
本レポートはAIの出力結果をもとに、筆者がAIの導き出した分析結果を検証・評価しています。データが示す客観的なシグナルに、長年の相場観に基づく定性的な解釈を掛け合わせることで、より実践的な見通し(期待度)を導き出しました。AIと筆者の強みを生かす形で、当社が取り扱う新興国通貨8通貨を対象に「2026年後半の期待度」を相対的にランキングし、その背景にある評価軸と注目ポイントを整理します。
監修:外為どっとコム総合研究所 小野直人
更新日時:
2026年後半、活躍が期待できそうな新興国通貨と評価ポイント
過去の勝ち組が、次の半年も勝ち続けるとは限らない
下の一連の表は、各通貨の「今年前半の騰落率(対ドル)ランキングと今年後半のランキング予想」、「それを判断するために用いた物差し」、そして「各通貨ごとの評価」を並べています。
まず、各通貨の今年前半の騰落率(対ドル)ランキングと今年後半のランキング予想の表を見ると、今年前半はHUF、MXN、CNHが上位に入りました。一方で、今後半年の期待度は、CZK、SGD、PLNを上位に置いています。
単純に過去の値動きを延長したものにはなっていない点が重要です。各国・地域の金融政策、実質金利、景気の底堅さ、政治・地政学リスク、そしてすでに買われ過ぎているかどうか、といった諸条件の違いが今年後半の通貨ごとの明暗を分けると考えられます。
特に注目したいのは、過去半年で出遅れていたCZKです。チェコ中銀が利上げに転換したことで、金融政策面での支援材料が強まり、出遅れ修正の筆頭候補と見ています。一方、過去半年で最も強かったHUFは、利下げ再開や利益確定売りのリスクが意識されやすく、今後は上値の重い展開に変わる可能性があります。
※CZK -チェココルナ、SGD -シンガポールドル、PLN -ポーランドズロチ、ZAR -南アフリカランド、MXN -メキシコペソ、CNH -オフショア人民元、HUF -ハンガリーフォリント、TRY -トルコリラ
2026年前半の騰落率ランキングと今年後半のランキング予想
| 通貨 | 2026年前半の対ドル騰落率ランキング | 2026年後半のランキング予想 | 方向性 |
|---|---|---|---|
| CZK チェココルナ | 6位(-3.24%) | 1位 | 出遅れ修正の筆頭候補 |
| SGD シンガポールドル | 5位(-0.77%) | 2位 | 安定感を評価 |
| PLN ポーランドズロチ | 7位(-3.56%) | 3位 | 東欧再評価に期待 |
| ZAR 南アフリカランド | 4位(+1.01%) | 4位 | 高ボラながら再評価余地 |
| MXN メキシコペソ | 2位(+3.01%) | 5位 | 強さは残るが勢い鈍化 |
| CNH オフショア人民元 | 3位(+3.00%) | 6位 | 景気不安が重石 |
| HUF ハンガリーフォリント | 1位(+6.90%) | 7位 | 反動安・上値の重さを警戒 |
| TRY トルコリラ | 8位(-7.61%) | 8位 | 構造的な弱さが残る |
※対ドルのリターンは2026年6月24時点のもの
予想順位を決めるための物差し
今回の予想順位は、以下の評価軸を使って判断しました。単純な金利の高さだけではなく、「その金利がインフレに勝てるのか」、「今後も通貨を支える政策が続くのか」、「すでに買われ過ぎていないか」を重視しています。
| 評価軸 | 見たポイント | プラス評価になりやすい条件 | マイナス評価になりやすい条件 |
|---|---|---|---|
| 金融政策 | 利上げ・利下げ・据え置きの方向 | 利上げ転換、高金利維持、通貨防衛姿勢 | 利下げ再開、追加緩和観測 |
| 実質金利 | 名目金利とインフレのバランス | インフレ鈍化と高金利の両立 | 高金利でもインフレが高すぎる |
| 景気・内需 | 成長率、消費、雇用、企業活動 | 景気が底堅く、金融引き締めに耐えられる | 景気減速が強く、利下げ圧力が高まる |
| 外部環境への耐性 | 原油高、地政学リスク、世界景気 | リスク回避局面でも売られにくい | 資源価格や地政学リスクに弱い |
| 政治・制度リスク | 政策運営、対外関係、制度への信認 | 政策の予見可能性が高い | 政治不安、対外摩擦、政策不透明感 |
| ポジション調整リスク | すでに買われ過ぎていないか | 出遅れ感があり、買い余地がある | 過去に上昇しすぎ、利益確定が出やすい |
| 通貨の安定性 | ボラティリティ、流動性、防衛力 | 値動きが比較的安定している | 値動きが荒く、急落リスクが高い |
| 米ドル高への耐性 | ドル高局面でどれだけ下げにくいか | ドル高でも相対的に崩れにくい | ドル高時に資金流出が起きやすい |
評価軸別の新興国8通貨の評価
評価は、◎=強いプラス、○=プラス、△=中立、▲=ややマイナス、×=マイナスで整理しています。
| 通貨 | 総合評価 | 金融政策 | 実質金利 | 景気・内需 | 外部環境耐性 | 政治・制度リスク | ポジション調整 | 安定性 | ドル高耐性 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CZK | 最上位 | ◎ | ○ | △ | ○ | △ | ◎ | ○ | ○ |
