執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年6月20日 14時50分
ユーロ/円は上昇第5波が始動?ポンド/円は目先調整含みか
ユーロ/円・ポンド/円、ちぐはぐな展開
円安の流れからクロス円は全般的に支えられたものの、中東情勢の緊張から積極的に上値を追う動きも見られず、ユーロ/円は166.034円から167.680円、ポンド/円は194.022円から196.846円で振幅しました。方向感の乏しい展開でした。
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ユーロとポンドは対照的な動きか
ECBの利下げサイクルが終了に近づいているとの見方は、足もとのユーロを支えています。米国が9月にも利下げに踏み切る可能性がある点も、ユーロの支援材料となっています。
ただし、欧州連合(EU)と米国との通商協議や中東情勢の行方次第では、こうした見通しが変化する可能性もあり、先行きに対する不確実性は依然として高いと見られています。ユーロ上昇に対する警戒感もくすぶっており、足もとの上昇ペースの速さを背景に、いったん調整局面に差し掛かっても不思議ではありません。
先週開催された英中銀MPC(金融政策委員会)では、金利は4.25%で据え置かれました。ただし、据え置きが6票、0.25%の利下げが3票というハト派寄りの結果で、8月の利下げが意識されています。声明文では「GDP成長率は低いままで、労働市場も軟化しており、供給余剰が生じ始めた明確な兆候だ」とし、今後も利下げを続ける意向を示しています。
ECBが利下げ終了に近づいているとの見方と対照的に、ポンドは特に対ユーロで上値の重い展開が続きそうです。対ユーロでの動きが対円にも波及してくれば、ポンド/円の上値も重くなると考えられます。
ポンド/円は調整も想定(テクニカル分析)
ユーロ/円は、ボックスの上限だった166.692円を上抜けており、もう一段の上値拡大が期待されます。次に意識されるのは、昨年7月26日の高値168.015円であり、この水準を前に慎重に押し目を狙いたいところです。
ただし、エリオット波動での上昇第5波が始まったとすれば、今回の上昇の後には下降第1波が予見される可能性もあるため、168円超の水準では警戒が必要と考えられます。
また、ポンド/円は、200日移動平均線や一目均衡表の雲との位置関係を踏まえると、底堅さが感じられます。しかしながら、上方向の重さは完全には払拭されておらず、上昇の勢いが限られている点が気になります。200日線付近まで調整して値固めができた後に、戻りを試す展開となるのではないでしょうか。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:163.500-168.500
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:192.500-198.500
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一言コメント
今週もAIにウケそうなジョークを頼んだら、「人生って不公平だよな。生まれてからずっと“やり直し”ボタンないんだから。」との返答でしたが、誰にも“やり直し”ボタンはないのなら、それこそ平等なのではないだろうか。
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