29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通りに0.25%の利下げが決定されたものの、パウエルFRB議長が12月の利下げについて「既定路線というにはほど遠い」と発言したことで153.06円まで値を上げた。ユーロドルは1.1666ドルから1.1578ドルまで下落した。
本日の日銀金融政策決定会合では、政策金利の据え置きが予想されている。そのため東京外国為替市場のドル円は、15時30分から始まる植田日銀総裁の記者会見で利上げ時期を見極めることになる。また、米中首脳会談が韓国で開催予定であり、こちらの関連ヘッドラインにも警戒しておきたい。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通りに政策金利であるFF金利誘導目標が3.75-4.00%に引き下げられた。加えてバランスシート縮小の停止、すなわち量的金融引締政策(QT)の停止が決定された。しかし、パウエルFRB議長が12月の利下げについて「既定路線というにはほど遠い」と発言したことで、フェドウオッチでの12月FOMCの予想は据え置きが優勢となっている。
本日までの日銀金融政策決定会合では、「責任ある積極財政」を標榜している高市政権の誕生直後ということで、政策金利0.50%の据え置きが予想されている。注目ポイントは、利上げを主張する審議委員が先月の2名(高田委員、田村委員)からどの程度増えているのか、そして15時30分からの植田日銀総裁の記者会見での利上げ時期への言及、市場が予想している12月利上げ観測を既定路線と言及するのか否かに要注目となる。
昨日は、ベッセント米財務長官が自身のSNSに「日銀に政策余地を認めようとする日本政府の姿勢はインフレ期待を安定させ、為替レートの過度な変動を避ける鍵になる」と投稿したことで、米財務省の声明文を再確認させられたことになる。米財務省は、27日に開催された日米財務相会談に関して、「ベッセント米財務長官が、健全な金融政策の策定とコミュニケーションがインフレ期待の安定維持と為替レートの過剰な変動を防ぐ上で重要な役割を果たすことを強調した(highlighted)」との声明を公表していた。
日本政府関係者によると、ベッセント米財務長官は今年9月の日米為替共同声明の合意を守るように片山財務相に念を押したとのことである。片山財務相は「日銀による利上げを促すというようなことではなかったのではないかと思う」と言及したが、関係者は「ベッセント米財務長官の意図を理解していない」と述べている。今後もトランプ米政権からの円安抑制や利上げ圧力には警戒が必要だろう。
トランプ米政権は、日米貿易不均衡の是正を目指している。円高要因となる日銀の利上げを抑制する高市政権の経済政策は円安要因となるため、最悪の場合は対日関税率が25%程度まで引き上げられる可能性に警戒しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
