エコノミスト、グローバルストラテジストのエミン・ユルマズ氏に、2026年のドル円相場の見通しと今後のインフレ動向について詳しくお話を伺いました。
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2025年ドル円相場の振り返り
2025年のドル円市場は「行って来い」の一年でした。年初はドル円158円からスタートし、一時140円まで円高が進行。その後は円安基調が強まり、高市政権誕生後はさらに加速しました。
●通貨別パフォーマンス
・日本円:プラス1%(ほぼ横ばい)
・ドル:マイナス10%
・ユーロ:プラス14%近い上昇
エミン氏によれば、後半からの円安加速には明確な理由があります。
2026年のドル円相場は160円突破か
■円安継続の3つのシナリオ
1. アメリカの円安容認
エミン氏は、ドル円160円台でもアメリカが牽制しない可能性を指摘します。その理由は:
・サプライチェーンの日本回帰促進
・対中国戦略における日本の重要性
・レアアース供給網の再構築
2. 基準点の上方修正
従来は150円を基点に±10円の変動を想定していましたが、160円が新たな基準となる可能性があります。
3. インフレ長期化による円安圧力
日本の長期金利上昇が示す通り、市場はインフレ高止まりを織り込み始めています。
■ドル円の短期調整リスク
一時的な円高要因としては:
・リスクオフ相場
・キャリートレードの巻き戻し
・金融危機やAIバブル崩壊
ただし、ファンダメンタルズでドル円が本格的に円高に転じる材料は乏しいとエミン氏は分析します。
インフレはいつまで続く?
■日銀vs市場:インフレ見通しの対立
●日銀の予測
・2026年前半にコアインフレ率が2%を下回る
●市場の見方(エミン氏も同意)
・インフレは長期化する
・その証拠が長期金利の上昇
- 10年国債利回り:2.1%(27年ぶりの高水準)
- 30年国債利回り:3.4-3.5%
■インフレ長期化の構造的要因
1. 中国とのデカップリング
・安価な中国製品への依存度低下
・国内生産のコスト増加
・環境基準の厳格化
2. 積極財政政策
高市政権の21兆円経済対策は、インフレ要因だとエミン氏は指摘します。
3. レアアース国内生産
中国より高コストでの生産が、長期的な物価上昇圧力に。
■インフレは悪いことなのか?
エミン氏は「適度なインフレは経済活性化に必要」と強調します。
●インフレのメリット
・賃金上昇期待による消費活性化
・借金の実質的な目減り
・マネーストックの増加
・投資・消費マインドの改善
●デフレの問題点
・お金を動かさないことが正解になる
・消費・投資の先送り
・マネーストックが増えない
「日本は30年間デフレに慣れてしまった。インフレマインドへの転換が必要」とエミン氏は語ります。
円安・インフレ時代の資産防衛戦略
■日経平均は6万円到達か
エミン氏の分析では:
・51,200円のレジスタンス突破済み
・5万円台から6万円台へステージ移行
・2026年中の日経平均6万円到達が視野
●上昇の背景
1. インフレのフロントランニング
2. サプライチェーン再構築期待
3. 銀行株の上昇(金利上昇期待)
■エミン・ユルマズ氏が注目するセクター
●短期目線
・化学
・機械
●長期目線
1. エネルギー:データセンター向け需要
2. インフラ:通信インフラの刷新
3. 防衛関連:重工業だけでなく、サイバーセキュリティ、食料安全保障、金属リサイクルなど幅広く
4. ヘルスケア:AI活用によるデジタル化
●銀行株が注目される理由
「20年間動かなかった銀行株が急騰している」とエミン氏。長期金利上昇により、銀行セクターに追い風が吹いています。
ドル円を左右する地政学リスク
■米中対立の新局面
エミン氏が指摘する2026年の地政学キーワード:
●アメリカの戦略的動き
・ベネズエラへの介入
・イランでの大規模デモ
・モンロー主義の復活(「ドンロー主義」)
「中国が直接アメリカに対抗できない中、日本への圧力として表れている」とエミン氏は分析します。
●日本のチャンス
円安・インフレ環境は、日本にとってサプライチェーン再構築の好機でもあります:
・レアアース開発
・半導体製造
・防衛産業強化
インフレ時代の家計への影響
■インフレの実態
エミン氏によれば、購買力が変わらなくても名目賃金が上がることで、人間は心理的に満足感を得られるといいます。
重要なのは
・デフレマインドからの脱却
・現金を動かすことのリスク認識
・借入を活用した投資・消費
■賃金上昇の波及
大手企業から中小企業へと賃金上昇が波及中。追いつくまで時間はかかるものの、サイクルは確実に回り始めています。
2026年の注意点:エミン氏が警告する調整リスク
■株式市場の調整時期
過去のパターンから、2月下旬から3月にかけて調整局面の可能性を指摘。
■ドル円の変動要因
・FRBとトランプ大統領の対立
・アメリカの雇用市場悪化
・AI関連株の調整
まとめ:円安・インフレ時代をどう生き抜くか
エミン・ユルマズ氏の分析によれば、2026年は:
●ドル円相場
・160円突破の可能性
・短期調整はあっても円安基調継続
・長期的には日本経済の構造改革次第
●インフレ動向
・日銀予想に反して長期化の可能性
・適度なインフレは経済活性化に必要
・マインド転換が鍵
●投資戦略
・現預金での保有はリスク
・インフレ受益セクターに注目
・短期の高ボラティリティに備えつつ長期視点で
2026年の日本経済は、インフレへのマインド転換と産業構造の転換期を迎えています。デフレマインドからの脱却、サプライチェーンの国内回帰、そして地政学リスクへの対応が、今後の経済・市場動向を左右する重要な要素となるでしょう。
投資家にとっては、短期的なボラティリティに留意しつつ、構造的な変化を捉えた中長期的な視点が求められる年になりそうです。
エミン・ユルマズ氏エコノミスト、グローバルストラテジスト
トルコ・イスタンブール出身。1996年に国際生物学オリンピック優勝。
97年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。同大学大学院にて生命工学修士取得。
2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に関わる。
2024年にレディーバードキャピタルを設立し、代表を務める。
現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。文筆活動、SNSでの情報発信も積極的に行っている。
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