
直近のサマリー
ドル円は急落後に下げ止まりつつあり、足元は値固めの動きが見られます。対ドル円レートは2/20に155.642と、短期的にはドル高・円安方向へ戻しています。もっとも、この戻りは“上昇トレンド復帰”と決め打ちできる段階ではなく、次の材料次第で振れやすい局面と捉えるのが無難です。
主要な変動要因としては、引き続き日米金利差(とくに米長期金利)が意識されやすい一方、関税をめぐる法的・政策的な不透明感と地政学リスクが、上値・下値の双方に「ブレーキ」と「揺さぶり」を同時にかけやすい構図です。現時点では「上は抑えられやすいが、下も限られやすい」というレンジ寄りの見立てが、比較的整合的に見えます。
今後を見通す上での三つのポイント
ファンダメンタルズ:下方向を抑え得る要因
米金利は高い水準にあります。米国債利回りが2年3.5%付近、10年4.1付近%、30年4.7%付近で推移しています。物価が2%へ十分に収束したと判断しにくい間は、FRBが利下げを急ぎにくいとの見方が残りやすく、米金利が大きく低下しない場合には、ドル円が下がりにくい展開となる可能性があります。
物価面では、1月CPIが前年比+2.4%、コアCPIが前年比+2.5%と鈍化が確認される一方、PCE価格指数(12月)は前年比+2.9%、コアPCEは前年比+3.0%で、粘りも残っています。雇用も大幅悪化とまでは言い切れず、1月雇用統計は非農業部門+13.0万人、失業率4.3%、平均時給は前年比+3.7%です。これらは、下方向の圧力を和らげる材料になり得ますが、関税や金融環境の変化で景気が想定以上に冷える場合には、この前提が崩れるリスクも残ります。
トランプ関税と地政学:上値を抑え得る要因
関税については、最高裁判断を受けて政策の先行き見通しが立てにくい状態が続いています。ホワイトハウスからは、150日間の一時的な10%輸入関税が示されています(別途、報道では10%から15%へ引き上げる方針も伝えられています)。さらに米税関・国境警備局(CBP)は、最高裁判断を受けてIEEPA関連の関税徴収停止を進めるとしています。
このように「税率」だけでなく「根拠・期間・対象」が揺れやすい局面では、企業の価格設定や投資判断が慎重化し、リスク回避(円高)に傾きやすい場面が増える可能性があります。一方で、関税が物価や金利見通しにどう波及するかはケース次第で、ドル円の反応は一方向に決め打ちしにくい点が重要です。
地政学では、在外公館の退避命令など中東の緊張の高まりが報じられており、リスク回避が強まる局面では円高に振れやすい場面が増える可能性があります。ただし、仮にエネルギーや物価面の連想が強まると、米金利が下がりにくくなる経路もあり得るため、こちらも反応は固定しにくいテーマです。
加えて、円安が進み過ぎた局面では当局対応への警戒が上値を抑えやすい、という“別の天井”も意識されやすい状況です。
市場センチメント:円買い越しが意味するものは
シカゴ通貨先物(2/17)では、円先物の非商業部門がロング143,172枚、ショート130,217枚で、差し引きネットの円買い越しです。この偏りは、悪材料が出た際に円高が速く進むリスクを高め得る一方、材料が剥落した場合には巻き戻し(ドル円の反発)が起きる余地も示唆します。結果として「底堅いが上も重い」という“レンジっぽさ”に繋がりやすい点は押さえておきたいところです。

テクニカル分析
ドル円日足チャートでは、直近の大枠が「高値159.452円 → 急落 → 安値152.094円 → 戻り後の揉み合い」です。急落後は反発しているものの、上昇が連続している形ではなく、いったん落ち着いた局面に見えます。
10日移動平均線とローソク足
10日移動平均線とローソク足の位置関係では、急落局面でローソク足が10日線を明確に下回り、その後の反発で10日線へ戻ってきたものの、足元は10日線近辺で小さな実体が続いています(最新足:始値154.581/高値155.140/安値154.532/終値154.913)。ここは、10日線の上で推移できる時間が増えるか、10日線が上値抵抗として機能し続けるかの分岐点になりやすい形です。
RSI(9)
RSI(9)は急落後に持ち直し、50前後の中立域に戻っているように見えます。過熱でも売られ過ぎでもないため、RSI単体からは「一方向に走る強い合図」というより「値固めを示唆しやすい位置」と捉えるのが自然です。
目先のテクニカルポイント
- 上値:まず155.10~20(直近高値155.140円近辺)。終値で上回って推移できる日が増えると、156~157円台が次の戻りの壁として意識されやすい。
- 上値(上位):さらに上は158円台後半~159.45円が、戻り売りの強い抵抗帯として意識されやすい。
- 下値:154.50前後(直近安値154.532円近辺)が短期の攻防。割れて続く場合は154円、153円台が視野に入りやすい。
- 下値(重要):152円近辺(152.094円近辺)は、今回の値動きでは重要な下値目処として意識されやすい。
まとめ:底堅さは「維持される可能性」があるが、上値も「伸びにくい可能性」
米金利水準と、物価・雇用が急崩れとまでは言い切れない点は、ドル円の下支えになり得ます。一方で、関税の枠組みが揺れる不透明感と地政学の緊張は、リスク回避や企業マインドの慎重化を通じて上値を抑え得ます。したがって当面は、テクニカル面の「155円台を終値で固められるか」と「154円台半ば~152円近辺を保てるか」という部分を、材料(関税・地政学・米指標)と併せて点検していくのが現実的と考えています。
今後の重要イベント
- 3/6(金):米雇用統計(2月分)
- 3/11(水):米CPI(2月分)
- 3/13(金):PCE(個人所得・支出、1月分)
- 3/17(火)–18(水):FOMC(経済見通しあり)

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