本日のNY市場におけるドル円は、引き続き米国とイランをめぐる和平交渉の楽観論と悲観論の間で交錯する、原油先物価格の値動きに左右される相場展開になるだろう。ただ、円安が進行した場合は介入警戒感もあることで、大きくレンジを超えることがあった場合でも一時的に終わる可能性がありそうだ。
昨日は「パキスタン軍の指導者が明日イランを訪問し、合意文書の最終版を発表する可能性」と中東メディアが報じたことや、トランプ米大統領が「イランとの協議において最終段階に入っている」と発言したことで、原油先物価格の急落とともに米長期金利も低下し、ドル買いの巻き戻しを誘った。
ただ、これまでも中東メディアやトランプ大統領の発言を受けて、和平期待による原油安・米金利低下・ドル買いの巻き戻しが進む場面は幾度もあったが、ことごとく実態を伴わないものばかりだった。これまでの経緯を辿れば、今回も原油市場の高騰やインフレを抑え込もうという意図によるスムージング発言の可能性もある。
更に、今回の協議についても、米国とイランの間では核問題、制裁と資産凍結、補償問題、ホルムズ海峡の行方など、合意に至るまでには大きな隔たりがあることが懸念され、一筋縄ではいかないだろう。再びトランプ大統領がイランへの再攻撃を示唆することも考えられることで、今回のドル買い巻き戻しの流れが継続するためには、イラン側から本格的な合意締結に向けた発表が出るまではリスクが高くなりそうだ。
また、ドル円は引き続き政府・日銀による円買い介入への警戒感にも注意したい。高市政権の補正予算による財政拡大路線が意識される中では、円を積極的に買い進める材料は限られている。ファンダメンタルズに沿った円安要因ではあるが、4月後半に実施された今年1回目の介入効果が1カ月も持たずに打ち消されたことは、為替当局としても避けたいところだろう。一時的に159円前半を上抜け、ストップロスの買いが進む場面もあるだろうが、当局による円買い介入への警戒感もあることで、市場参加者としても上値を追いかけて買うのは難しそうだ。
なお、本日は米国から住宅関連の経済指標や、購買担当者景気指数(PMI)速報値、フィラデルフィア連銀製造業景気指数などが発表される。独仏の製造業PMIは景況の強弱を判断する節目50を割り込むなど大幅に低下しているが、米国の製造業景況感も欧州同様に弱い内容となるかを見定めておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、19日高値159.25円。その上は節目の160.00円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、15日安値158.30円。その下は日足一目均衡表・転換線157.85円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
