本日のニューヨーク為替市場では、地政学リスクへの反応が鈍化しつつも「有事のドル買い」への警戒が根強い展開となりそうだ。トランプ米大統領は21日、対イラン停戦の無期限延長を表明。しかし、海上封鎖の継続を明言したことで、封鎖解除を協議再開の条件とするイラン側との溝は一段と深まっている。バンス米副大統領のパキスタン訪問中止も重なり、第2回和平協議は事実上、頓挫した格好だ。
交渉が行き詰まる背景には、イラン国内の深刻な権力闘争がある。ペゼシュキアン政権と革命防衛隊の対立は公然化。最高指導者に選出されたモジタバ・ハメネイ師も調停能力を発揮できていない。17日のアラグチ外相による海峡開放表明が直後に革命防衛隊に覆された事実は、統治機能の不全を露呈している。米側がキーパーソンと目してきたガリバフ国会議長に決定権がないことも判明し、米国の交渉戦略は抜本的な見直しを迫られている。
こうした情勢不安から原油相場は乱高下しており、ドル円の方向感を欠く要因となっている。アジア時間に伝わった「米国が封鎖解除の兆候」との一部報道でWTI原油先物は一時88ドル割れまで急落したが、封鎖継続の再確認を受け欧州時間には91ドル台へ切り返した。和平期待の浮上と剥落に翻弄される地合いに変化はなく、エネルギー価格の高止まりが続く限り、インフレ懸念を背景としたドルの下値の堅さは維持されるだろう。
なお、NY時間にはナーゲル独連銀総裁やラガルドECB総裁の発言が控えている。中東混乱に端を発したインフレリスクの再燃を当局がどう捉えているかに注目したい。欧州勢の帰り際にかけて、ユーロ相場がレンジを広げる可能性にも注意が必要だろう。
想定レンジ上限
・ドル円、7日高値160.03円
・ドルインデックス、13日高値99.18
想定レンジ下限
・ドル円、20日安値158.46円
・ドルインデックス、17日安値97.63
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
