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【市場概況】東京為替見通し=財政規律崩壊での負の高市トレードも円安に、RBA理事会も要注目

昨日の海外市場でドル円は、NY時間に入って米10年債利回りが上昇すると、154.30円まで上昇した。10月米ISM製造業景気指数が市場予想を下回ると154円を割り込む場面もあったが、米長期金利の低下が続かなかったこともあり下押しも限られた。ユーロドルは欧州勢の参入後からやや売りに押され、米長期金利が上昇した場面では1.1505ドルまで日通し安値を更新したが、狭いレンジからは抜け出すことはなかった。

 本日の東京時間でのドル円は、引き続き円安地合いが強いと予想する。注目は高市政権の動向であり、本日から6日まで衆参両院本会議場では所信表明演説に対する各党の代表質問が行われる。また、昨日から本日にかけて開かれる豪準備銀行(RBA)理事会が結果を発表するため、豪ドルの動きにも要注目。

 国会の注目は、高市首相が所信表明演説で示した「責任ある積極財政」の内容。プライマリーバランスの黒字化に否定的な首相は、純債務残高のGDP比引き下げ、国債の増発を目指しているとされている。現時点でも純債務残高は比較可能な84カ国で最低水準だが、首相は「債務から年金積立金を差し引く経済協力開発機構(OECD)基準」に合わせようと目論んでいる。年金積立金を債務返済に利用することはできないため財政面では非常に問題があるが、一部の調査で8割を超える政権支持率を得たことを背景に強行突破をする可能性がありそうだ。

 積極財政でのプラスの面での高市トレード(株買いとそれに連れるドル円の上昇)から、財政規律崩壊で格下げリスクなどのマイナス面の高市トレードが進んだ場合でも円売りというシナリオになり、円安がさらに進む可能性も高そうだ。

 ただ、円安の流れが急速に進んでいることに対して、日米政権がともに懸念を示していることで、両政府要人の発言には警戒したい。特に先週のベッセント米財務長官と片山財務相との会談後に、米財務省が「為替レートの過度な変動を防ぐ上で、健全な金融政策の策定とコミュニケーションが果たす重要な役割を強調した」と公表したことは気になる点だ。米政府が為替について積極的に示すことは稀であり、貿易赤字解消のためにドル高を警戒している節もある。

 これまではトリプル安を懸念して、ドル高進行についてはややトーンを弱めたトランプ政権だが、株式・債券市場共に落ち着いていることもあり、ドル安是正については年初ほど制限を設けない可能性もある。

 更に日本が半期に一度の米財務省の為替報告書で「為替操作国」に認定されることもあり得そうだ。なお、昨年の下半期の為替報告書は11月14日に公表されていることで、今月いつ公表されても不思議ではない。

 円以外では、本日は豪ドルの動きが注目される。10月は市場ではRBAの金融政策に対する予想が二転三転した。16日に発表された9月雇用統計が非常に弱く、失業率が2021年以来となる4.5%まで上昇。市場では利下げ期待が高まった。ただ、ブロックRBA総裁が「労働市場は崖から落ちることはない」と述べ、「来月再び低下する可能性がある」との予想を示すと、一転据え置き予想が優勢に。更に、29日に発表された7-9月期のCPIが予想の3.0%を上回る3.2%となり、RBAの目標バンド(2-3%)を超えると、利下げ予想は急速に低下している。

 RBAは今年に入り3回利下げしたが、9月の理事会では一旦利下げを休止しただけでなく、声明文ではハト派色が予想以上に払拭された。今回の声明文では、インフレの加速で中立からタカ派寄りの内容になるのか、それとも、失業率の悪化を懸念して中立を保つのかを確認することになるだろう。

 なお、本日は米国ではニューヨーク市、ニュージャージー州、バージニア州などで選挙が行われる。来年の中間選挙を前にして、トランプ政権に対しての一定の評価を測るうえで注目される。共和党が苦戦を強いられた場合は、トランプ政権の今後の経済政策に対しても影響を及ぼす可能性もあることで警戒したい。

(松井)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