
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年12月12日 15時40分
日銀の『金利水準』と『利上げペース』巡る発信に要注意、それでも『高市トレード』へ回帰するのか?
米ドル/円、日米金融政策への思惑交錯で方向感欠く
米ドル/円は方向感に欠ける展開となりました。本邦の責任ある積極財政を背景とした円売りや、市場予想(711.7万件)を上回る米10月JOLTS求人件数(767.0万件)を受けた米ドル買いが支えとなり、米ドル/円は156.952円まで上昇しました。
しかしその後は、日銀の利上げペースが速まるとの思惑や、想定外にハト派となった米FOMCの結果を受けて154.946円まで下落しました。もっとも、日銀がタカ派に振り切れないとの見方も根強く、米ドル/円の下値は限定的でした。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米雇用統計:DOGEの退職プログラム終了が大きなノイズに
米FOMCを通過し、市場の注目は米雇用統計と日銀会合に移っています。今回の雇用統計は、DOGE(政府効率化省)が実施した早期退職プログラムの終了や政府機関の閉鎖といった特殊要因が重なり、数字が大きくぶれやすい点が特徴です。
■DOGEの退職プログラム終了の影響
DOGEが進めていた早期退職プログラムが9月末で終了したことで、その反動が非農業部門雇用者数(NFP)に表れる見通しです。欧州系金融機関は、政府部門だけで最大15万人の雇用減少が起こる可能性を指摘しており、民間部門を含めてもNFPがマイナスに落ち込むリスクがあります。
■政府機関閉鎖による下押し
政府機関の閉鎖により関連企業の業務が停止したことも、10月・11月の雇用指標を押し下げる要因となっています。短期的には弱い雇用統計が出やすい状況です。
■影響は一時的との見方
ただし、これらの要因は一時的とみられています。退職者の多くはすでに民間企業への転職を進めており、政府機関の再開に伴って関連企業の雇用も戻る見通しです。数カ月後には雇用が回復する可能性が高く、米ドルの下値も限定的になりやすいと考えられます。
日銀会合:中立金利と利上げペースが焦点に
日銀会合にも注目が集まっています。日銀は「円安の進行を抑えたい」という思いと、「金利の急上昇を防ぎたい」という2つの課題を同時に抱えており、難しい判断を迫られています。
政策金利の0.25%引き上げはすでに市場で織り込まれており、今回のポイントは次の2つです。
■中立金利の水準
日銀が考える中立金利について、市場は1〜2.5%の幅を想定しています。植田総裁は次回の利上げ時に中立金利の考え方を明らかにするとしており、その内容が注目されます。
高めの水準が示されれば、「今後も利上げが続く」との期待が高まり、円高方向に反応しやすくなります。
■利上げペースの見通し
米国の関税政策による企業収益への影響や、日中関係の悪化など、景気の先行きには不透明感があります。市場の一部で見込まれる「半年に1度の利上げ観測」を高めるかは微妙ですが、円安是正を考えるならタカ派なニュアンスを強く残す可能性は捨てきれません。
以上のように考えると、会合後は円安が巻き戻され下方向を攻めた後に、やっぱり高市トレードへ回帰する展開がメインシナリオになるのではないかと考えています。
調整の流れか、それとも上昇トレンドか判断分かれる(テクニカル分析)
米ドル/円は、155.00円割れでは支えられ155円半ばから後半へ直ちに戻すなど、底堅さを見せています。この流れが続くのなら、チャネル上限の159.00円を目指して下値を切り上げていくと考えます。しかし、足元の値動きが調整過程の一時的な反発との見方もでき、再度、下値を試す展開も考えられます。この場合、153.00円まで目線が下がるのではないでしょうか。個人的には、21日移動平均線がレジスタンスになり始めた点が気になり、まずは下方向を試す流れを考えています。
【米ドル/円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:USD/JPY:153.000-158.000
12/15 週のイベント:

一言コメント
19日の日銀会合は今年最後のビッグイベントと考えていますが、同日は米国株式市場で株価指数先物・株価指数オプション・個別株オプションの満期が重なる「トリプル・ウィッチング」でもあります。荒い値動きとなる可能性もあり、注意が必要です。
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