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図表でわかる財務分析:エヌビディア(NVIDIA)の2025年4Q決算・2026年1Q予想【2026年5月19日】

エヌビディア(NVIDIA)は、AI(人工知能)市場の圧倒的な覇者として、世界経済の勢力図を塗り替えています。2025年(FY25)3Q決算では、売上高がわずか9カ月で前年実績を超えるという驚異的なペースでした。2025年(FY25)の通期決算は、売上高2,159億ドルで前年比約1.6倍、純利益1,200億ドル突破という、国家予算に匹敵するほどの規模まで成長しました。この爆発的な勢いは、2026年(FY26)1Qも続くのかどうか、最新データに基づいて解き明かします。

(1)エヌビディア(NVIDIA)の直近決算と2026年(FY26)1Q予想

エヌビディア(NVIDIA)の直近決算は、「異次元の拡大」が定着したフェーズと言えそうです。2025年(FY25)4Q単体実績で、売上高は前年同期の39,331百万ドルから68,127百万ドルと約73%増加しました。純利益は約94%増となり、ほぼ倍増しました。

単位:百万ドル ※EPS=希薄化後一株当たり利益 ※PER=株価収益率 ※PBR=株価純資産倍率

市場アナリストのコンセンサス予想では、次世代AIチップ「ブラックウェル(Blackwell)」の本格稼働により、エヌビディア(NVIDIA)はさらなる増収増益が見込まれています。

私は2026年(FY26)1Qを売上高75,000百万ドル、営業利益49,000百万ドル、EPS 2.25ドルと強気の数値で予想しました。この数字が示す「市場の期待」は、AIインフラ投資が単なるブームではなく、全産業のデジタルトランスフォーメーションにおける「必須の固定費」へと昇華したことを意味します。

しかし、アナリストの立場から見てみると、警戒すべきは「期待のハードル」です。利益率が65%という「極限状態」まで高まった今、わずかなコスト増や納期遅延を、市場が「成長が鈍化した」と過剰に反応するリスクをはらんでいるからです。

(2)売上高の動向

エヌビディア(NVIDIA)の通期ベースの売上高は2022年(FY22)の26,974百万ドルから2025年(FY25)は215,938百万ドルと、わずか3年で約8倍に跳ね上がりました。

特筆すべきは最新の四半期データです。2025年(FY25)4Qの売上高68,127百万ドルは、2024年(FY24)の通期ベースの総売上高130,497百万ドルに対して、わずか1四半期だけで半分を超える52.2%という規模の売上を達成したことになります。1年の売上の半分を、わずか3カ月で達成したのです。2026年(FY26)1Qの予想も前年比70%超の成長を予想しています。AI市場の爆発的な需要がエヌビディア(NVIDIA)の成長を後押ししています。

(3)営業利益の動向

本業の儲けを示す営業利益は、2025年(FY25)に通期で130,387百万ドルを記録しました。2022年(FY22)の5,577百万ドルから比較すると、わずか3年で約23倍という驚異的な膨らみ方です。

2025年(FY25)4Qの営業利益44,299百万ドルは、前年(FY24)の通期実績81,453百万ドルに対して、54.4%の進捗率となっています。営業利益率も2025年(FY25)4Qには65.0%まで上昇しており、売上拡大がそのまま利益の拡大に直結するという極めて効率的な収益構造を維持しています。

(4)当期純利益の動向

最終的な利益である当期純利益は2025年(FY25)に通期実績で120,067百万ドルとなり、ついに1,200億ドルの大台を突破しました。

2025年(FY25)4Q単体での純利益は42,960百万ドル。前年(FY24)の通期実績72,880百万ドルに対して58.9%の進捗率です。1年前の年間利益の約6割を、この3カ月だけで積み上げた計算になります。ソフトウェア企業並みの高利益率を、ハードウェア主体の企業が実現している稀有な例です。

(5)株主価値指標の動き

続いて、株価が会社の価値に対して「割安」か、それとも「割高」か、投資家にとって一番気になる株主価値指標の動向についても見ていきましょう。

1)EPS(一株当たり利益)

EPSは会社が1株に対してどれだけの利益を出したかを示します。2022年(FY22)の0.17ドルから爆発的に成長して、2025年(FY25)には4.90ドルになりました。

2025年(FY25)4Qは2.00ドルとなり、1Q予想の2.25ドルに向けて、1株あたりの価値を急速に高めています。

2)PER(株価収益率)

PERは株価が1株益の何倍かを示す期待値の指標です。2022年(FY22)には116.91倍と極めて割高でしたが、現在は利益急拡大により、2025年(FY25)の38.32倍まで低下しています。これほどの成長企業なのに、むしろ堅実な水準にまで落ち着いてきました。「利益が株価を追い越してきた」状態です。

3)PBR(株価純資産倍率)

PBRは、資産に対して株価が何倍かを示します。2024年(FY24)の44.01倍から2025年(FY25)には29倍へと低下しました。これは、稼ぎ出した巨額の純利益が資産として積み上がっているためであり、見かけ上の割高感が解消されつつ、財務体質が強化されていることを裏付けています。

(6)貸借対照表から見る「財務の安定性」

貸借対照表は、会社の「財産(資産)」「借金(負債)」「返済不要の自分のお金(純資産)」のバランスを示した会社の「健康診断書」です。

単位:百万ドル

1)資産の動向

エヌビディア(NVIDIA)の総資産は、2024年(FY24)の65,728百万ドルから2025年(FY25)には206,803百万ドルへと、わずか1年で3倍以上に急拡大しました。特に流動資産が125,605百万ドルと激増しています。手元の現金や回収待ちの売上金が桁違いに増えていることを示しています。また、次世代半導体の開発投資により固定資産も大幅に増えており、未来への布石は万全と言えそうです。