| SGD | 上位 | ◎ | △ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
| PLN | 上位 | ○ | △ | ◎ | △ | ○ | ◎ | ○ | ○ |
| ZAR | 中位 | ○ | △ | △ | ▲ | △ | ○ | ▲ | △ |
| MXN | 中位 | ○ | ○ | △ | △ | △ | ▲ | ○ | △ |
| CNH | 中位下位 | △ | △ | ▲ | △ | △ | △ | ○ | △ |
| HUF | 下位 | ▲ | ○ | △ | △ | ▲ | × | △ | ▲ |
| TRY | 最下位 | ○ | × | ▲ | × | × | △ | × | × |
※CZK -チェココルナ、SGD -シンガポールドル、PLN -ポーランドズロチ、ZAR -南アフリカランド、MXN -メキシコペソ、CNH -オフショア人民元、HUF -ハンガリーフォリント、TRY -トルコリラ
グループ別に見る今年後半の注目点、東欧通貨の明暗が分かれる
1. 出遅れ修正・再評価グループ:CZK、SGD、PLN
今後半年の上位候補は、CZK、SGD、PLNです。
CZKは、過去半年では6位にとどまりましたが、チェコ中銀の利上げ転換により、金融政策面での支援材料が強まりました。出遅れ修正の余地が大きく、今回の予想順位では1位に置いています。
SGDは、値動きの派手さはないものの、シンガポール金融管理局(MAS)の通貨高誘導と低ボラティリティが強みです。リスク回避局面でも崩れにくい通貨として、安定感を評価しました。
PLNは、東欧内需の底堅さに加え、CZKの利上げ転換をきっかけとした中東欧通貨全体の再評価に乗りやすい位置にあります。過去半年は出遅れましたが、今後は巻き返し余地があると考えます。
2. 強さは残るが、過去ほどの勢いは見込みにくいグループ:ZAR、MXN
ZARとMXNは、高金利通貨としての魅力を残す一方、上位通貨ほどの安定感や新鮮な材料には欠けると見ています。
ZARは、高金利や資源国通貨としての再評価余地があります。ただし、インフラ不安、原油高、政治リスクが残り、値動きの荒さには注意が必要です。
MXNは、キャリー通貨としての魅力は続くものの、景気減速や利下げ観測、買いポジションの巻き戻しが重石になりやすい局面です。底堅さは残っても、過去半年ほどの上昇力は期待しにくいと考えます。
3. 反動・構造問題を警戒するグループ:CNH、HUF、TRY
CNH、HUF、TRYは、今後半年の期待度を相対的に低めに見ています。
CNHは、中国の不動産不況や内需低迷が重石です。当局による元安抑制は一定の支えになりますが、強い元高トレンドを描くには材料不足です。
HUFは、過去半年では1位となりましたが、利下げ再開と利益確定売りのリスクが意識されます。過去の勝ち組から、今後は上値の重い通貨へ変わる可能性があります。
TRYは、名目金利こそ高いものの、高インフレと通貨信認の弱さが引き続き重石です。高金利だけでは構造的なリラ安圧力を相殺しきれず、対象8通貨の中では最下位にとどまると見ています。
新興国通貨の見通しまとめ、米金利上昇リスクには警戒
今回のランキングで重視したのは、過去半年の強さをそのまま延長しないことです。
過去半年はHUF、MXN、CNHが上位に入りましたが、今後半年は、金融政策の転換が明確になったCZK、安定感のあるSGD、東欧再評価の恩恵を受けやすいPLNを上位に置きました。
一方、過去に大きく上昇したHUFやMXNは、利益確定や政策面の変化によって、勢いが鈍る可能性があります。CNHも、中国景気の弱さを考えると、過去半年の上昇をそのまま延長して見るのは慎重であるべきです。
ただし、為替相場は米ドル全体の方向感にも大きく左右されます。米金利上昇やリスク回避によるドル高が強まれば、新興国通貨や周辺国通貨の上値は全体的に抑えられる可能性があります。今回の順位は、対象8通貨内での相対的な期待度として見る必要があります。
注意事項
- 暫定順位は、対象通貨の過去半年間の対米ドル騰落率をもとにした相対順位です。
- 今後半年の予想順位は、各通貨の金融政策、インフレ動向、景気見通し、政治・地政学リスク、ポジション調整リスクなどを総合的に判断したものであり、将来の値動きを保証するものではありません。
- 本ランキングは、対象8通貨内での相対的な期待度を示したものであり、すべての通貨や金融商品を比較したものではありません。
- 対ドル騰落率を基準としているため、円建ての値動きとは異なる場合があります。
- スワップポイント、取引コスト、税金、スプレッド、レバレッジ効果などは考慮していません。
- 金融政策や地政学情勢、米ドル相場の急変により、見通しは大きく変わる可能性があります。
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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