
作成日時2026年3月19日 10時40分
金価格は1か月ぶりの安値圏、RSIは売られすぎを示唆
- 18日に節目の5,000ドルを割り込み、4,800ドル台へ。1か月ぶりの安値水準
- FOMC(米連邦公開市場委員会)は市場が期待したほどハト派にならず。高金利長期化と換金売りが重しに
- RSIは極端な売られすぎ水準。ただし一目均衡表の雲を下抜けで上値も重そう
- 押し目買いの条件は「金利・ドル高の一服」「4,800ドルの下値維持」「投機筋の売り一巡」
FOMCでも下げ止まらず、4,800ドル台へ急落
18日の金相場は大きく崩れ、心理的な節目だった5,000ドルをあっさり割り込みました。国際スポット価格は一時4,800ドル台まで下落し、1か月以上ぶりの安値水準です。
背景としては、米金利が上昇したほか、政策金利が3.50~3.75%で据え置かれたFOMCが「思ったほどハト派ではなかった」ことがあります。
FOMCの3月の経済見通しでは、2026年のPCEインフレ見通しが2.7%へ上方修正され、2026年末の政策金利中央値は3.4%。年内の追加利下げは1回程度にとどまる見通しで、金にとって追い風となる“早めの利下げ期待”は後退しました。
パウエル議長も「エネルギー高は当面インフレを押し上げうる」と発言しており、金相場には逆風が続いています。
なぜ「有事」なのに売られるの?──金相場を取り巻く2つの変化
本来なら地政学リスクなどの有事に金は買われやすいのですが、いまは事情が少し違っています。次のような要因が重なり、こうした状況になっていると見られます。
① 原油高→インフレ懸念→高金利・ドル高の連鎖と「換金売り」
中東情勢の緊迫化が原油高を招き、インフレ懸念を強めています。これがFRBの利下げを遅らせ、結果として「ドル高・米金利上昇」が進行。金の上値を重くしています。
さらに、金が“換金売りの対象”になっている点も大きな変化です。株式など他の資産が下落する中、投資家が資金を確保するために金を売る動きが強まっており、安全資産としての役割が発揮されにくい状況です。
② 短期的な需給悪化
COMEX(ニューヨーク商品取引所)のネットロング縮小が確認されており、短期筋の投げ売りがまだ完全には終わっていない可能性があります。
③ でも、中長期の買い需要は依然しっかり
とはいえ、金の上昇トレンドが完全に崩れたわけではありません。WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)によれば、2025年の中央銀行による金買いは863トンと高水準で、2026年2月まで金ETFへの資金流入は9カ月連続。中長期の買い需要はしっかりしており、調整が落ち着けば再び見直される余地があります。
強烈な下落トレンドと「極端な売られすぎ」が同時進行 テクニカル分析

急落によって短期トレンドは大きく悪化していますが、オシレーター指標は“売られすぎ”のサインを強く示しています。
一目均衡表(雲の下抜け)で下値支持帯喪失
ローソク足は一目均衡表の雲下限(4,870ドル付近)を明確に割り込みました。弱気シグナルであり、まずはこの水準を取り戻せるかが下げ止まりの第一関門です。
10日移動平均線(5,050ドル付近)が戻り売りの壁に
急落によりローソク足は10日移動平均線から大きく下方乖離しています。5,050ドル付近は今後の反発局面で「戻り売りの壁」として意識されやすい水準です。
RSI(9日)はパニック的な売られすぎ
RSIは「19付近」と極端な売られすぎ水準まで低下しています。短期的な投げ売りが集中したことを示唆しており、自律反発が起きてもおかしくない状態です。
どこで「押し目買い」を検討できるか
いまは「5,000ドル割れ=買い」「RSIが低い=買い」といった単純な判断は危険と感じます。まずは次の条件が揃うかどうかを丁寧に確認しながら、押し目買いのタイミングを見極めたいところです。
① ドル高・米長期金利上昇の一服
今回の急落要因が金利高・ドル高である以上、これらが落ち着かない限り反発は難しい状況です。
② 直近安値レベル(4,800ドル前後)の死守とテクニカル的な下げ止まり
4,800ドルを割り込まずに下げ止まることが必須です。そのうえで、
- 一目均衡表の雲内(4,870ドル以上)への回復
- RSIの反転上昇
など、「下げ止まりを確認してから」のエントリーが安心感につながります。
③ ETF・先物の売り圧力の緩和
ETF流出やCOMEXのネットロング縮小が止まること。需給悪化が収まれば反発しやすくなります。
想定レンジと価格シナリオ
▶ 想定コアレンジ:4,650ドル ~ 5,050ドル
メインシナリオ
FOMC通過後、ドル高・金利高が一服し、換金売りも落ち着くケースです。直近安値を守り、一目均衡表の雲内に再突入できれば、売られすぎの反動と中長期の買い需要に支えられ、
- まずは5,000ドル
- 次いで10日移動平均線の5,050ドル
を試す展開が見込まれます。
リスクシナリオ
原油高によるインフレ懸念が続き、利下げ期待がさらに後退するケースです。4,800ドルを明確に割り込むとストップロスを巻き込み、4,600ドル近辺まで下落するリスクがあります。
今後の注目スケジュール
今週は米国の主要物価指標(PCEデフレーター等)の発表がありません。そのため、FOMC後の金利・為替・原油市場の動きや、欧州イベント、各国の景況感指標が相場を左右しやすい展開となります。
- 3月19日(木):英中銀(BOE)政策金利発表、ECB理事会
- 来週前半:米欧など主要国の3月フラッシュPMI
※景気不安とインフレ不安のどちらを市場が強く意識するかが焦点です。
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