
雇用者数の伸びは弱かったものの、労働市場全体が急速に悪化しているとまでは言い切れず、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月利上げの選択肢を直ちに外すほどの材料にはなりませんでした。
金利先物市場では、年内利上げ期待はやや後退したものの、9月利上げ観測はなお残りました。市場は、今回の雇用統計を「利上げ観測を完全に打ち消す材料」ではなく、「利上げ時期を慎重に見極める材料」と受け止めたようです。
雇用統計発表当日の市場反応
為替市場
予想を下回るNFPの結果を受けて、ドル円は160.628円まで下落しました。ただし、米利上げ観測が大きく後退しなかったこともあり、ドル円は終盤にかけて161.10円台まで戻しました。
株式市場
米株はまちまちでした。弱い雇用統計を受けて利上げ観測が後退したことは支えとなり、ダウ平均は大幅高で最高値を更新しました。一方、半導体株への利益確定売りが重しとなり、ナスダック総合は下落、S&P500はほぼ横ばいで取引を終えました。
- ダウ平均 前日比:+1.14%(+594.83ドル)の52,900.07ドル
- ナスダック総合 前日比:-0.8%(-207.36ポイント)の25,832.67ポイント
- S&P500 前日比:+0.00%(+0.01ポイント)の7,483.24ポイント
金市場
金は、弱い米雇用統計を受けて米利上げ観測が後退し、米ドルが下落したことを支えに上昇しました。スポット金は4,100ドル台を回復し、4,120ドル付近で推移しました。

※チャート:左上から横に米国S&P500、米国D30、日本N225、金スポット、5分足 外為どっとコム「株価指数・商品CFDチャート」
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米雇用統計の予想と戦略(先行記事へのリンク)
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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