
作成日時 2026年6月26日 11時00分
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
来週(6月29日~7月3日)のS&P500(SP500)は、7,150〜7,650ポイントでの推移を見通しています。本記事では ①期末需給 ②雇用統計 ③原油 ④AI需要 ⑤テクニカル の5点から整理します。
大切なのは、どちらか一方に決めつけることではなく、どの材料が相場を動かしやすいかを確認して、ご自身のシナリオに落とし込むことです。
来週の想定レンジ:7,150〜7,650ポイント
SP500 来週前半の見通し|銘柄物色と指標待ちで方向感は限定的
足元の米国株式市場では、ナスダックやSP500がややちぐはぐな動きを示しています。
背景には、買われる銘柄やセクターの変化に加え、上半期末を前にしたポジション調整があります。6月末は機関投資家のリバランスが入りやすく、株価の動きが必ずしも相場の基調をそのまま反映しているとは限りません。
6月26日の米市場引け後にはラッセル指数の銘柄入れ替えが反映されます。ラッセル指数は、米国株の幅広い銘柄を対象にした株価指数で、小型株の動きを示す「ラッセル2000」などが代表例です。構成銘柄の見直しにより、新規採用銘柄には買い需要、除外銘柄には売り需要が出やすくなります。
また、6月30日の5月求人労働異動調査(JOLTS)求人件数、7月1日の6月ADP雇用統計、6月米供給管理協会(ISM)製造業景況指数も控えています。週前半は、期末需給と経済指標を確認しながら、7月2日の雇用統計を待つ展開となりそうです。
そのため、来週前半のSP500は大きく上値を追うよりも、7,300ポイント台を中心に方向感を探る展開を想定します。
SP500 来週後半の見通し|雇用統計が最重要イベント
米6月雇用統計が7月2日(3日が独立記念日で米国市場が休場のため)に発表されます。足元では、米5月個人消費支出(PCE)が高止まりしており、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ警戒は完全には消えていません。原油価格の下落は、先行きのインフレ懸念を和らげる材料です。しかし、雇用や賃金が強すぎれば、FRBのタカ派姿勢が再び意識される可能性があります。
特に注目したいのは、非農業部門雇用者数だけでなく、平均時給と失業率です。雇用者数が大きく上振れ、平均時給も強い結果となれば、インフレ圧力が残っているとの見方から米金利が上昇し、SP500には調整圧力がかかりやすくなります。
一方で、雇用が大きく悪化した場合も、利上げ警戒は後退しやすいものの、景気減速への不安が出てきます。株式市場にとっては、雇用が急減速せず、賃金の伸びは落ち着くという結果が、比較的受け止めやすい内容と言えます。
SP500の下支えとなるのは原油安とAI需要
これらの材料以外では、原油価格の下落とAI関連需要の強さが株式市場を支える材料として挙げられます。
原油安は、企業コストやインフレへの警戒を和らげる要因です。これは、FRBの追加利上げへの警戒を抑える材料にもなります。また、AI需要は、データセンターや半導体関連企業の業績を支える材料として、引き続き市場の注目を集めています。
ただし、AI関連株がすべて一斉に買われる局面ではない点は注意です。メモリー価格の上昇は、メモリー関連企業には追い風となる一方、製品コストの上昇につながる企業には重しとなります。AI関連という大きなテーマは残りつつも、銘柄ごとの選別は強まりやすいでしょう。
SP500、テクニカル分析日足とシナリオの組み方

SP500の日足チャートでは、足元の価格が25日移動平均線(7,475ポイント付近)を下回っており、短期的には上値の重さが意識されます。一方で、75日移動平均線(7,150ポイント付近)は上向きを維持しており、中期的な上昇基調はまだ崩れていません。
相対力指数(RSI、14日)は47.3と中立圏にあり、買われすぎ感はないものの、上昇の勢いが強い状態でもありません。目先は、25日移動平均線を回復できるかが上値拡大のポイントです。回復できれば7,500ポイント台から7,650ポイント方向が視野に入りますが、上値を抑えられる場合は、7,300ポイント台前半から7,150ポイント付近への下押しに注意が必要です。
プロの視点と、ご自身のシナリオの組み立て方
筆者のメインシナリオは、来週のSP500が週前半に期末需給や経済指標を受けて不安定に推移しつつも、FRBへの過度な警戒が和らぎ、原油安によるインフレ懸念の後退や、AI需要の強さが再評価されて、7,150ポイント近辺では下値を確認し、雇用統計後に7,500ポイント台回復を試す展開です。
したがって、来週は上値を追いかけるよりも、7,250〜7,150ポイント付近で下げ止まりを確認しながら、押し目を探る姿勢がベースシナリオです。ただし、25日移動平均線を下回っている以上、短期的な上値の重さは残ります。
ご自身の見立てに合わせて、7,150ポイントを守れるのか、7,475ポイントを回復できるのかを確認しながら、戦略を組み立てたいところです。
あなたの見通しは?
A.期末要因を通過し、雇用統計後に7,500ポイント台を回復する
B.25日移動平均線を超えられず、7,300ポイント台中心のもみ合いが続く
C.雇用統計や米金利上昇をきっかけに、7,150ポイント方向を試す
今後の重要イベント
- 6月26日(金)米国 ラッセル指数銘柄入れ替え(引け後)
- 6月30日(火)米国 23:00 5月JOLTS求人件数
- 7月1日(水)米国 21:15 6月ADP雇用統計
- 7月1日(水) 22:30 ウォーシュFRB議長、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ベイリー英中銀総裁らがECBフォーラム(6月29日〜7月1日)の討論会に出席
- 7月1日(水)米国 23:00 6月ISM製造業景況指数
- 7月2日(木)米国 21:30 6月雇用統計
- 7月3日(金)米国 独立記念日の振替休日で米株市場休場
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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