31日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は1085円高の52411円。米国株は下落したが、引け後に決算を発表したアマゾンやアップルが時間外で大きく上昇したことが好感されて、寄り付きから300円を超える上昇。前日の植田日銀総裁の会見を受けて円安が進行したことも、日本株買いを後押しした。
高く始まった後も上を試しにいき、早い時間に節目の52000円を突破。52300円台に乗せて上げ幅を4桁に広げたところで買いが一巡し、いったん急速に値を消した。しかし、後場に入ると改めて買いに勢いがつく展開。終盤にかけて再び上げ幅を4桁に広げると、前場の高値を上回って52400円台に乗せ、高値引けとなった。上昇率は2%を超えており、今週3度目の4桁上昇。非常に強い動きで10月を締めくくった。
東証プライムの売買代金は概算で8兆5600億円。業種別では電気・ガス、食料品、非鉄金属などが上昇した一方、輸送用機器、金属製品、医薬品などが下落した。上方修正を発表した村田製作所が後場急騰。半面、通期の利益見通しを引き下げたデンソーが大幅に下落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり971/値下がり580。好地合いの中、アドバンテストやソフトバンクグループなど主力のグロース株が大幅上昇。上方修正を発表した日立が急伸した。業績関連ではイビデンやJTなども大幅上昇。コナミグループが2桁の上昇率となり、アンリツがストップ高まで買い進まれた。今週は半導体株のストップ高が相次ぐ中、ソシオネクストが決算発表を前に思惑買いが入ってストップ高。業績関連以外では、一部メディアで新工場稼働に関する観測が報じられたテクセンドフォトマスクが急騰した。
一方、オリエンタルランド、パナソニック、日産自動車などが業績関連のリリースを材料に大幅安。失望決算銘柄は叩き売られており、下方修正を発表した日本航空電子はストップ安となった。為替市場では円安が進行したが、トヨタやホンダなど自動車株は軟調。前日ストップ高となったレーザーテックは買いが先行して3万円の節目を上回って始まったものの、引け後の決算発表を前に失速して下落で終えた。
日経平均は大幅高。4桁の上昇で高値引けというのはすさまじく強い。前場の4桁高はオーバーシュートしたようにも見え、実際、買い一巡後に値を消す場面もあった。失速感が出てくれば三連休明けの株価変動リスクを嫌って上げ幅縮小となっても不思議はないが、ひるむことなく後場に入って強含んでいる。今週はアドバンテストのストップ高が日経平均の上昇に弾みをつけたが、アドバンテスト同様にAI関連の代表格であるソフトバンクグループは11月11日に決算発表を予定している。足元のAI関連銘柄がバブルかどうかは弾けてみないと分からないが、少なくともソフトバンクグループの決算を確認する辺りまでは、AI関連に対する期待が高い状態は続きそうだ。
【来週の見通し】
堅調か。月曜が休場で立ち合いは4日。国内は引き続き決算発表が多く、米国は決算発表が終盤戦に入る。日米の中央銀行イベントや日米・米中首脳会談などを消化したことで、日本株は外部環境に振り回されることなく、個別物色に全力投球の週となるだろう。10月最終週の日経平均が派手に上昇しただけに反動は出てくるかもしれないが、押し目を待っている投資家は多いと推測される。直近で半導体株などAI関連には短期資金が集中したが、出遅れ感の強い銘柄も多い。リリースを材料にスポットライトが当たる銘柄が多くなることで物色の裾野が広がり、リスク選好ムードの強い地合いが続くと予想する。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
