本日のロンドン為替市場では、ユーロ圏の景気先行きの不透明感と、英国の政情不安という二つの下押し要因が意識されやすい展開となりそうだ。5月独ZEW景況感指数の発表を控え、景気回復の遅れがユーロの重石となるなか、ポンドは地方選の結果を受けたスターマー英首相への退陣要求という不透明な政治情勢を抱えている。中東情勢の緊迫化に伴うリスク回避のドル買いも根強く、ユーロドルやポンドドルは上値の重い展開を想定したい。
ユーロの動向を左右するドイツの景況感については、慎重な見方が広がっている。独ZEW景況感指数が3カ月連続のマイナスとなれば、2023年秋以来の低迷が定着していることを裏付ける形となる。本日はナーゲル独連銀総裁らタカ派高官の発言も予定されているが、足元の景気指標が冴えないなかでは、6月以降の利上げ継続を示唆する強気な姿勢もユーロの買い支えには力不足となる可能性がある。景気減速とインフレ抑制の板挟みにあうなかで、市場は欧州の金融政策の舵取りの難しさを改めて意識することになりそうだ。
英国に目を向ければ、ポンドは極めて不安定な政局に振り回される展開が予想される。地方選での大幅な議席減を経て、与党・労働党内では閣僚補佐官の相次ぐ辞任や、70名を超える議員による退陣要求など、スターマー首相への不満が具体的な行動として現れ始めた。首相自身は「混乱を招くだけ」として辞任を否定しているが、この党内対立が長引くほど、英国の政策遂行能力への不信感からポンドの戻りは抑えられやすい。次期政権への期待感よりも、目先の統治不全を嫌気する動きが当面の重石となるだろう。
さらに、相場全体を覆うのは「有事のドル買い」の再燃リスクだ。昨日にトランプ米大統領が対イラン軍事行動を検討しているとの報道が伝わって以降、地政学リスクへの警戒は解けていない。米大統領のSNS等での発言や中東情勢に関する続報がドルの下値を支える構図が続いており、これら欧州独自の不安材料と組み合わさることで、ユーロドルやポンドドルは下値を模索する場面もありそうだ。ロンドン時間は、景気指標と政局動向の双方をにらみながらの神経質な値動きを想定したい。
想定レンジ上限
・ユーロドルは4月17日高値の1.1849ドル
・ポンドドルは1日高値の1.3658ドル
想定レンジ下限
・ユーロドルは日足・一目均衡表転換線の1.1726ドル
・ポンドドルは4日安値の1.3512ドル
(越後)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