2)負債の動向

資産が爆発的に増える一方で、負債の増加は比較的抑制されています。2025年(FY25)の負債合計は49,510百万ドルですが、その多くは事業拡大にともなう短期的な支払義務の流動負債で、長期的な借金である固定負債は17,347百万ドルと、資産規模に対して極めて低い水準です。借金に依存せず、自前の資金で成長を賄っている健全な姿が見て取れます。

3)純資産の動向

純資産は、2024年(FY24)の42,978百万ドルから、2025年(FY25)には157,293百万ドルと、1年で約3.6倍に膨らみました。まさに1,200億ドルを超える当期純利益がそのまま会社の「蓄え」として積み上がった結果です。短期間でこれほどの純資産を積み上げる企業は歴史的に稀であり、世界で最も強固な財務基盤を持つ企業と言えます。

4)流動比率の動向

流動比率は、短期的な支払い能力を示す指標で、200%以上あれば安全とされます。エヌビディア(NVIDIA)は2025年(FY25)時点で390.53%という極めて高い水準を維持しています。言い換えると、1年以内に支払うべきお金の約4倍の現預金を保有している計算で、資金繰りの不安は皆無です。

5)自己資本比率の動向

自己資本比率は、総資産に対する自分のお金の割合を示します。2023年(FY23)は53.67%、2025年(FY25)には76.06%まで上昇しています。資産の約4分の3が返済不要の自己資本で構成されており、いかなる市場環境の急変にも耐えうる、盤石な安定性を手に入れています。

(7)キャッシュフロー計算書から見る「事業の健全性」

 

最後にエヌビディア(NVIDIA)のキャッシュフロー計算書を確認しましょう。キャッシュフロー計算書は、いわば会社の「家計簿」です。お金の流れを3つの活動に分けて見ていきます。「営業キャッシュフロー(営業CF)」は本業で稼いだ現金、「投資キャッシュフロー(投資CF)」は将来のための設備や開発に使った現金、「財務キャッシュフロー(財務CF)」は株主還元や借金返済による現金の動きです。

単位:百万ドル

1)営業キャッシュフロー(営業CF)の動向

営業CFは、2025年(FY25)に通期ベースで102,718百万ドルとなり、1,000億ドルの大台をついに突破しました。これは前年(FY24)の通期実績64,089百万ドルに対して約1.6倍の伸びです。利益が「現金」として、しっかりと入ってきていることを示しています。粉飾などを疑う余地もない極めて質の高い収益力を証明しています。

2)投資キャッシュフロー(投資CF)の動向

投資CFは、2025年(FY25)に通期ベースでマイナス52,228百万ドルとなりました。これは前年(FY24)実績のマイナス20,421百万ドルの約2.5倍にあたり、進捗率は255.7%です。猛烈な勢いで投資を実行しています。ブラックウェル(Blackwell)の開発や次世代インフラへの巨額投資により、他社を寄せ付けないほどの「参入障壁」を、さらに強固にしているような状況です。

3)財務キャッシュフロー(財務CF)の動向

財務CFは、2025年(FY25)に通期ベースでマイナス48,474百万ドルとなりました。前年(FY24)の通期実績がマイナス42,359百万ドルなので、114.4%の進捗率です。本業で稼いだ莫大な現金を、株主還元(自社株買いや配当)のために惜しみなく支出しており、成長と還元の理想的なバランスを実現しています。

(8)AI革命の心臓となった企業がみせる本気の「構え」と「攻め」

エヌビディア(NVIDIA)の2025年(FY25)決算は、売上高が215,938百万ドルという、通期ベースで2,000億ドルを突破して、AI革命の「社会実装」が本物であることを証明する結果となりました。2026年(FY26)1Qの予想に向けても、売上高成長率70%超を見込むなど、その勢いは衰えるどころか、さらに高次元の成長ステージへと移行しています。

投資家が注目すべきは、もはや売上高や利益の「額」ではありません。自己資本比率76%という鉄壁の「安定性」。そして、年間1,000億ドルを超える現金が発生させている「営業CF」こそが、エヌビディア(NVIDIA)の真の強みです。この莫大な資金力が、次世代チップ「ブラックウェル(Blackwell)」への移行を加速させ、さらなる投資と還元を可能にしています。

一方で時価総額の巨大化にともない、市場は「完璧な決算」を当然のものとして求めるようになっています。収益性、成長性、財務の安定性のすべてが、世界最高水準にある今、エヌビディア(NVIDIA)の評価は、単に四半期ごとの数字の結果に一喜一憂するのではなく、急成長を遂げているAI市場において独占的な立場にあるという「構造的な強さ」に着目し、多角的な財務分析が不可欠です。

エヌビディア(NVIDIA)の最新決算と財務データから浮かび上がるのは、類を見ないほどの「高成長」「高収益」「高安定」を同時に実現している企業の姿です。「AI」に対する世の中のバブル懸念を打ち消すほど、同社は確かな収益力を維持しています。GPUの出荷数や四半期ごとの成長率といった「動き」だけでなく、積み上がった純資産や盤石な流動比率といった「構え」の強さにも注目してください。市場の期待は極めて高いですが、それを支えるだけの圧倒的な財務的裏付けを同社は持っています。成長率鈍化という課題が常に議論されていますが、現在の強固な経営基盤がある限り、同社は今後も市場のリーダーであり続ける可能性は極めて高いでしょう。

 
岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
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