NY時間の為替市場でドル円は神経質な動きになりそうだ。通常であれば、米政府機関が一部閉鎖されていることで、多くの重要指標の発表が延期されており、ここ最近のNY市場は値動きが狭められている。ただ、本日はミシガン大調査の10月米消費者態度指数が発表され、その中での期待インフレ率の結果が市場を動意づける可能性がある。期待インフレ率は、1年先は前回同様に4.7%、5-10年先も前回と同じ3.7%になるとの予想になっている。
ただ、NY市場で動意づきにくいのは、日米の政治状況が非常に不透明なことが挙げられる。米国の政府閉鎖がすでに10日目を迎えているが、昨日も競合する法案を進める動議を否決している。上院が次に開催されるのが14日になるとされていることで、今週末も進展がない可能性が高い。
また、本邦では公明党が26年にわたって続いた自民党との連立政権から離脱したことが、より一層政局の混迷を深めている。日本時間夕刻に会見で応えた斎藤公明党は「首相指名では高市早苗と書くことはできない」と明確に高市氏への投票を否定した。臨時国会は20日以後になることは決定的だが、高市氏が首相に指名されない可能性すら出てきている。衆議院定数465議席の中で自民党議席は196議席、公明党が24議席、この220議席に維新35議席か国民民主27議席が加われば過半数(233議席)を獲得できたが、公明党が離脱したことで連立の見通しが立たなくなった。自民、維新、国民民主の大連立ではない限り過半数に達しない。
一方で野党も立憲148議席+公明24議席+国民民主27議席でも過半数には届かないなど、どのような連立が実現するかが全く読めない状況だ。現時点で首相選挙が行われた場合は1回目で過半数を獲るものがいないと思われ、上位2名の決選投票が行われるだろう。その場合はれいわ新選組9議席、共産党8議席、などがキャスティングボードを握る可能性も出てくるかもしれない。このような複雑化した政局は、日本人ですら今後の展開が読めない状況で、海外勢には更に理解ができず、一方的に円のポジションを傾けにくいだろう。高市氏が首相になれないリスク(高市トレードの終了)による株売り・円買い戻しに市場は動くのか、日本の政治的混迷を嫌気して円売りに動くのかの判断が非常に難しい状況だ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、これまでの本日高値153.27円。その上は節目の154.00円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、昨日安値152.14円。その下は8日安値151.74円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
