17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、高市政権の拡張的な財政政策や米利下げ観測の後退、11月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が18.7と予想の7.6を上回ったことなどで155.30円まで上昇した。ユーロドルは、米利下げ観測の後退や米経済指標の上振れを受けて1.1582ドルまで下落した。ユーロ円は180.02円まで上昇し、1999年のユーロ導入以来の高値を更新した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、本邦通貨当局による円全面安への対応策と午後3時半から予定されている高市首相と植田日銀総裁の会談に注目する展開となる。
ドル円は、本邦通貨当局の第1防衛線と警戒されてきた155円台に乗せており、第2防衛線と警戒されている160円までの間のどの水準でドル売り・円買い介入に踏み切るのかを見極めていくことになる。
片山財務相は12日に、「為替相場の動向の経済への影響はプラス面、マイナス面があるが、マイナス面が目立ってきたことは否定しない」「投機的な動向を含め、為替市場の過度な変動や無秩序な動きについて高い緊張感を持って見極めている」と述べ、マイナス面への警戒感を示していた。
三村財務官は5日に「ドル円の動きと日米の公債の金利差の推移を見ると、最近はやや乖離が見られる」「ボラティリティーの変動がファンダメンタルズに関連する要因で必ずしも説明できない場合、やや無秩序なあるいは過度な動きと言える」と述べており、神田前財務官と同様に「ボラティリティー」が円買い介入の引き金になるとの見方を示唆していた。
神田前財務官は、ボリンジャー・バンド+2σを突破した局面で円買い介入に踏み切っており、現時点でのボリンジャー・バンド+2σは、155.60円付近にある。
ドル円は、1兆円のドル売り・円買い介入でおおよそ1円の下落、すなわち5兆円ならばおおよそ5円の下落が観測されてきており、警戒しておきたい。
高市政権は物価高抑制を標榜しているが、円安の放置は輸入物価上昇を通じて、物価押し上げ要因となることで、円安抑制としての円買い介入や日銀の利上げ容認などが警戒されている。
午後3時半から予定されている高市首相と植田日銀総裁の会談では、高市首相が日銀への利上げへの慎重姿勢を緩めるのか、それとも7-9月期実質国内総生産(GDP)が6期ぶりにマイナスに転落して大型補正予算の観測が広がっていることで、利上げを抑制するのかに要注目となる。
翌日物金利スワップ(OIS)から算出した12月日銀金融政策決定会合での0.25%の利上げ確率は約3割程度まで落ち込んでいる。
また、市場筋の分析では、台湾情勢を巡り日中関係が悪化して、今後1年間に中国からの訪日客数が前年比25%減り、インバウンド消費の減少により、年間の実質GDPを0.36%程度押し下げることで、2期連続マイナス成長の可能性も出てくると指摘されている。
9時30分に発表される豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨(11月3-4日分)では、12月8-9日に予定されている年内最後のRBA理事会での金利据え置き観測を確認することになる。RBAの声明文では「慎重な姿勢を維持し、今後のデータを踏まえて見通しを更新する意向」「引き続きデータや見通し・リスク評価の変化に注視して政策判断を行う」と中立的な見解を示していた。しかし、ハウザーRBA副総裁が「金融政策は引き続き十分に引き締め的である必要がある」との見解を示すなど、ややタカ派姿勢が台頭しつつあり、議事要旨を見極めることになる。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
