執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は100.74円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は90.18円前後で週初を迎えました。週末の23日にトランプ次期米大統領が次期財務長官にスコット・ベッセント氏を指名したことで、トランプ氏の掲げる減税や関税などの政策に一定の歯止めがかかるとの思惑が浮上しました。全般的にドルが売られた結果、豪ドルとNZドルは対米ドルでは上昇しましたが米ドル/円が大きく下落したことで、米ドル/円の動きにつれる形となりました。26日にはトランプ次期米大統領がメキシコやカナダに関税を課し、中国には追加関税を課すと自身のSNSで表明したことで、中国と交易関係の強い豪ドルは売りで反応。その後は、米感謝祭を控えてトランプ・トレードの巻き戻しが持ち込まれたことや、日銀が12月の金融政策決定会合で追加利上げを実施するとの思惑により、米ドル/円が一時149円台まで、豪ドル/円は97円台半ば、NZドル/円は88円台半ばまで下落する場面も見られました。(執筆時)。
豪小売売上高は堅調予想
先日公表された11月の豪中銀(RBA)理事会議事要旨では「インフレの急減速は利下げの根拠になる可能性があるが、それが持続可能であると確信するには好ましい四半期インフレ指標を複数回確認する必要がある」と指摘されていました。来週は2日に豪10月小売売上高が発表されます。豪州の家計消費は豪政府によるエネルギー料金補助や減税の恩恵や、8月は好天に恵まれたことなどもあり、良好な結果(9月は季節外れの降雨があったものの、前月から微増だった)が続いています。良好な消費動向は、消費者物価指数(CPI)の伸び率鈍化の妨げになります。そのため、豪10月小売売上高が市場予想(前月比+0.3%)を上回るようであれば、RBAの利下げへの道のりがまた少し遠退いたことを意味することになるでしょう。
また、来週は4日に豪7-9月期国内総生産(GDP)が発表されます。豪州のGDP構成比をみると個人消費は約5割となっています。7-9月期小売売上高は前期比+0.5%となっており、4-6月期の-0.4%から改善しています。そのため、市場では7-9月期GDPは前期比+0.5%と4-6月期(+0.2%)から加速を予想しています。一連の豪経済指標が強い結果を示した場合は豪ドルを下支えする要因となりそうです。
【豪小売売上高推移】
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は日足一目均衡表の雲の下抜けが視野に入っています。本日(29日)の終値ベースで雲を下抜けた場合、①転換線が基準線の下、②ローソク足が雲の下、③遅行線がローソク足の下となり、三役逆転(売りシグナル)が点灯します。その場合は、心理的な節目となる95円前後が下値目途となりそうです。その下の水準では9/11安値の93.60円前後が次の下値目途となりそうです。一方で上値は11/27高値の99.22円前後や一目転換線がひとまず意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200日移動平均線】
予想レンジ:AUD/JPY:95.00-100.00、NZD/JPY:86.00-90.00
12/2週のイベント:
12/02 (月) 06:45 NZ 10月住宅建設許可件数
12/02 (月) 09:30 豪 10月小売売上高
12/02 (月) 10:45 中国 11月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)
12/03 (火) 09:30 豪 7-9月期経常収支
12/04 (水) 09:30 豪 7-9月期四半期国内総生産(GDP)
12/04 (水) 10:45 中国 11月財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
12/05 (木) 09:30 豪 10月貿易収支
一言コメント:
冬になると家族で鍋をする機会が増えます。最近はいろいろなメーカーが鍋用スープを販売しているので、いろんな味が楽しめますね。問題は美味しすぎて食べ過ぎてしまうこと。来月の健康診断までは食べ過ぎないように気を付けます。
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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