執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年1月31日 13時30分
米関税発動なるか、ドル/円150円向けて下降中
米ドル/円、153円台へ低下
米ドル/円は上値の重い展開。中国企業ディープシークが低い開発コストで高性能のAIモデルを公開したことで、同分野で先行する米企業価値が損なわれるとの思いから、ハイテク関連銘柄に減価圧力が掛かると、米ドル/円はリスク回避の流れから153.712円まで下げました。その後、ベッセント米財務長官は「段階的な関税賦課を支持」と英FT紙が報じたことで、米ドル/円は156.00円直前まで戻しましたが、カナダやメキシコなどへの関税発動を控える中で、月末関連の米ドル売り・円買いフローから米ドル/円は153.787円まで下げ幅を広げました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、JPY躍進「ドル円下落続く理由は?」(2025年1月30日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米国次第で相場が上下動
トランプ大統領はカナダとメキシコについて、2月1日からの関税賦課を改めて表明しています。また、日付までは明言していませんが、中国に対しても関税を賦課する考えを示しています。カナダ・メキシコには各々25%、中国に対しては10%の関税がまずは課せられる模様です。関税の話題はこれまでもトランプ氏が公言しており、市場もリスクに対しある程度備えていると思われ、事実確認程度に留まる可能性もありますが、カナダやメキシコが報復に出て貿易摩擦が加速しないとも言いきれません。また、知的財産権を巡り米国の中国への規制強化などへの不安も燻っています。関税引き上げは輸入品価格を通じて物価上昇圧力となり、米ドルを押し上げる期待はあるものの、世界の経済成長にはマイナスに作用します。
一部報道が、代替案も検討中と報じており実際に発動されるかは分かりませんが、発動されれば投資家心理を圧迫する形でリスクムードが漂いリスク回避ムードが高まりやすい状況が続くのではないでしょうか。また、来週は米国で雇用統計が発表されます。コンファレンスボードが示す『雇用が十分』から『就職が困難』と答えた割合の差である、労働認識格差が昨年夏頃の水準へ落ち込むなど、家計調査から求められる失業率が予想以上に悪化すれば、再び米利下げ観測が強まることも考えられます。米関税策や同雇用統計のどちらも市場でネガティブ材料と受け止められれば、米ドル/円は予想以上に下落幅が広がる危険もありそうです。
200日線に向けて下降中(テクニカル分析)
米ドル/円は、153.35円付近から154.50円付近の日足一目均衡表の雲や、その下の152.80円付近には200日移動平均線が推移しており、下方向はそれなりに厚みのある支持帯が控えていることは安心材料と考えられます。しかし、上値を徐々に切り下げているチャート形状や、売りシグナル点灯中のMACD(12,26,9)を見ると上値の重さが意識されやすく、じりじりと下方向を試す展開になるのではないかと考えています。200日線を割り込んだ場合、150.00円の攻防へ視線が移っていきそうです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:151.500-156.500
2/3 週のイベント:
一言コメント
寒いからこそ運動して良い汗をかきたいですね。いつもひやあせばかいているので。
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