◆対円、衆議院選挙や日銀金融政策決定会合などに注目
◆ポンド、追加利下げの思惑高まり上値が重い
◆加ドル、加中銀の政策イベントを通過しドルや円に左右
予想レンジ
ポンド円 193.50-199.50円
加ドル円 108.00-112.00円
10月28日週の展望
クロス円は来週も最近上昇が目立っているドル円次第と言えるが、米景気のソフトランディング(軟着陸)期待が高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが緩やかになるとの観測や、米大統領選が近づくなかで景気刺激に前向きなトランプ前大統領が優勢との見方がドル円の支えとなる。ただ、27日の衆議院選挙や30-31日の日銀金融政策決定会合と植田日銀総裁の会見などを受けて円が値幅を伴った動きとなる可能性に警戒。日銀会合では、金融政策の現状維持はほぼ織り込み済みだが、次回12月会合での利上げをめぐっては思惑が交錯している。
来週、英国内での経済指標は10月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値程度で、注目のイベントは予定されておらず、翌週の11月7日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策決定会合を控え、利下げ思惑の高まりがポンドの上値圧迫要因となる。16日に発表された9月消費者物価指数(CPI)が前年比1.7%と前月の2.2%から大幅に鈍化。BOEが注視するサービス価格の上昇率も4.9%と2022年5月以来の低水準となり、市場では11月会合での0.25%利下げがほぼ完全に織り込まれているほか、12月会合でも同幅の利下げ観測が高まっている。
ベイリーBOE総裁は今週、5%となお高止まりするサービス価格のインフレ率が「さらに低下する必要がある」と指摘したものの、「ディスインフレは予想以上に速い」と述べ、労働市場のデータについては「恐らく緩みつつあるが、引き続きタイトだ」との見解を示した。また、金融政策委員会(MPC)のなかでタカ派とされるグリーン委員は、「サービスインフレが最新の発表で最大のサプライズだった」としつつも、「利下げに英国の消費者がどう反応するかは不透明性がある」と指摘し、金融政策の緩和は「慎重かつ徐々に進めるアプローチを支持する」と表明した。
加ドルについては、来週、加国内では8月GDPの発表が予定されているが、今週に注目のカナダ中銀(BOC)の金融政策イベントを通過し、ドルや円の動きに左右される動きが見込まれる。BOCは今週の会合で市場予想通りに政策金利を0.50%引き下げ3.75%に決定した。マックレムBOC総裁は「インフレが目標の2%に戻ったため、より大幅な措置を講じた」とし、「経済がおおむね予想通りの動向となれば追加利下げを実施する」と再表明した。市場では今年最後となる12月会合での0.25%利下げを完全に織り込み、0.50%利下げ予想も2割超となっている。BOCが緩和姿勢を鮮明にしていることが引き続き加ドルの重しとなる。
10月21日週の回顧
米長期金利の上昇に伴ったドル高の流れが継続し、ポンドドルは1.29ドル近辺まで下押した。その後は下げ渋るも、10月英PMI速報値が予想を下回る結果となり上値の重い動きとなった。また、ドル/加ドルはBOCの大幅利下げが加ドルの重しとなるも、織り込んでいた部分も大きく反応は限られ、1.38加ドル後半で加ドル売りが一服した。対円はドル円につれる動きとなり、ポンド円は一時198円半ば、加ドル円は一時110円後半まで上値を伸ばした。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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