
作成日:2026年6月8日 11時00分
米ドル/円(ドル円)週次見通し:2026年6月8日~6月12日
ドル円は1か月ぶりに160円台を回復し、短期的には上方向を意識しやすい局面に入っています。ただし、ここからの見方はプロの間でも分かれます。米金利の高止まりを重視すればドル買い・円売りが続きやすい一方、米消費者物価指数(CPI)の中身や日本当局の為替介入警戒を考えると、上値を追いすぎにくい面もあります。今週は、160円台を維持できるかだけでなく、どの材料で上がっているのかを見極めたい週です。
今週のドル円の予想レンジ158.75円~161.40円
米雇用統計通過後のドル円は底堅い展開
ドル円は1か月ぶりに160円台を回復し、短期的にはやや上向きの見方が広がっています。米国の雇用が大きく崩れておらず、米金利が下がりにくいとの見方が背景にあります。
6月5日に発表された5月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比17.2万人増、失業率は4.3%で横ばいでした。雇用が急に弱まっていないため、米連邦準備制度理事会(FRB)が早期に利下げへ動くとの見方は強まりにくく、ドル円の下支えになっています。
米ドルを支える金利環境
米ドルは、金利面から見ると買われやすい状態です。4月28~29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標レンジが3.50~3.75%に据え置かれました。声明では、インフレ目標2%の達成を重視しつつ、今後の経済指標を見ながら政策を判断する姿勢が示されています。
米財務省のデータでは、6月5日の米2年債利回りは4.17%、米10年債利回りは4.55%でした。米金利が高い水準にあると、円よりドルを持つメリットが意識されやすく、ドル円は下がりにくくなります。
FRB高官発言に見る米当局のスタンスと日本当局への警戒
足元のFRB高官発言は、全体として「利下げを急がない」というトーンです。ダラス連銀のローガン総裁は、インフレが2%目標へ十分に戻っていないとして、金融政策は引き締め的である必要があるとの考えを示しました。クリーブランド連銀のハマック総裁も、インフレ圧力が続く場合には利上げが必要になる可能性に触れており、ややタカ派寄りの発言です。
一方、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、現在の政策金利は適切な位置にあり、すぐに利上げや利下げへ動く必要はないとの考えを示しています。つまり、FRB全体としては「利下げには慎重だが、すぐ追加利上げに進むほど一枚岩でもない」と整理できます。
ドル円にとっては、FRB高官の慎重姿勢が米金利の下支えとなり、ドル買い・円売りを支えやすい状況です。ただし、6月10日のCPIでコアCPIが落ち着けば、追加利上げ観測までは広がりにくく、160円台からの上値追いはやや鈍る可能性があります。
日本側では、160円台回復により、政府・日本銀行(日銀)による円安けん制や為替介入への警戒が強まりやすくなっています。ドル円が短時間で161円台、162円台へ進む場合は、当局発言や利益確定売りが上値を抑える可能性があります。
ドル円に影響する米CPIのポイントと留意点
今週最大の注目材料は、6月10日に発表される米5月CPIです。4月CPIは前年同月比3.8%上昇、食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年同月比2.8%上昇でした。エネルギー価格は4月に前月比3.8%上昇し、ガソリン価格も前月比5.4%上昇しており、物価全体を押し上げました。
ただし、5月CPIについては、総合指数が強くても、コアインフレまで大きく高まらない可能性があります。5月の総合CPIはガソリン価格の上昇により前月比0.43%上昇、前年同月比4.1%上昇が見込まれていますが、一方、コアCPIは前月比0.25%上昇、前年同月比2.9%上昇にとどまるとの見方も市場の一部にあります。
つまり、5月CPIは「ガソリン価格で総合指数は高いが、コアCPIは思ったほど強くない」という結果になる可能性もあり、その場合、ドル円の上昇が抑えられる展開もあります。
IMMとRSIからは円売られ過ぎシグナルの兆候も

シカゴ通貨先物市場の円のポジショニングは、2026年6月2日現在、円買いポジションは前週比で+1,856枚となり、円売りポジションは前週比で+16,756枚となっています。これに伴い、投機筋ポジションの売り越しは前週比で+14,900枚となり、2024年7月以来の円売り越しとなっています。円が売られすぎの状態に近い可能性がある点には注意が必要です。
テクニカル面では、ドル円は160.31円付近まで上昇し、25日移動平均線の158.75円付近、100日移動平均線の157.75円付近を上回っています。短期・中期の平均線を上回っているため、チャートの形は上向きです。
一方で、相対力指数(RSI)は9日で72.5まで上がっており、短期的にはやや買われすぎです。上値では、期間20日のボリンジャーバンド+2σである160.65円付近が最初の抵抗帯です。ここを明確に上抜けると、+3σの161.40円付近が次の目安になります。
下値では、160.00円を維持できるかが重要です。ここを割り込むと159.50円付近、さらに25日移動平均線の158.75円付近が意識されます。

ドル円の今後の見通しまとめ、下がりにくいが上値追いも危険
今週のドル円は、160円台前半を中心に上方向を試しやすいものの、CPIの中身と介入警戒で上値が重くなる可能性もある相場と見ています。
基本的には、5月米雇用統計が底堅く、米金利も高止まりしているため、ドル円は下がりにくい状態です。160.00円を維持できれば、160.65円、さらに161.40円付近を試す可能性があります。
ただし、コアCPIが前月比0.25%程度にとどまる場合、FRBの利下げ観測が大きく後退するとも限りません。その場合、ドル円は160円台を保っても、161円台後半へ一気に上昇する力は弱まりやすいです。
プロの視点と、ご自身のシナリオの組み立て方
メインシナリオは、押し目買いを軸にしつつ、160円台半ばから上は追いかけすぎないという見方です。
RSIが72.5と高いため、160.50円超えをそのまま追うよりも、160.00円前後や159.50円台への押しを待つ方が、リスクを抑えやすいと考えます。160.00円前後で下げ止まりを確認できるなら、160.65円、上抜けた場合は161.40円付近が利食い目標として意識されます。
一方で、短期なら159.50円割れ、やや広めに見るなら159.30円割れをリスク管理の目安にしたいところです。また、158.75円の25日移動平均線を明確に下回る場合は、短期の上昇の勢いが弱まったと見て、買い目線を弱める選択肢も出てきます。
ただし、これはあくまで一つのベースシナリオです。CPIの結果、米金利の反応、日本当局の発言によって相場の前提は変わります。ご自身の時間軸や許容できる損失幅に合わせて、戦略を組み立ててください。
【あなたの見通しは?】
今週のドル円について、現時点ではどのシナリオを重視しますか。
1. 上昇継続シナリオ
160.00円を維持し、米金利高止まりを背景に160.65円、161.40円付近を試す。
2. 伸び悩みシナリオ
総合CPIは強くてもコアCPIが落ち着き、160円台前半で上値が重くなる。
3. 調整シナリオ
160.00円を割り込み、159.50円付近、さらに158.75円付近への調整を試す。
今後の重要イベント
- 6月10日(水)8:50 日本 5月国内企業物価指数
- 6月10日(水)21:30 米国 5月CPI、5月実質平均時給
- 6月11日(木) 8:50 日本 4‐6月期法人企業景気予測調査(BSI)
- 6月11日(木)21:30 米国 5月生産者物価指数(PPI)
- 6月12日(金)23:00 米国 3月雇用コスト関連指標
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