31日のニューヨーク外国為替市場で、ドル円はアジア時間に伝わった「トランプ米大統領は側近らに対し、ホルムズ海峡の大部分が封鎖されたままでも、イランに対する米軍の軍事作戦を終了させる意向を示した」との報道を受けた「有事のドル買い」を巻き戻す動きが継続。月末・期末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだ円買いのフローも重しとなった。その後「ペゼシュキアン・イラン大統領は『保証があれば戦争を終わらせる準備ができている』との考えを示した」と報じられると、戦争終結期待から158.66円まで下落した。ユーロドルは「有事のドル買い」が巻き戻される中で1.1563ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、本邦の経済指標を確認しつつも、引き続きイラン情勢に神経質な展開が予想される。
昨日はトランプ米大統領に続き、イラン大統領からも終戦についての発言が伝わり、戦争の早期終結期待が高まった。本日もこの流れを引き継ぎ、双方から前向きな発言が伝われば、ドルは売り戻しが優勢となる公算である。
ただ、現時点では双方に和平の意思が確認できただけであり、具体的に話し合いがまとまるかはこれからである点には注意したい。
米国は先月末にイランに対し15項目の和平案を提示したと報じられる一方、イランは停戦の5条件を提示しているが、核関連(核施設や核物質の扱いなど)や賠償、ホルムズ海峡の取り扱いなど、双方の意見の隔たりは大きく、依然として和平交渉への道のりは不透明である。交渉による和平への機運が遠ざかる場合、リスク回避の動きからドルや原油が買い直される展開への備えは必要だろう。
とはいえ、外交は双方の利害がぶつかる場であり、双方に都合の良い情報が流れやすいのは仕方のないところ。本日も関係者の発言で神経質な展開は避けられないだろう。
一方、気になるのは米大統領の発言である。昨日は「ホルムズ閉鎖状態でも作戦終了の用意」としたほか、本日朝方に「米国の撤退のためにイランとの合意は不要」「イランの核兵器保有は不可能と判断した時点で撤退へ」などの発言が伝わっている。場合によっては核物質の扱いが解決されればホルムズ海峡については一旦棚上げとなる恐れがある。その場合、原油価格が高止まりするようだと、インフレ懸念が残る展開もあり得る。トランプ米大統領の発言が二転三転しており発言に対する信頼性は低下しているものの、当事者ということもあり、引き続き発言内容を注視したい。
他方、朝方に発表される日銀短観について、市場予想は大企業製造業の業況判断が16と前回15をわずかに上回る一方、先行きが12と前回15から低下が見込まれている。予想や前回を上回る強い数値となれば、4月日銀利上げ観測が意識されて円買い材料視される可能性がある。もっとも、今回の短観は2月26日に送付されて3月12日に回収されており、足元で進行する原油高による経済への影響を十分織り込んだとは言いづらい点を考慮すると、仮に強めの結果になったとしても市場の反応は限られるかもしれない。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
