
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年6月12日 15時00分
来週(6月15日〜19日)のユーロ円・ポンド円は、ECB追加利上げ観測やイングランド銀行(BoE)の票割れリスク、さらに英下院補欠選挙など複数のイベントが重なり、神経質な展開が予想されます。本記事では、最新の値動き、予想レンジ、注目材料、テクニカル分析を整理し、来週のユーロ円・ポンド円の相場見通しをわかりやすく解説します。結論として、ユーロ円は底堅さを維持しつつ上値を探る展開、ポンド円はBoEの投票動向次第でボラティリティが高まる可能性があります。
予想レンジ:ユーロ円:183.50-187.50
予想レンジ:ポンド円:212.50-217.00
ユーロ円・ポンド円、独自材料勢い付かずもみ合い
6月8日〜12日のユーロ円やポンド円は方向性の見定めにくい展開でした。ドル円が、足元の高値圏で小動きとなったほか、ドル中心の相場展開が主流で、ドルと円の動向に挟まれた結果、ユーロ円は183.970円〜185.568円、ポンド円は212.930円〜215.237円と限られた値幅で振幅しました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
来週のユーロ円見通し:9月利上げ観測くすぶる
来週(6月15日〜19日)のユーロ円は、185.00円を中心に上下の値幅が限定される「横ばい」の展開を予想します。6月に約3年ぶりの利上げが行われたばかりですが、インフレ懸念はなお残っており、ECB内でも今後の利上げ時期をめぐって見方が分かれています。追加利上げが7月になるのか、9月以降にずれ込むのかはなお不透明ですが、利上げサイクルがすぐに終わるとの見方は強まっておらず、ユーロの底堅さを支える材料になりそうです。
ただし、イランと米国の停戦が合意されれば、原油高によるインフレ圧力の緩和の道も捨てきれず、その場合、ユーロの上値が重くなりそうですが、今度は、ドル高の巻き戻しが意識され、ユーロをサポートしそうです。結局、ユーロは下げにくい展開が目先続きそうで、ユーロ円に対しては「強気一辺倒」ではないものの、188.00円に向けて緩やかに上昇する展開を考えています。
来週のポンド円見通し:BoE、選挙でポンドが動意づくか
来週(6月15日〜19日)のポンド円相場は、18日に控える下院議員の補欠選挙と、イングランド銀行(BoE)の金融政策委員会(MPC)が焦点となります。選挙は水物と言われるため油断はできませんが、右派ポピュリスト政党リフォームUK(Reform UK)との接戦が意識される中、労働党のバーナム候補の動向が英政局の焦点となっています。選挙を順当に勝利しても、選挙後の党内情勢は混乱が続くと見られ、ポンドの見通しに対しては不透明さが残ります。
また、BoEに対しては、景気配慮の「ハト派的据え置き」が基本路線となり、今回のMPCでは政策金利の据え置き(3.75%)見通しが優勢です。注目点は投票比率(Vote Split)の動向です。前回の投票は「据え置き8、利上げ1」でした。今回、年末にかけての物価・賃金の二次的影響を警戒するピル首席エコノミストらタカ派メンバーの票が動き、「7対2」や「6対3」へと利上げ票が増加した場合、市場は年内の追加利上げを一気に織り込み始め、ポンド買い・英国債売りを誘発する可能性があります。
ユーロ円テクニカル分析:持ち直し基調、過熱感は限定的
ユーロ円は25日移動平均線(185.15円付近)を上回っており、短期的には持ち直しの流れが続いています。100日移動平均線(184.50円付近)も下値の目安として意識されます。 一方、直近高値の186.201円付近では上値を抑えられており、ここを上抜けられるかが次の焦点です。上抜ければ187.00円台を試す展開も考えられます。 RSI(14日)は52.1と中立圏にあり、過熱感は強くありません。下値は185.15円付近、次に184.50円付近がサポートとなりそうです。 目先は185円台を維持できるか、186.20円付近を突破できるかがポイントです。
ポンド円テクニカル分析:上向き維持も215円台半ばが抵抗
ポンド円は25日移動平均線(213.95円付近)を上回っており、短期的には持ち直しの流れです。100日移動平均線(212.65円付近)も支持線として意識されます。 上値は215.50円付近が目先の抵抗帯ですが、ここを上抜けると、216円台方向への上昇余地が広がりそうです。 一方、RSI(14日)は55.5と中立からやや強めの水準で、過熱感は限定的です。下値はまず213.95円付近、次に212.65円付近がサポートとなりそうです。
【ユーロ円チャート 日足】

【ポンド円チャート 日足】

2026年6月15日〜19日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 6月15日(月)〜17日(水) 主要7カ国(G7)首脳会議
- 6月15日(月)
- 18:00 ユーロ 4月鉱工業生産
- 18:00 ユーロ 4月貿易収支
- 21:30 アメリカ 6月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 6月16日(火)
- 日本 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
- 15:30 日本 内田日銀副総裁、会見
- 18:00 ドイツ 6月ZEW景況感調査
- 21:30 アメリカ 5月輸入物価指数
- 21:30 アメリカ 5月住宅着工件数
- 21:30 アメリカ 5月建設許可件数
- 6月17日(水)
- 15:00 イギリス 5月消費者物価指数(CPI)
- 18:00 ユーロ 5月消費者物価指数(HICP、改定値)
- 21:30 アメリカ 5月小売売上高
- 27:00 アメリカ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
- 27:30 アメリカ ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
- 6月18日(木)
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 15:00 イギリス 4月失業率
- 18:00 ユーロ 4月建設支出
- 20:00 イギリス イングランド銀行(BoE)金利発表
- 20:00 イギリス 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 6月19日(金)
- アメリカ 休場
- 08:30 日本 5月全国消費者物価指数(CPI)
- 08:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨(4月27〜28日開催分)
- 15:00 ドイツ 5月生産者物価指数(PPI)
- 15:00 イギリス 5月小売売上高
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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