本日のニューヨーク市場も、大きなレンジ拡大は見込みにくいものの、基本的なドル高トレンドは維持される公算が大きい。
今週に入り、イラン・米国・レバノンの間で停戦期限の延長が決定された。表向きはパキスタンの仲介要請や、イラン国内での意思統一の遅れが理由とされているが、実態としては双方が受け入れ可能な妥協点を見出せていないことが本質だろう。
イラン側にとっては、一方的な攻撃により指導層のみならず、子どもを含む多数の民間人が犠牲となった状況下で、安易な譲歩に踏み切れば革命防衛隊をはじめとする強硬派の強い反発は避けられない。さらに、インフラの損壊が深刻化する中、ホルムズ海峡の利権まで手放すような合意に至れば、戦後復興の道筋そのものが閉ざされかねない。
一方の米国も、イスラエルの意向を背景に軍事行動へ踏み切った経緯がある以上、明確な成果を伴わないままの和平には踏み込みにくい。こうした思惑の乖離が続く限り、原油先物価格は高止まりしやすく、結果としてドルの下値も堅い展開が続く可能性が高い。
トランプ大統領は「自分にはいくらでも時間があるが、イランにはない」と強気の姿勢を示している。しかし、実際に早期決着を求めているのは、国内事情によるトランプ政権側との見方が根強い。
全米自動車協会(AAA)の調査では、レギュラーガソリン価格は先週の4.09ドルから4.03ドルへとわずかに低下したものの、依然として高水準にあり、インフレ圧力の根強さが意識されている。これに伴い、国内の支持率低下にも歯止めがかかっていない。加えて、ホルムズ海峡に展開する軍艦の維持コスト増大や、対外戦略の次の焦点とされるキューバ問題などを踏まえれば、時間的制約が米国側に重くのしかかっているのも事実だろう。
今後、目立った進展が見られない場合、市場は次の局面、すなわち大規模軍事行動への移行、あるいは何らかの大義名分を伴う撤退シナリオを織り込み始める可能性がある。
なお、本日の米国では、4月ミシガン大学消費者態度指数の確報値を除き、注目度の高い経済指標の発表は予定されていない。市場は引き続き、中東情勢のヘッドラインに敏感に反応する展開が続くだろう。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、7日高値160.03円を超えると3月30日高値(年初来高値)160.46円
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、日足一目均衡表・基準線159.03円
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
