メキシコ中銀は0.25%利下げ
12月19日の会合でメキシコ中銀は0.25%の利下げを決定。予想通りの結果となった。ここまでメキシコ中銀は3月から利下げサイクルを開始後、5,6月は据え置いたが、8,9,11,12月と4会合連続で利下げしている。
声明文ではインフレに関して明確なダウントレンドが続いていると評価する一方で、財のインフレは低いがサービスインフレの低下は緩やかとしている。中銀はサービスインフレの低下が遅いことを懸念している模様。11月のCPIは前年同月比4.5%と10月の4.8%から低下、コアCPIは前年同月比3.6%と10月の3.8%から低下した。声明文にあるようにインフレ率の低下トレンドは続いている。一方で、中銀はインフレが3%の目標に収斂すると見込まれる時期を前回会合時の25年10~12月から26年7~9月に大幅に後ずれさせた。中銀はサービスインフレの高止まりを懸念しているようで、声明文ではリスクのバランスは引き続き上振れ方向に傾いていると警戒感を示している。それと同じく声明の中でメキシコから米国への輸入に対する関税が課される可能性が予想に対して不確実性を加えていると指摘している。関税等でペソ安が加速する場合は輸入物価の上昇を通じてインフレ率の上昇が起こる可能性が高い。そこら辺の理由が中銀がインフレ見通しを上方修正した理由であろう。
今後の金融政策に関しては、インフレの状況は金利の更なる低下を許容するだろうと述べ、この文言は前回の物と概ね一致している。それに加えてインフレ低下の進展からより大きな下方調整が一部の会合で検討される可能性があるとし、利下げ幅の拡大の可能性にも言及している。FRBの金融政策と為替の動きを見ながら調整していくのではないだろうか。
メキシコペソの投資戦略
今月のドルペソは20~20.60ペソのレンジで4月からのドルペソの上昇が一服している。メキシコの選挙制度改革やドル高の流れで今年のドルペソは大きく上昇した。トランプ次期大統領当選後の11月からは、意外と上昇幅が小さくなっている。FRBの利下げの減速、トランプ政権との貿易などの交渉などドルの上昇、ペソの下落材料はたくさんあるが、それを織り込んでいる現状でも21ペソ付近はレジスタンスになっている。短期的には20~21ペソのレンジだが20ペソを割れるようであれば19ペソ付近までドル安ペソ高になる可能性もあると思われる。
トランプ政権の対メキシコ交渉の推移もあるが、FRBの利下げペースがどうなるか、それに対してメキシコ中銀はFRBの金融政策を見ながら利下げペースを調整するのかが最大のポイントと思われる。
今年のペソ円は5月の高値9.45円付近から9月に6.99円位まで下落し、その後7.77円付近に上昇している。ドル円上昇の影響も大きいがペソ円もトランプ大統領当選以降はむしろ上昇している。中期的には7~8円のレンジの中の動きで、来年はこのレンジを抜けられるか注目している。2020年4月の安値4.2円付近から高値の9.45円の半値戻しが6.84円付近で、やはり7円割れが維持できるかは重要なポイントと思われる。短期的には7.9円付近がレジスタンスと思われ7.4~7.9円のレンジを予想する。
メキシコペソ/円 週足チャート
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新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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