
執筆日時:2026年9月30日12時/予想期間:2026年9月30日〜10月7日
【この記事でわかること|メキシコペソ/円見通し】
- 今後1週間の予想レンジ:8.45〜8.85円
- 上昇要因:米長期金利の低下、円高や予想変動率上昇の一服、売られ過ぎ(RSI19.5)からの買い戻し
- 下落リスク:米長期金利の一段の上昇、日銀の10月利上げ観測による円高、ペソ買いの解消の継続
- 重要な分岐点:8.85円前後を回復するか、8.60円を割り込むか
メキシコペソ/円は、前回想定した下限の8.85円を米PCEの発表前に割り込み、今週は一時8.649円まで下落しました。日米首脳会談でトランプ大統領が円安への懸念を示し、25日の日米財務相会談でも「円の過小評価は問題」との認識が再確認されたことで、ドル円は一時156円台後半まで下落しました。そこに、ドル/ペソが29日に一時18.15ペソと3月以来の水準をつけるペソ安が重なりました。
市場では、売られ過ぎからの反発を見込む声と、ペソ買いの解消はまだ続くとの見方が分かれています。筆者のベースシナリオは、8.85円前後を回復できない限り上値の重い展開です。反発に転じるには、円高やペソの金利面での魅力低下、米長期金利の上昇といった逆風が少なくとも一部で和らぐ必要があり、なかでも最大の判断軸は米長期金利の上昇が止まるかどうかとみています。以下では下落を招いた材料を順に整理しますので、ご自身がどの材料を重く見るか考えながら読み進めてみてください。
メキシコペソ円の下落要因と来週の見通しを左右する材料
揺らぐペソ高の土台:高金利を理由に持つ「余裕」が薄れた
主要国の利上げで縮むメキシコとの金利差
ペソは9月4日に対ドルで約2年ぶりの高値をつけるまで、高金利を支えに買われてきました。しかし、メキシコ銀行が24日に政策金利を6.50%で据え置く一方、FRBは9月16日に3.75〜4.00%へ利上げし、日銀や豪州準備銀行も利上げを進めています。同じ高金利通貨の南アフリカでは、南アフリカ準備銀行が23日に政策金利を7.25%へ引き上げ、メキシコとの差を広げました。28日の新興国通貨安ではランドも売られましたが、金利の比較でペソを選ぶ理由は以前より弱まっています。ペソの高金利そのものがなくなったわけではありませんが、他国との金利差が縮み、高金利を理由にペソを持つ余裕は薄れています。
予想変動率の上昇でキャリー取引に逆風
さらに、ドル/ペソの予想変動率が上昇しました。現在は、金利収入に対して為替変動のリスクが大きくなり、高金利通貨を買う取引(キャリー取引)には向かない環境です。CFTCの非商業部門のペソ・ロングは、9月1日の174,649枚から22日には127,595枚へ減っており、短期的にはこの環境がペソ買いの解消を促している可能性があります。ペソ買いが戻るには、まず予想変動率の低下が待たれます。

下落を加速させた米長期金利
利上げ観測が後退しても下がらない米10年債利回り
こうしたペソ買いの解消を一気に進めたのが、米長期金利の上昇です。中東情勢を背景とした原油高がインフレ懸念を強め、米10年債利回りは29日に一時5.2%台後半と2007年以来の高水準に達し、新興国通貨が幅広く売られました。同日は米国の求人件数や消費者信頼感指数が弱く、ウィリアムズNY連銀総裁の「急ぐ必要はない」との発言もあって、10月の利上げ確率は約7割から5割前後に低下しています。それでも長期金利はほとんど下がらず、ペソ円は安値を更新しています(「利上げ観測が後退したのに、なぜ……」)。
米PCE・ISM・雇用統計で長期金利は低下するか
目先はPCE(個人消費支出)、ISM景況指数、雇用統計を受けて、長期金利が5.2%台から明確に低下するかが最大の焦点です。ただし、雇用まで大きく崩れて株安に広がれば、リスク回避のペソ売りにつながる可能性もあります。
円高が止まるかも焦点に
ペソ円が戻るには、ペソの反発だけでなく円高の一服も必要です。ドル円は158円台で頭打ちになりやすく、日銀短観、東京都区部CPI(消費者物価指数)、植田総裁の発言を通じて10月利上げ観測が強まれば、円高が続く可能性があります。10月に延期されたUSMCA協議(日時未定)や、米国のディーゼル輸出規制をめぐる議論も、報道次第で材料になりえます。
ペソ円の視点とシナリオの組み立て方
メキシコペソ円の上値・下値の分岐点
今週は週足ベースのピボットのS2(8.655円)も割り込み、8.649円まで下落しました。米長期金利が低下して円高も一服すれば、まずはS2を回復できるかが試され、その上はS1(8.775円)、8.85円前後が戻りのめどになります。8.85円前後を回復すれば予想レンジ上限を上抜けることになり、その場合はピボット(8.965円)を経て9.00〜9.05円への上振れも視野に入ります。反対に長期金利の上昇や円高が続き、8.60円の節目を割り込めば、2025年の安値6.840円からの上昇幅の38.2%ライン(8.45円付近)が意識されそうです。

買い持ち・売り持ちそれぞれの見方
