先週末の海外市場でドル円は、11月米製造業PMI速報値は市場予想と一致したが、サービス部門と総合は予想を上回ったことで一時155.02円と日通し高値を付けた。ただ、その後発表された11月米ミシガン大学消費者態度指数確報値が予想を下回ると上昇は一服した。ユーロドルは仏・独・ユーロ圏のPMIが低調な内容となり、一時1.0335ドルと2022年11月以来2年ぶりの安値を更新した。
本日の東京時間のドル円は154円台を中心に一進一退か。日銀の12月の政策決定会合への注目度は高いが、先週末から相場の注目が欧州通貨に移りつつある。先週発表された仏・ユーロ圏・英の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想から下振れ、サービス部門については独も含めて弱い結果となった。また、ロシアとウクライナの戦火拡大、トランプ大統領の返り咲きによる財政負担増や通商摩擦再燃、ドイツの総選挙への不安など、ユーロ圏からはポジティブ要素を探すのが難しい状況だ。引き続き今週もユーロを中心とした相場展開となるだろう。
円相場に関しては、12月日銀政策決定会合で昨年のデジャヴを期待する声が強まっていることが円買い要因。先週21日の「パリ・ユーロプラスファイナンシャル・フォーラム2024」での講演で植田日銀総裁は、「今後1カ月間に発表される多くのデータや情報が政策決定会合の決定要因」と言及。先月初旬には石破自民党総裁が首相の就任直後に「経済物価が見通し通り動けば緩和の度合いを調整するが、本当にそうか見極める時間があるので丁寧にやる」という発言と比較すると、大きく見解が変わったといえる。
その間に発表された本邦の主な指標は下記の通り。
・全国CPI(コア)・・・(植田総裁の「時間がある発言」前に発表された8月分2.8%)、9月2.4%、10月2.3%。
・全国CPI(コアコア)・・・(8月2.0%)、9月2.1%、10月2.3%
・実質賃金・・・(7月0.3%)、8月-0.8%、9月-0.4%(注:9月は先週22日に-0.1%から下方修正)
・実質GDP前期比年率・・・(4-6月期2.2%)、7-9月期0.9%、(注:4-6月期分は15日に2.2%へ下方修正)となっている。
全国CPIのコアコアはやや上昇傾向にあるが、ほかの指標をみると決して利上げできる環境とは思えない。しかしながら、これらの指標にかかわらず植田日銀総裁が10月末に「時間的な余裕がある」という言葉を今後は使わないと述べたことは、ここ最近の傾向として日銀が政権の意向に忠実なことで、石破政権の意向を含め12月は利上げもしくはタカ派声明は決定事項に近いとの声もある。
結果ありきでの植田総裁発言であれば、今週29日の東京都区部CPIが少しでも強い数字となった場合は、12月にかけて本邦中長期金利が上昇過程を辿りそうだ。一方で上述のように欧州圏の景気が低迷していることが顕著で追加利下げの思惑が高まり、今週行われるNZ準備銀行(RBNZ)の理事会では大幅利下げが確定的なことを考えると、日銀と他中銀との方向性の違いがドル円の頭を抑えるだろう。
もっともドル円が円買いに一方的に傾けないのは、トランプ次期政権の主要閣僚メンバーが保守路線となることが引き続き明らかになっていること。先週22日には投資家のスコット・ベセント氏を財務長官に、23日にはアメリカファースト政策研究所CEOブルック・ロリンズ氏を農務長官に任命することを発表している。いずれも、超保守派ということもあり、根強いトランプトレードにより米金利上昇、ドル高予想が変わらないか。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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