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韓国株(KOSPI)はバブルなのか?AIブームで急騰、調整リスクも【伊藤忠総研レポート】

●サマリー

韓国の株式市場は好調が続いている。世界的なAIブームに加え、李政権が推進する株式市場改革も追い風となっており、韓国株の上昇の勢いは国際的にも際立っている。株高は家計の金融資産増加を通じて個人消費の下支え要因となることが期待される一方、株価の調整リスクには注意を要する。足元の株高は一部の半導体関連株に集中しているため、AIバブルの崩壊がきっかけとなり、指数全体が大きく下落するリスクがある。

KOSPIは史上最高値を更新

韓国総合株価指数(KOSPI)の推移

2025年以降、韓国総合株価指数(KOSPI)は上昇基調をたどってきた。中東情勢の悪化を受けて一時的に調整する局面があったものの、足元では再び史上最高値を更新し、8,600ポイントに達している。(2026年6月時点)

 

日本・韓国・米国の主要株価指数の推移

株価上昇の勢いは国際的にも際立っている。2025年初からのKOSPIの騰落率は、日本株や米国株を大きく上回っている。この結果、韓国株式市場の時価総額は7,000兆ウォン(約5兆米ドル)を超え、インドを抜いて世界6位に浮上した。(2026年6月時点)

背景には、世界的なAIブームや株式市場改革

こうした背景には、以下の2点が指摘できる。

①世界的なAIブーム

KOSPIの時価総額上位2社であるサムスン電子SKハイニックスは、AI向けデータセンターに不可欠な高帯域幅メモリ(HBM)の主要サプライヤーであり、AI関連需要の拡大が業績期待を押し上げている。サムスン電子の株価は2025年初に比べ5倍超、SKハイニックスは10倍超と大幅に上昇しており、AIブームの恩恵を受けている2社が韓国株をけん引している。なお、サムスン電子は、韓国企業として初めて時価総額が1兆ドルを突破した。

AIブームが株式市場を押し上げている点は、日本や米国とも共通している。米国ではマグニフィセント・セブンを中心とするAI・ハイテク関連銘柄、日本でも東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどのAI・半導体関連株が相場をけん引している 。その意味で、韓国株上昇の一部は世界共通のテーマに沿ったものと整理できる。

②韓国固有の要因:株式市場改革

韓国株はこれまで、財閥を中心とする支配構造の複雑さ、少数株主保護の弱さ、低い株主還元姿勢などを背景に、企業収益や純資産の水準に比して株価が割安である傾向(いわゆる「コリア・ディスカウント」)にあった。これに対し、韓国政府は近年、資本市場の活性化と企業価値向上を目的に、企業統治改革や株主還元の強化を促す取り組みを進めてきた。

特に、2025年6月に就任した李大統領は矢継ぎ早に改革を実行してきた。同年7月に成立した商法改正では少数株主保護の強化が図られたほか、12月には国内株式への資金還流を促すために譲渡所得税を時限的に免除する措置を打ち出した。さらに、一般株主の利益保護を目的に、財閥系企業に多い親子上場の禁止といった追加的な市場改革を推進する方針を示している。

株高による資産効果にも期待

株高による家計の資産増加額

こうした株価上昇は個人消費の下支えとなる可能性がある。一般に、株価の上昇は家計の資産を増やすことで個人消費を押し上げる効果(資産効果)が期待される。実際、2025年には株高によって家計の資産は429兆ウォン(0.3兆米ドル)拡大し、この増加幅は名目GDPの16%に達している。

韓国では、家計による株式資産の規模が小さいほか、株式投資の多くは一部の富裕層に集中しているため、株価に対する消費の感応度は他国と比べると低い可能性があるが、足元の株価の上昇幅が大きいだけに、一定の消費浮揚効果が期待される。

AIバブルの崩壊による調整リスクには要注意

KOSPIに占める上位2社のシェア(時価総額ベース)

ただし、株価の調整リスクには注意を要する。特に懸念されるのが、AIバブルの崩壊である。先述の通り、韓国の株高は、AIブームの恩恵を受けているサムスン電子とSKハイニックスがけん引してきた。この結果、KOSPI全体の時価総額に占める2社のシェアは46.9%と、2025年初(23.2%)から2倍に拡大しており、KOSPIがこの2社の株価に強く左右されやすい構造になっている。AI投資ブームの一服により2社の株価が調整した場合、KOSPIが大きく下落する可能性が高い。

それ以外の銘柄についても、バリュエーション面での過熱感が意識されれば、株価が調整する可能性がある。KOSPI全体のPER(株価収益率)は29.8倍と、過去平均(2022〜2024年平均:14.6倍)の2倍に達しており、市場全体として割高感が意識されやすい局面にある。企業別にみても、PERが50を上回る企業が13%に達しており、こうしたなかには、AIブームによる将来の業績改善を織り込んでいる半導体関連業種以外の幅広い企業が含まれている。将来の業績改善期待が十分に実現しなければ、こうした銘柄でも株価の見直しが進む可能性がある。

●伊藤忠総研・北辻宗幹氏のレポートはこちら👇

韓国経済:株高による消費下支えが期待も、調整リスクには留意

 

伊藤忠総研のレポートはこちら ▶

 

 

伊藤忠総研・副主任研究員
北辻宗幹(きたつじ・かずき)
2017年大阪大学経済学部経済・経営学科卒業。2019年大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年株式会社日本総合研究所に入社し、国内マクロ経済に関する調査・分析業務に従事。2021~2022年経済産業省に出向。2024年しんきんアセットマネジメント投信株式会社に入社し、世界のマクロ経済および金融市場に関する調査・分析業務に従事。2026年より現職。
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