執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年9月13日 12時55分
140円割れトライ?三角保ち合い下振れ警戒
ドル/円年初来安値更新
中国の成長鈍化でグローバル経済の下振れが意識されたほか、米大統領選挙を巡り法人税率の引き上げを掲げるハリス副大統領が優位に立つのではとの思惑から、リスク回避的な流れが強まり、米ドル/円は140.695円まで年初来安値を更新しました。その後は、予想を上回る米消費者物価指数を受けたディスインフレペース鈍化から、米ドル/円は143.04円レベルまで戻したものの、根強い米利下げ期待もあって、すぐさま141円台へ押し戻されました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、米PPI, Jobless編「振幅相場攻略」(2024年9月12日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米FOMC後は米大統領選へ?
来週の日銀会合は、複数の政策メンバーが金融市場が不安定な状況下での引き締めに消極姿勢を示しており、恐らくノンイベントになりそうです。そのため、利下げが議論される米FOMCがメインのトピックになると思われます。そのFOMCですが、ポイントは二つ。一つ目は利下げ幅が0.25%となるのか0.5%になるのか、そして二つ目は当局の来年末までの利下げ回数見通しです。先ずは一つ目ですが、9月9日までのデータをもとにしたアトランタ連銀のGDPNowで示される第3四半期の米成長率見通しは2.5%と底堅い成長が見込まれています。また、足許のインフレ鈍化の停滞もあり、利下げ幅は0.25%に留まるとの見方が優勢です。0.5%利下げ観測もそれなりにあるものの、あくまでもリスクシナリオに留まっている状態です。
二つ目のポイントである利下げ回数見通しは、6月時点で今年の利下げ回数は2回(1回=0.25%)、来年は3回でした。3月時点では今年が3回、来年が3回でしたので、3月からは上方修正された格好です。しかも、市場では来年夏ごろまでに、9回分の利下げを見込む形になっていますので、市場とのギャップはかなり開いている状況です。当局の予想が小幅な利下げ回数に留まれば、市場の利下げ期待が剥落し米ドル/円が買い戻される余地はあるでしょう。一方で、市場の見方にFOMCの見通しが大幅に近付くようなら、米景気減速懸念も加わり米ドル/円への調整圧力が高まりやすくなりそうです。
もっとも、少し先まで見渡せば、11月の米大統領選挙の結果次第で、利下げの軌道が変化することも十分に考えられます。そのため、今FOMCで提示される見通しは大統領選挙までの暫定的なものとして扱われる可能性はあり、FOMCの見通しや見解に固執し過ぎるのも危険と感じます。個人的には、市場の根強い大幅利下げ観測から、米ドル/円が下値トライをさらに強めると見ていますが、織り込み過ぎた利下げ期待の修正から、米ドル/円買い戻しへの警戒も怠れないと考えています。
137円までの下落も(テクニカル分析)
23年の安値127.225円からの上昇幅の61.8%押しとなる140.49円レベルや、昨年末の安値140.255円を前にしては下げ渋る格好になっているものの、トライアングルフォーメーションでは下振れ警戒型の形が続いています。サポートラインの140.255円や節目の140.00円を割り込んでくれば、137円台までの下げも想定されます。早急に、144.16円付近を低下中の上値抵抗線を超えて、この流れを断ち切れるかどうか着目されます。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:137.000-144.000
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一言コメント
高齢社会対策大綱において、75歳以上の後期高齢者の医療費に関して、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討することが明記されました。現役世代の負担が少しは軽くなることは嬉しいのですが、定年近い私にとっては、すぐさま医療費の負担増が自身に返ってきそうで複雑な気持ちです。
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