「旅行」のためにメキシコペソを調べたことがきっかけでFXを始めたKENNY氏にはFXで得られる為替差益よりも大切にしていることがある。それは自分自身が決めた“マイルール”が正しいかどうかだという。KENNY氏が見つけたマイルールとは、一体どういうものなのか、ご自身の考えを聞いた。
(この記事は2020年11月26日に掲載した記事名『メキシコペソ/円一筋 KENNY氏「得られる利益よりもマイルールの正しさを見極めたい」トップトレーダーに聞く!(後編)』を一部修正したものです)
KENNY氏 プロフィール
年齢性別 :50代男性
居住地 :東京都
職業 :外資系ソフトウェア会社
FX取引歴 :約5ヵ月
FX収支 :約5ヵ月で200万円超
趣味 :バイクツーリング(愛車は30年間乗り続けているKawasaki車)
▼目次
1.レンジに合わせて売買
2.スマホのアラートとクロームブックを駆使
3.通貨の反比例関係を見極める
4.金額目標より大事なもの
5.マイルールが正しいか見極めたい
6.FXは「貴族の遊び?!」
7.失敗しても深追いしすぎない
8.FXはだれでもできる。ただし…
9.FXはフェアな投資
10.自分のルールを明確にしてやり続けること
レンジに合わせて売買
編集部:- 売買方法は、スイングトレードということになるんでしょうか?
KENNY:- うーん、レンジに合わせて売買するスタイルなので、デイトレすることもあれば、スイングすることもあります。ショートポジションを取れば、マイナスのスワップポイントですから、やはり短期売買になりますし、ロングであれば、少し長めに持てるかなと。先に話したラインをどこに引くかですよね。もちろんテクニカルチャートで引かれるラインもありますが、同時に自分の脳の中でも「直線」を引いて、チャートが交差したら、スマホが鳴るようにセットしてあります。
編集部:- 「今日はスキャルピングするぞ」という日は、ずっとスキャルピングで取引される日もあるということですね。
KENNY:- レンジが動いて「これ何回も上下するな」と思ったときはそうですね。
スマホのアラートとクロームブックを駆使
編集部:- 一日の中でFX取引に費やす時間はどのくらいですか。
KENNY:- 本業次第です。本業は裁量労働制ですから、結果を出せばよくて、時間の使い方は自由でなんです。だから、仕事以外のことを日中していても問題はありません。始めたころは、やっぱり気になって、ロンドン市場の時間からやっていましたが、今はニューヨーク市場ですかね。まあ、週末以外は16時ぐらいから23時ぐらいを基本にFX取引しています。
編集部:- 取引環境を教えてください。
KENNY:- スマートフォンとクロームブックです。クロームブックのメリットはハードが安いことに加え、開けた瞬間にOSが立ち上がってくれるのですよ。スマホで相場に変化があったことを確認したら、すぐクロームブックを立ちあげるようにしています。スマホはあくまでもアラームベースですね。相場の上がり下がりを感じて、「利確」するときにしか使いませんね。
編集部:- 必ずしも、ずっとチャートを見ているわけでもないのですね。
KENNY:- デスクで仕事中はクロームブックを立ち上げたまま仕事をしているので(笑)、よそ見程度に見ることはありますよ。必要なときは、移動中のタクシーの中でも取引やります。
通貨の反比例関係を見極める
編集部:- チャートなど、取引されるとき、画面は何枚くらい立ち上げていますか。
KENNY:- 一覧できる情報は多いに越したことはないですが、私の場合は、アメリカの石油の値段と、USD/MXN、USD/JPYチャートが見られるようにしています。私が持っているのはMXN/JPY(メキシコペソ/円)です。USD/MXN(米ドル/メキシコペソ)とMXN/JPYは、基本的には反比例の関係になると思っていますから、USD/MXNでメキシコペソが上がるかどうかを見極めて、日本円にどう跳ね返ってくるか考えます。
編集部:- 分析はいつされますか。
KENNY:- 「これはもうからないな」というときには、いったん相場を離れて、分析に入ります。
編集部:- 特に週末を分析の時間にあてているわけではないのですね。
KENNY:- そうですね。本当はやるべきなのでしょうけれど、夜の時間帯に経済指標の発表が多く、いろいろ出てしまうと、分析を超えた動きをすることが多いですよね。わざわざ週末に分析することはないですね。
金額目標より大事なもの
編集部:- 取引する通貨ペアを増やすつもりはありますか?
KENNY:- 豪ドルには興味がありますが、現時点ではメキシコペソである程度稼げていますし、メキシコに旅行しようとしているので、これを続けようと思っています。
編集部:- 今後いくら稼ぎたいという目標は定めていますか。
KENNY:- 自分の戦い方ができているか、自分のストラテジーが正しく、年度末までFXを継続できるかどうかのほうが、自分にとっては利益目標よりも大きいのです。自分が定めた「マイルール」が正しいかどうか、自分の取引を貫き通せるかどうかを試したいという気持ちを大事にしたいと思っています。
マイルールが正しいか見極めたい
編集部:- 例えば、どんなマイルールがありますか?
KENNY:- 先ほど言った「損切りは極力しない」についてですが、一般にFXでは、早めの損切りが推奨されています。しかし、私の中での「損切り」とは、負けそうだからするのではなく、自分の中で含み損があって、この含み損が気になってしまう場合には、たとえ少額であってもするべきだという考えです。それ以外は、損切りしないことが、むしろ正解だと思っています。
編集部:- 「5年後に2億円をもうける」とか「海外に家を買う」とか、そういう目標はないのですか?