買い持ちの方にとっては、予想変動率が落ち着くかどうかが、保有を続けるかを考える材料になりそうです。南アランド円などとスワップポイントを比べている方には、南アフリカの政策金利がメキシコを上回り、その差が広がっていることも判断材料の一つになりそうです(スワップポイントは政策金利だけでなく、短期金利などによっても変わります)。売り持ちの方にとっては、売られ過ぎからの急な戻りに注意が必要な水準です。
【あなたの見通しは?】
A.8.60円を割り込み、8.45円方向へ下落する
B.8.60〜8.85円の範囲で下げ止まりを探る
C.8.85円を回復し、さらに上値を試す
メキシコペソ/円の注文情報(オーダーブック分析)
| Sell | Rate | Buy |
|---|---|---|
| 30,000 Lot | 9.15 | 12,000 Lot |
| 24,000 Lot | 9.10 | 3,000 Lot |
| 18,000 Lot | 9.05 | 3,000 Lot |
| 18,000 Lot | 9.00 | 3,000 Lot |
| 21,000 Lot | 8.95 | 3,000 Lot |
| 15,000 Lot | 8.90 | 3,000 Lot |
| 9,000 Lot | 8.85 | 6,000 Lot |
| 18,000 Lot | 8.80 | 6,000 Lot |
| 9,000 Lot | 8.75 | 6,000 Lot |
| 9,000 Lot | 8.70 | 6,000 Lot |
| 0 Lot | 8.65 | 0 Lot |
| 30,000 Lot | 8.60 | 21,000 Lot |
| 3,000 Lot | 8.55 | 15,000 Lot |
| 9,000 Lot | 8.50 | 21,000 Lot |
| 3,000 Lot | 8.45 | 6,000 Lot |
| 3,000 Lot | 8.40 | 9,000 Lot |
| 3,000 Lot | 8.35 | 6,000 Lot |
| 3,000 Lot | 8.30 | 12,000 Lot |
| 3,000 Lot | 8.25 | 6,000 Lot |
| 9,000 Lot | 8.20 | 6,000 Lot |
| 3,000 Lot | 8.15 | 12,000 Lot |
本データは10分おきに再集計され、その約5分後に表示されます。
背景が水色の行は現在レートの位置を表しています。
メキシコペソ/円は現在8.65円付近です。上方向では、8.70円と8.75円にそれぞれ9,000 Lot、8.80円に18,000 Lotの売り注文があります。さらに8.95円に21,000 Lot、9.10円に24,000 Lot、9.15円に30,000 Lotの売り注文が並んでおり、9円台では上値の重さが続く可能性があります。
一方、下方向では8.60円に21,000 Lotの買い注文があり、目先の下値支持として意識されそうです。ただ、同じ8.60円には30,000 Lotの売り注文も並んでいます。現在値より下の売り注文は損切りとみられるため、8.60円を割り込んだ場合は損切りの売りが下げを加速させる可能性があります。その下では、8.55円に15,000 Lot、8.50円に21,000 Lotの買い注文が控えています。
今後の重要イベント
- 9月30日(水) 21:15 米国 9月ADP雇用統計
- 9月30日(水) 21:30 米国 8月個人消費支出(PCEデフレーター)
- 9月30日(水) 21:30 米国 4-6月期実質国内総生産(GDP、確定値)
- 10月1日(木) 08:50 日本 7-9月期日銀短観
- 10月1日(木) 18:30 米国 9月チャレンジャー人員削減数
- 10月1日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
- 10月1日(木) 22:45 米国 9月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 10月1日(木) 23:00 米国 9月ISM製造業景況指数
- 10月1日(木) 24:00 メキシコ 9月製造業購買担当者景気指数(PMI)
- 10月2日(金) 08:30 日本 9月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
- 10月2日(金) 21:30 米国 9月雇用統計
- 10月4日(日) ブラジル 大統領選挙(第1回投票)
- 10月5日(月) 23:00 米国 9月ISM非製造業景況指数
- 10月6日(火) 15:35 日本 植田和男日銀総裁、発言
- 10月7日(水) 08:30 日本 8月毎月勤労統計調査-現金給与総額
- 10月7日(水) 27:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
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