
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年6月12日 15時00分
来週(6月15日〜19日)のドル円相場は、日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される、注目度の高い1週間となります。
日銀は「1.0%への利上げ」が最有力視され、FOMCは「政策金利据え置き(3.50〜3.75%)」が本線とされ、市場の焦点は「今後の方向性を示すメッセージ」へと移っています。両イベントの前後において、ドル円や米長期金利が上下双方に大きく乱高下する神経質な展開が予想されますが、最終的には週を通じて158.00円〜162.00円レンジで底堅い展開が続くと見ています。
予想レンジ:ドル円:158.00〜162.00
ドル円底堅い、4月30日以来の160円台半ばへ上昇
6月8日〜12日のドル円は、米国のインフレ期待を背景にして160.592円まで上昇。ただ、米5月CPIは総合で前年比4.2%と高水準だったものの、コアCPIの伸びが比較的落ち着いたことで、過度な利上げ警戒はいったん和らぎ、ドル円は上値が抑えられる中、米国とイランが戦争終結で合意に近づいているとのニュースに反応してリスク回避のドル高が巻き戻されると、ドル円は159.528円まで下落しました。
日銀1.0%へ利上げ優勢、焦点は「内田副総裁の会見トーン」
植田総裁の入院・欠席は「政策判断そのものには影響しない」とされ、市場は冷静に受け止めています。むしろ最大の注目は、総裁代行として記者会見を行うとみられる内田副総裁の会見内容です。
内田副総裁は一般に「バランスが取れている」とみられており、今回「金融政策の正常化」と「利上げの道筋」を説明する際にも、タカ派・ハト派どちらの表現も織り交ぜた発信をしてくる可能性が高いでしょう。このため、決定直後に一時的に円買いが優勢となっても長続きしない一方で、極端な円安にもなりにくいと考えられます。
もっとも、実体経済における原油高や米金利高の流れは変わらないため、引き続き円には下押しバイアス(円安圧力)がかかりやすい状況は当面続くと考えられます。一方で、最大級のサプライズがあるとすれば「金利が据え置かれた場合」です。この局面では一気に円売りが加速し、その動きに合わせて高まるであろう、政府・日銀の為替介入警戒感が相場を不安定化させるリスクがあります。
FOMC、ウォーシュ新議長が発するメッセージに注目
今回のFOMCでは金利据え置き(3.50〜3.75%)自体は既定路線となっており、市場にとっては「次の一手へのメッセージ」がどこまで明確になるかが重要です。足元の米国経済における底堅い雇用・インフレ指標を背景に、市場の一部では利上げ観測すら再浮上しており、現在FOMCの内部は分断された状況にあります。
そこで注目されるのが、各メンバーの金利予測を示す「ドットチャート」の分布と、ウォーシュ新議長の政策スタンスです。内部のせめぎ合いを抑えつつ、タカ派寄りのメッセージを発信する展開となれば、ドル金利の急上昇に伴ってドル高が加速します。逆に、議長が利下げ方向への言及を含んだハト派的なトーンを維持するなら、ドル売りへと大きく傾くでしょう。新議長の手腕が問われる会見の前後では、ドル円が急激に動く可能性が高く警戒が必要です。
日米の実質的な金利差といった根本的な「円安地合い」に大きな変化がないため、ドル円は緩やかに下値を切り上げる展開が続くと考えます。
ドル円テクニカル分析:160円半ば超えなら、162円が見えてくるか
ドル円は25日移動平均線(159.30円付近)を上回っており、短期的な上昇基調は維持されています。100日移動平均線(157.85円付近)も下値の目安として意識されます。一方、直近高値の160.592円付近では上値を抑えられており、ここを明確に上抜けられるかが焦点です。上抜ければ161円台、さらに162.00円方向への上昇余地が広がります。 RSI(14日)は60.0と強気圏にありますが、買われすぎ感はまだ限定的です。下値は159.30円付近、次に158.00円前後がサポートとなりそうです。
【ドル円チャート 日足】

2026年6月15日〜19日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 6月15日(月)〜17日(水) 主要7カ国(G7)首脳会議
- 6月15日(月)
- 18:00 ユーロ 4月鉱工業生産
- 18:00 ユーロ 4月貿易収支
- 21:30 アメリカ 6月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 6月16日(火)
- 日本 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
- 15:30 日本 内田日銀副総裁、会見
- 18:00 ドイツ 6月ZEW景況感調査
- 21:30 アメリカ 5月輸入物価指数
- 21:30 アメリカ 5月住宅着工件数
- 21:30 アメリカ 5月建設許可件数
- 6月17日(水)
- 15:00 イギリス 5月消費者物価指数(CPI)
- 18:00 ユーロ 5月消費者物価指数(HICP、改定値)
- 21:30 アメリカ 5月小売売上高
- 27:00 アメリカ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
- 27:30 アメリカ ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
- 6月18日(木)
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 15:00 イギリス 4月失業率
- 18:00 ユーロ 4月建設支出
- 20:00 イギリス イングランド銀行(BoE)金利発表
- 20:00 イギリス 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 6月19日(金)
- アメリカ 休場
- 08:30 日本 5月全国消費者物価指数(CPI)
- 08:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨(4月27〜28日開催分)
- 15:00 ドイツ 5月生産者物価指数(PPI)
- 15:00 イギリス 5月小売売上高
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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