KENNY:- そういうことより、自分のやり方が正しいことを証明して、安心してコンスタントに勝てるようになりたいですね。私の場合は1億円がもうかったら、全額FXの資金にしてしまう気がします(笑)。「1億円がほしい」「2億円がほしい」というよりは、本業からの給料があって、それに加えて、コンスタントに収入がプラスになればいいぐらいに思っています。大きな収益が上がることよりも、自分の理論が正しいかどうかを見極めることのほうが、優先順位が上です。まあ、のんびりやって、死ぬまでに資産が減っていなければいいですよ(笑)。
FXは「貴族の遊び?!」
編集部:- FX取引を開始されて、実際どう感じていますか?
KENNY:- ひと言で言うなら「貴族の遊び?!」ですかね(笑)。私はサラリーマンなので、そんなにお金を使うことはありませんが、例えば、海外の想像もできないぐらいのお金持ちは、「単なる遊びで動かしても、お金もうけができるかもしれないな」と、そういうことを想像しました(笑)。
編集部:- FXと出会う前の自分と、出会ってからの自分では、どちらが楽しい生活を送っていると思いますか?
KENNY:- 現在の自分のほうが、はるかに楽しいですね。そもそも国と国の金利差で利益が得られるなんて知らなかったですし、FXを通じて世界が広がったように思います。
編集部:- 世界が広がった?
KENNY:- 以前、会社で新聞の国際関係の記事を熱心に読んでいる人がいました。そういう姿を見て、「そんな情報を読んでどうするのかな」と思っていましたけれど、結局、そういう情報が、株価や通貨レートに影響していることが良くわかりました。しかも、さっき申し上げたように、事実がどうこうではなくて、それによって心を動かされ、頭を動かす人が、どのように行動するかにかかっていることも理解できました。FXをやらなかったら、経験できなかったことです。
失敗しても深追いしすぎない
編集部:- なるほど。ほかに感じたことはありますか?
KENNY:- FXで絶対負けない方法があります。それは「ポジションを持たない」ということなんです(笑)。ポジションを持たないって、FXトレーダーにとっては勇気が必要なことなのです。利益が出たら、取引したくなっちゃいますから。冷静に相場から外れるという事も時には必要だと思っています。
編集部:- 失敗したときのメンタルの修正方法でもありますね。
KENNY:- 失敗したのは自分が悪いわけですから、そこは反省をしたらいい。ただ、どうしても理由が見つからないときもある。FXには時の運や、“投機”的な意味合いもありますからね。そこは深追いしすぎないようにしています。
FXはだれでもできる。ただし…
編集部:- FXの失敗や成功を、ご友人もしくはご家族と共有されることはありますか。
KENNY:- 飲み屋で会うような仲間はいるので「最近どうですか?」程度の話はします。
編集部:- 「FXをしてみたい」と相談されたらどう答えますか?
KENNY:- FXはだれにでもできますが、すべて自分で決断すること、そして自分で責任を取ること。それでもいいと思えるのが条件ですね。やっぱり破綻するぐらい負ける可能性もあって、そのことに対して責任を負えるのであれば、FXは楽しいものではないかと思います。
FXはフェアな投資
編集部:- FXに限らず、投資のほかにもいろんな金融商品がありますが、手を広げてみたいと思われることはないですか。
KENNY:- 本当に数回だけバイナリーオプションをやってみたことあります。しかし、意味がないと思ってすぐに止めました。株式投資は、株価をだれかが操作しているとまでは言いませんが、それに近いものがあるような気がするんですね。だから自分は手を出していません。これに対してFXは非常にフェアな金融商品だと思っていますので、他の金融商品に変えるつもりはありませんね。
編集部:- メキシコ旅行という理由で、メキシコペソを選択されていますが、情報が少なくて、難易度が高いメキシコペソで利益が出せているとすれば、はるかにメジャーな米ドルはもっとやりやすいのではないですか?
KENNY:- そうかもしれないですね。ただ、FXでは新興国通貨にチャレンジしたいと思っていたので、珍しい通貨で自分の興味とリンクしたら、そういう選択になりました。
自分のルールを明確にしてやり続けること
編集部:- そういう選び方をするトレーダーには初めて会いました。すごく新鮮です。
KENNY:- 確かに米ドルは王道ですし、理論や情報も多いと思います。でも、負けたときに「みんながやっているから同じようにやって負けた」となると、自分自身に納得ができない気がします。また、メキシコペソでずっと戦っているのは、私にとって「FXがお金もうけのためだけではないのだ」という自負もあります。正直、メキシコペソの金利の高さが魅力的に映ったのは、間違いありませんが(笑)。
編集部:- 最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
KENNY:- 繰り返しになりますが、大事なことは自分を信じてやることです。あとは自分の中の投資ルールを明確にしてやり続けることですね。自分が正しいと思う方法を簡略化してルール化しています。最初のうちは、いろいろと覚えるための期間が必要だと思いますし、私も年内は目一杯に“もがいて”から、来年になったら、次を目指そうかなと思っております。
編集部:- それにしても、短時間でこれだけのことを習得することができたのは、ソフトウェア会社でお仕事をされているからでしょうか?
KENNY:- うーん、というよりも、あんまり人のことを気にしないで生きるという、もともとの性格かもしれませんね(笑)。
編集部:- 今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
PickUp編集部より
FXで素晴らしい運用成績を残されている人たちには共通の特徴があります。それは明確な自分のルールのもとに投資を行っている点です。KENNYさんがマイルールの正しさを確認し、さらに素晴らしい運用成績を残されるように期待しています。 【前半】
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