
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年6月5日 16時10分
ECB理事会を控えたユーロの思惑や、英国の政治不安後退への期待が相場の焦点となり、通貨ごとの材料がより鮮明になりつつあります。本稿では、足元の値動きと来週の注目ポイントを整理し、ユーロ円・ポンド円の来週(6月8日~6月12日)の見通しを解説します。
予想レンジ:ユーロ円:184.00-188.00
予想レンジ:ポンド円:212.00-217.00
ユーロ円・ポンド円、前半円安・後半ドル高で高値もみ合い
6月1日週のユーロ円とポンド円は、いずれも高値圏での取引が継続する展開となりました。円安が強まった局面では、ユーロ円が186.201円、ポンド円が215.524円まで上昇しました。
ただ、週後半にかけては円安主導の動きからドル高主導の流れに変わり、クロス円は方向感を欠く展開に移行。ユーロ円・ポンド円ともに、高値圏で動きが鈍く、狭いレンジでもみ合いが続きました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
来週のユーロ円見通し:ECB利上げ観測でユーロ高余地
6月8日週のユーロ円相場は、6月8日週のユーロ円相場は、6月ECB理事会での25bp利上げが強く織り込まれる中、7月以降の追加利上げ観測が高まるかどうかが注目されます。エネルギー価格の上昇やサービスインフレの強まりを背景に、ECBがインフレ抑制姿勢を維持する可能性が意識されています。複数の高官からは、原油価格の上昇がしばらく続くことで広範なインフレに影響を与えるとの見方が示されており、追加引き締めへの思惑もくすぶっています。
6月5日時点で、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場での7月利上げ織り込み度は3割程度にとどまり、上昇余地が大きいことから、一気にユーロ高が進む可能性があります。声明文やラガルドECB総裁のタカ派的な発言には要注意です。この場合、ユーロ円が188.00円を試す展開もあり得ます。
来週のポンド円見通し:英国政治リスクとポンドの下値
6月8日週のポンド円は底堅い展開が見込まれそうです。ベイリーBoE総裁が「見通しは景気後退ではなく、より緩やかな成長」と述べる中、英国の利下げ期待は高まりにくい環境となっており、ポンドを下支えしそうです。
一方、6月18日の英下院補欠選挙では、バーナム氏の動向が英政局の焦点となっています。勝利すれば労働党内の党首選を巡る思惑が強まる可能性があり、政治不安の後退というより、英政局の不透明感が意識されやすい局面です。もっとも、バーナム氏が財政規律を維持する姿勢を改めて示せば、英国債市場の過度な警戒が和らぎ、ポンドの下値を支える要因となる可能性があります。
ユーロ円テクニカル分析:トレンドは堅調、過熱感はやや高め
ユーロ円の日足は、5月の急落後に100日移動平均線付近で下げ止まり、足元では25日移動平均線の185.00円付近を上回って推移しています。現在値は185.90円前後で、25日線、100日線の184.50円付近をともに上回っており、短期的には底堅い形です。
RSI(9日)は62.8とやや強めですが、70には届いておらず、過熱感は限定的です。ただし、すでに反発が進んでいるため、ここからは上値を追う勢いが続くかが焦点になります。
上値は、直近高値の186.20円付近が最初のポイントです。ここを明確に上抜けると、187.00円台、さらに4月高値の187.90円台が意識されます。
下値は25日移動平均線の185.00円付近、次に100日移動平均線の184.50円付近がサポートです。184.00円を割り込むと、反発基調がいったん弱まる可能性があります。メインシナリオは185.00円付近を下値支持としながら、186.20円超えを試す展開です。
ポンド円テクニカル分析:上向き維持も216.60レベルは抵抗
ポンド円の日足は、5月高値216.60円台から反落したあと、100日移動平均線付近で下げ止まり、足元では25日移動平均線を上回って推移しています。現在値は214.80円台で、25日線の213.75円付近、100日線の212.60円付近をともに上回っており、下値の底堅さが意識されやすい形です。
RSI(9日)は58.8と中立よりやや強めですが、過熱感はまだありません。ただし、60台前半で伸び悩むようなら、上昇の勢いは限定的と見られます。
上値は215.50円前後、さらに5月高値の216.60円台がポイントです。ここを突破できれば、217.00円が視野に入ります。一方、上値が重い場合は、25日移動平均線の213.75円付近まで押し戻される可能性があります。
下値は213.75円、次に100日移動平均線の212.60円付近、さらに212.00円がサポートです。メインシナリオは、213.75円付近を下値支持、216.60円台を上値抵抗とする、やや上向きのレンジ相場です。
【ユーロ円チャート 日足】

【ポンド円チャート 日足】

2026年6月8日~6月12日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 6/8(月)
- 08:50 日本 1-3月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
- 15:00 ドイツ 4月製造業新規受注
- 6/9(火)
- 15:00 ドイツ 4月鉱工業生産
- 21:30 アメリカ 4月貿易収支
- 23:00 アメリカ 5月中古住宅販売件数
- 23:00 アメリカ 4月卸売売上高(前月比)
- 6/10(水)
- 08:50 日本 5月国内企業物価指数
- 21:30 アメリカ 5月消費者物価指数(CPI)
- 6/11(木)
- 北中米3カ国共催のサッカーFIFAワールドカップ開幕
- 08:50 日本 4-6月期四半期法人企業景気予測調査・大企業全産業業況判断指数(BSI)
- 08:50 日本 4-6月期四半期法人企業景気予測調査・大企業製造業業況判断指数(BSI)
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 21:15 ユーロ 欧州中央銀行(ECB)政策金利
- 21:30 アメリカ 5月卸売物価指数(PPI)
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 21:45 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
- 6/12(金)
- 15:00 ドイツ 5月消費者物価指数(CPI、改定値)
- 15:00 イギリス 4月月次国内総生産(GDP)
- 15:00 イギリス 4月鉱工業生産
- 23:00 アメリカ 6月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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