
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年5月22日 16時00分
来週(5月25日~5月29日)のユーロ円・ポンド円は、欧州の物価指標や英国政治不安、米金利、原油価格など外部要因に大きく左右される展開に。ユーロはスタグフレーション懸念、ポンドは政局不安などが重石となる一方、クロス円はドル円の底堅さが支えとなり方向感が定まりにくい状況です。テクニカル分析と重要イベントから来週の相場を詳しく読み解きます。
ユーロ円・ポンド円、主導権なくちぐはぐな展開
5月18日週のユーロ円は、ユーロ圏PMIの悪化がユーロの重しとなったものの、ドル高・円安双方の影響を受け、184.206円から185.216円の間で方向感の定まりにくい展開となりました。かたや、ポンド円は伸び悩む格好となりました。足もとの下落の反動やドル円が底堅く推移したことを受けて、ポンド円は213.816円まで上昇しました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
来週のユーロ円見通し:原油価格や米金利がカギ
来週(5月25日〜5月29日)のユーロ円は、方向感に欠けるもみ合いが続きそうです。再来週の主要指標発表を控えていることもあり、米金利や欧州株、中東情勢といった外部要因に左右されやすい局面が続くでしょう。
ホルムズ海峡を巡る緊張が高まれば、原油高によるインフレ懸念やリスク回避のドル買いが強まり、ユーロドルの上値を抑える可能性があります。一方で、停戦期待が強まれば原油高・米金利上昇への警戒が和らぎ、ユーロドルが持ち直す場面も想定されます。
ただし、材料が乏しいことから新たなトレンドが形成される可能性は低く、足もとのレンジを中心とした様子見の週となる公算が大きいでしょう。
来週のポンド円見通し:英国政治不安と景気減速が上値抑制
来週(5月25日〜5月29日)のポンド円は、レンジ内でもみ合う展開を想定していますが、上値の重さは引き続き意識されるでしょう。背景として、最新の英国総合PMIが「50」を割り込み「48.5」へ低下するなど、景気減速懸念が強まっているほか、スターマー首相への退陣要求など政治不安がくすぶっていることが挙げられます。
スターマー首相の退陣要求については、「6月18日の下院補欠選挙の結果を確認するまでは決定的な動きは出ない」との見方が多いものの、今後もポンドの上値を抑える材料として意識される状況です。
6月18日のイングランド銀行金融政策委員会では、現時点で据え置きが中心シナリオとみられるものの、原油高に伴うインフレ再燃リスクから、年内の利上げ観測もくすぶっています。そのため、ポンド円は英国政治不安に加え、BOE観測、米金利、日銀の利上げ姿勢に振らされやすい展開が続きそうです。
米金利が上昇すれば、ドル円の上昇につられて215円半ばを試す可能性があります。一方で、日本の通貨当局者らの発言をきっかけに円高圧力が強まったり、米金利低下や株安によるリスク回避が進んだりした場合には、210円台まで押し戻される場面も想定されます。
ユーロ円テクニカル分析:25日線と100日線のブレイク方向に注目
ユーロ円の日足は、187.945円からの調整後、25日線(約185.30円)が上値を抑え、100日線(約184.30円)が下値を支える狭いレンジでの推移が続いています。25日線は下向きで短期的な重さがある一方、100日線は上向きを維持しており、中長期の基調はまだ保たれています。RSI(14日)は46で方向感に乏しく、相場は様子見ムードです。今後は、25日線を上抜けるか、100日線を割り込むかが次の動きの分岐点となります。
ポンド円テクニカル分析:次のトレンド発生を待ちたい
ポンド円の日足は、急落後に25日移動平均線が上値抵抗、100日移動平均線が下値支持として意識されるレンジ調整局面が続いています。足もとの終値は213円台半ばで、25日線を明確に上抜けきれておらず、短期的には上値の重さが残る形です。一方で、100日線は右肩上がりを維持しており、中長期の上昇基調が完全に崩れたとはいえません。RSI(14日)は50前後の中立圏にあり、売り買いどちらにも大きく傾いていない状態です。今後は、25日線を明確に上抜ければ215円半ばへの戻りを試す展開が想定される一方、100日線を割り込むようなら、調整色が強まり210円台半ばへの下押しに注意が必要です。
【ユーロ円チャート 日足】

予想レンジ:EUR/JPY:182.50-186.00
【ポンド円チャート 日足】

予想レンジ:GBP/JPY:210.50-215.50
2026年5月25日~5月29日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 5/26(火)
- 22:00 アメリカ 3月住宅価格指数(前月比)
- 22:00 アメリカ 1-3月期四半期住宅価格指数(前期比)
- 22:00 アメリカ 3月ケース・シラー米住宅価格指数(前年同月比)
- 23:00 アメリカ 5月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
- 5/27(水)
- 08:50 日本 4月企業向けサービス価格指数(前年同月比)
- 09:20 アメリカ ミネアポリス連銀総裁、発言
- 15:45 フランス 5月消費者信頼感指数
- 28:55 アメリカ クックFRB理事、発言
- 5/28(木)
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 09:00 アメリカ ジェファーソンFRB副議長、発言
- 18:00 ユーロ 5月消費者信頼感(確定値)
- 21:30 アメリカ 4月個人消費支出(PCE)
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 21:30 アメリカ 失業保険継続受給者数
- 21:30 アメリカ 4月耐久財受注
- 21:30 アメリカ 1-3月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
- 23:00 アメリカ 4月新築住宅販売件数
- 5/29(金)
- 08:30 日本 5月東京都区部消費者物価指数
- 08:30 日本 4月失業率
- 08:50 日本 4月鉱工業生産・速報値
- 15:45 フランス 5月消費者物価指数(CPI、速報値)
- 16:55 ドイツ 5月失業率
- 19:00 日本 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
- 21:00 ドイツ 5月消費者物価指数(CPI、速報値)
- 21:30 アメリカ 4月卸売在庫(前月比)
- 22:10 アメリカ ボウマンFRB理事、発言
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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