中東に位置するトルコの通貨リラを取り巻く環境を分析し、トルコリラの今後の値動きを予想した。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也 X(Twitter)
10年連続下落も下落率は過去最小の見通し
トルコリラ/円相場2015年から昨年2023年まで9年連続で下落。1リラ=4.7円台で始まった今年も上昇転換は困難と見られ、このままいけば年足は10年連続の陰線となる見通しだ。ただ、12月11日の終値は4.35円付近で、これまでのところ年始からの下落率は約7.7%にとどまっている。昨年の31.9%や2018年の30.2%に比べると遥かに下落ペースは緩やかで、今年の下落率は2015年以降で最小となる可能性が高そうだ。
実質金利プラス転換が強み、景気後退懸念が弱み
リラを取り巻く環境として、今年最も大きく変わったのは、実質金利がプラスに転じたことであろう。政策金利は今年3月に50.00%へと引き上げられ、現在も同水準に据え置かれている。片やインフレ率は今年11月時点で47.09%に緩やかながらも鈍化しており、インフレの影響を除いた実質政策金利は+2.91%(50.00%-47.09%)に上昇している。この点が足元のリラ相場の下値を支えていると考えられる。なお、トルコの実質政策金利は2022年11月には-75.39%を記録していた。もっとも、実質政策金利が上昇するにつれてトルコの景気は押し下げられており、こちらはリラの重しとなっているようだ。国内総生産(GDP)は4-6月期、7-9月期と直近2四半期連続で前期比マイナスを記録。トルコ経済は定義上の景気後退(リセッション)に陥っている。来年2025年のリラ/円相場は、年足の連続陰線記録を10で止められるかが焦点となるが、トルコの景気動向もそのカギを握ることになりそうだ。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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