
作成日:2026年9月7日 12時00分
対象期間:2026年9月7日~9月14日
【この記事でわかること】
- 今週のドル円の方向性と予想レンジ(154.00〜157.85円)
- 日銀の追加利上げ観測と米CPIが左右する主要イベント
- IMM円売り越しの巻き戻しリスクと値幅拡大の可能性
- 重要テクニカル水準(155.29〜155.34円・157.25円)とシナリオ判断軸
今週のドル円は154.00〜157.85円を予想レンジとしますが、この水準観は市場で一致しているわけではありません。判断を分ける軸は、日銀が9月利上げ後も引き締めを続けるとの見方が強まるかと、米消費者物価指数(CPI)が米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測をどこまで押し上げるかの2点になります。すでに売り持ち・買い持ちのポジションをお持ちの方も、以下の材料のうちご自身がどれを重く見るかを考えながら読み進めていただければと思います。
今週のドル円の予想レンジ:154.00〜157.85円
前週のドル円相場|日米双方から円高圧力、強い米雇用統計でも156円台どまり
前回は158.50〜161.30円を予想レンジとし、「米金利高=ドル高」が再び機能するかを見ていました。実際、前週前半には160円台まで上昇しています。
しかし高田日銀審議委員の発言などを受けて9月利上げ観測が強まると、ドル円は反落しました。米国側でもADP雇用統計の弱さやFRB高官の発言を受けて米金利が低下し、ドル売りが重なった形です。
その後の米雇用統計は非農業部門雇用者数が+16.2万人と市場予想を大幅に上回りましたが、ドル円の戻りは156円台にとどまりました。日銀の利上げ観測や円売りポジションの巻き戻しが、強い米指標によるドル買いを上回ったとみられます。米金利上昇だけではドル円が戻りにくい地合いに変化したことが、前回予想からの最大の違いです。
この構図が続くかを見るうえで、まず確認したいのが日本側の金融政策です。
今週のドル円相場の注目は日銀動向|9月利上げ後の追加利上げペース
市場では9月の日銀による0.25%利上げをほぼ完全に織り込み、年内の追加利上げも意識されています。焦点は「9月に利上げするか」から、その後も利上げを続けるのかへ移りつつあるとみられます。
注目は9月10日10時30分の増・日銀審議委員の発言です。物価上振れへの警戒や追加利上げの必要性が示されれば、円高が再加速する可能性があります。反対に慎重な姿勢が目立てば、利上げ期待の巻き戻しからドル円が反発する余地も残ります。
日本国債市場の動向も注意したいです。2年債や5年債など短中期金利の上昇であれば、日銀の金融引き締めを反映した日米金利差の縮小=円高につながりやすい一方、超長期金利中心の上昇なら財政や国債需給への警戒も含まれるため、単純な円高材料とはいえません。
これを確認するのが、米インフレ指標となります。
米CPI・PPIの見どころ|FOMC前のドルの最終チェックポイント
9月11日の米8月CPIは、翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にした最大の米国材料です。市場では総合CPIが前年比+3.4%程度、コアCPIは前月比+0.2%程度が見込まれています。今回は「鈍化するか」よりも、コアCPIが+0.2%程度に収まるのか、+0.3%以上へ上振れるのかが分かれ目になりそうです。
上振れれば、前週の強い雇用統計に続いてFRBの利上げ観測が強まり、米国債利回りの上昇を通じてドル円の反発材料になり得ます。+0.2%以下にとどまれば、利上げ観測はそれ以上強まりにくく、ドル円は再び下値を試しやすい展開が想定されます。
前日の9月10日の米8月卸売物価指数(PPI)は、原油高が企業のコストにどの程度波及しているかを測る材料で、CPIの前哨戦として値動きのきっかけになる可能性があります。
日米の金融政策材料に加えて、需給面から値幅が広がる点にも目配りが必要です。
IMM通貨先物の円売り越し|巻き戻しが値幅を広げるリスク

IMM通貨先物では、9月1日時点で投機筋は9万2,227枚の円売り越しでした。この数字は、前週後半に急激な円高が進む前のものである点に留意が必要です。
つまり前週の下落には、日銀の利上げ観測だけでなく積み上がっていた円売りポジションの巻き戻しも影響したと考えられます。
今週、前週安値を割り込む場面があれば、損切りや円キャリートレードの巻き戻しが再び強まり、154円台まで下げ幅が広がるリスクは残ります。買い持ちの方にとっては、想定より値幅が出やすい局面といえそうです。
ドル円のテクニカル分析|155.30円割れと157.25円が分岐点

日足の14日相対力指数(RSI)は31.9と、売られ過ぎの目安となる30に近づいています。短期的な反発余地は意識されるものの、25日移動平均線158.71円、20日ボリンジャーバンド中心線158.83円を大きく下回っており、基調はまだ下向きとみられます。
下値は、前週安値が位置する155.29〜155.34円が最初の分岐点です。ここを明確に割り込めば、ボリンジャーバンド-3σの154.92円、さらに154.00円まで下値余地が広がる可能性があります。
上値は、前週の下落に対する38.2%戻しにあたる157.25円前後が節目です。ここを超えられれば、次は50%戻しの157.84円付近、158円台への反発余地が広がってきます。
ドル円の視点と、シナリオの組み立て方
メインシナリオは、155円台ではいったん反発を挟みやすいものの、157円台後半を回復できない限り戻りは限定的というものです。
もっとも、これはあくまで一つの見方です。上方向へ修正する条件は、コアCPIが+0.3%以上へ上振れ、157.25円を明確に上抜けること。下方向へ修正する条件は、増委員の発言で追加利上げ観測が強まり、155.29〜155.34円を割り込むこと。この2つを目安に置いておくと、ご自身の見立てが崩れたかどうかを判断しやすくなります。売り持ちの方は戻り局面の水準、買い持ちの方は下値の分岐点を、それぞれどこに置くかを決めたうえで戦略を組み立ててみてください。
【あなたの見通しは?】
A.日銀の追加利上げ観測が主導し、155.29〜155.34円割れから154円台を試す
B.米CPIの上振れでドルが反発し、157.25円を超えて158円台を回復する
C.日米の材料が拮抗し、155円台〜157円台のレンジ内での往来が続く
今後の重要イベント
- 9月07日(月) 米国 休場
- 9月08日(火) 8:30 日本 7月毎月勤労統計調査
- 9月08日(火) 8:50 日本 4-6月期実質GDP改定値
- 9月10日(木) 10:30 日本 増・日銀審議委員 発言
- 9月10日(木) 21:30 米国 8月卸売物価指数(PPI)
- 9月10日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
- 9月11日(金) 8:50 日本 8月国内企業物価指数
- 9月11日(金) 21:30 米国 8月消費者物価指数(CPI)
- 9月11日(金) 23:00 米国 9月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
