本日のNY市場におけるドル円は、為替介入への強い警戒感が上値を抑制する一方で、米国とイランの停戦協定が崩壊の瀬戸際にあるとの見方から原油先物価格が底堅く推移し、ドル高圧力がかかりやすい展開が想定される。
市場の想定通り、政府・日銀による円買い介入は複数回にわたり実施された可能性が高いが、その結果はむしろ下値の底堅さを改めて印象付けるものとなった。先週30日の介入はサプライズではあったものの、日銀の利上げを政府の意向で抑制したことに対する「インフレ対策の代替措置」とも解釈でき、金融政策決定会合後というタイミングも含めて、2年前の大規模介入の焼き直しという側面は否めない。
実際、4月30日にはドル円は5.15円もの急落を記録したが、昨日は介入の有無が確認されていない中で、値幅は1.58円にとどまり、インパクトの減衰が鮮明となっている。本日も実弾介入が観測されれば、本邦休場という流動性の低下も相まって一定の値幅を伴う可能性はあるが、原油価格が高止まりする限り、ドル買いセンチメントが大きく後退するとは考えにくい。政府が日銀の利上げを抑制させながら、足元の円安をファンダメンタルズの観点から「投機的」と断じるのは、やや整合性を欠く見方と言わざるを得ない。
原油市場に目を向けると、全米自動車協会(AAA)が公表するレギュラーガソリン価格は1ガロン4.457ドルと、前日の4.446ドルからさらに上昇した。一般に4ドル超は米国消費者にとって割高圏とされ、4.5ドル台は家計に強い負担を与える「異常水準」と位置付けられるが、足元では上昇圧力が鈍化する兆しは見えない。トランプ政権は停戦維持に加え、ホルムズ海峡の通行支援など複数の対応策を打ち出しているものの、いずれも原油先物価格の下落は一時的にとどまり、有効打に欠けている印象が強い。イランのガリバフ国会議長が「現状維持が米国にとって耐え難いものであることはよくわかっている」と発信したように、むしろ焦燥感がにじむのは米国側である。
さらに、韓国の貨物船がホルムズ海峡で攻撃を受けたほか、複数の商船炎上も報じられている。加えて、イランによるアラブ首長国連邦へのドローン・ミサイル攻撃も伝わり、無期限とされた停戦協定は崩壊寸前の様相を呈している。トランプ大統領が、コストばかりが嵩み効果が限定的となり得る再攻撃に踏み切るのかは不透明だが、いずれにせよ原油価格の高止まりがドルを下支えする構図に大きな変化はないだろう。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、日足一目均衡表・転換線、基準線が重なる158.11円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、1日安値155.50円を割り込むと、200日移動平均線154.20円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
