67歳からFXを始めた山内氏。同氏にとって、FXは趣味であり娯楽だ。トレード歴3年ながらテクニカル分析を駆使して、為替の変動理由を徹底的に追求したトレードに取り組む山内氏は、これまで着実に利益を獲得してきた。そこで今回は山内氏に、独自研究に基づく取引手法のエッセンスを伺った。
以下の取材記事はトレーダー個人の経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。
(この記事は2020年11月5日に掲載した記事名『不動産賃貸経営 山内氏「味代わりのFXで大成功。わずか3年で独自理論を構築」トップトレーダーに聞く!(前編)』を一部修正したものです)
山内氏 プロフィール
年齢性別 :70代男性
職業 :不動産賃貸経営
FX取引歴 :3年
トレードスタイル:デイトレード、スイングトレード
FX年間最高収支 :約5ヶ月間で300万円超
投資商品 :FX
▼目次
1.投資の入り口は製薬会社の株
2.67歳でFXをスタート
3.FXは娯楽の代わり
4.いきなり1,500万円で始めて半年間は“ウハウハ”に
5.勘でやる取引はマズいことに気付く
6.モニター8台にテクニカル指標を表示
7.素人はテクニカル
8.1回のクロスで売買は1度だけ
投資の入り口は製薬会社の株
編集部:- 投資の入り口から教えてください。
山内:- 大阪で会計事務所を経営していました。今から30年ぐらい前です。30代後半のころはかなり株をやっていました。会計事務所を始める前には、製薬会社に勤めていました。製薬会社の中で実際に働いていると、経営も株価も安定していることがよく分かりました。特に勉強しなくてもいいし、株価の“波”も気にしなくてよいので、その株を買って始めました。
編集部:- 株式投資は順調でしたか?
山内:- 小遣い程度の稼ぎで5、6年やっていましたが、そのうち仕事が忙しくなって、結局、株式投資とは実は“疎遠”になりました。
67歳でFXをスタート
編集部:- FXに出合ったのはいつですか?
山内:- 10年前に仕事からリタイアすることを決めて、大阪から故郷(の鹿児島)に引き上げてきました。戻ってきてからは、マンション経営や貸しビルなど不動産の仕事をしてきました。3年ほど前に証券会社の営業の方と話す機会があり、FXがインターネットで簡単に取引できることを教えてもらいました。「試しにやってみよう」と思い、始めることにしました。
編集部:- 本当に数年前のことなのですね。そのときFXについての知識はありましたか?
山内:- 証拠金取引(FX)は知っていましたが、実際にどのように動くかは知りませんでした。だから、あわてて勉強しました(笑)。当時67歳でしたから。
編集部:- 始めたのが67歳ですか!FXを始めるにあたり苦労はなかったですか?また、どのように勉強されたのですか?
山内:- ここは田舎ですから、書店でも投資の専門書は少ししか置いてありません。それでも10冊くらいあったので、片っ端から読み漁り、約半年間、デモトレードをやってFXを覚えました。
FXは娯楽の代わり
編集部:- FXを始めたときの目標はなんですか?
山内:- お金はないよりあったほうがいいですよね。特にそのお金で何かをしたいということはありませんでした。ただ、私は、競馬やパチンコなど、いわゆるギャンブルをまったくしませんが、FX取引はただ楽しいというか・・・。私には娯楽の代わりなのかもしれません。
編集部:- FXは楽しかったと。
山内:- 相場に「動きがある」っていうことが楽しいですし、FXを研究すること自体が凄く楽しいです。
編集部:- 取引している通貨ペアは何ですか。
山内:- いろんな通貨がありますが、世界中で最も取引されているのは米ドルですので、まず米ドルで力をつけようと考えました。今もドル/円だけをやっています。
編集部:- ユーロとか豪ドルなどはお取引なさらない?
山内:- 一番メジャーで安心感のある米ドル/円だけでいいと考えています。また、新興国などの通貨には不安があります。やっぱり心配ですから。
いきなり1,500万円で始めて半年間は“ウハウハ”に
編集部:- デモトレードから本番に移ったとき取引はうまく行きましたか?
山内:- まず1,500万円くらいを動かしてみました。始めてからの半年間は、一晩で40万円くらい儲かっていましたね(笑)。
編集部:- えっ!いきなりそんなに? 1,500万円から始められたのですか?
山内:- わずかな金額では、どうしてもやる気が出ないし、面白くないですからね。レンジ相場のところで、わずかな動きでもいいから、確実にもうかるところを狙おうと思い、レンジ相場ばっかりを狙いました。一晩に40万~50万円の利益が1週間近く続きましたよ。
勘でやる取引はマズいことに気付く
編集部:- それはすごいです!!
山内:- 「こんなに儲かるの?」って、びっくりしましたけれど、実は翌週には儲けた分がすべてなくなりました。結局、知識がまだ浅くて、「勘」に頼って取引していたんですね。
編集部:- そこで自分のやり方を見直したんですね?
山内:- 順調にスタートが切れましたが、とはいえ、半分以上は勘でやっていたので、根拠のない取引はダメなのだと反省しました。1回や2回、勘で勝負してみるのも悪くはないでしょう。ただ、年間を通しての運用となると、やはり根拠なしでは、利益をあげられません。だから、半年くらい、相場から離れて研究することにしました。
モニター8台にテクニカル指標を表示
編集部:- 研究の成果はいかがでしょうか?勘でやらないためにはどうすればいいのでしょうか?
山内:- モニター8台を使って必要なテクニカル指標を表示することにしました。
編集部:- モニター8台ですか!
山内:- そうです。まず一目均衡表を表示させます。それとボリンジャーバンド、下方にはMACDを出します。そして、売りと買いを別々に表示させたチャートモニターが2台あります。1分足で過去1日、24時間を表示させるものと、1分足、1時間足で2~3日分を表示させるものと、過去3カ月分を出すものを用意しました。このようにモニター画面をそれぞれに振り分けるんです。こうすると、今、相場が“どこ”を動いているかが、いつでも見られるようになります。月曜から土曜日の朝まで絶えず確認して、勝手な“思い込み”を防ぐようにしました。
素人はテクニカル
編集部:- わずか3年で、そこまでテクニカル分析を利用されている人はなかなかいませんよ。
山内:- 私の経験では素人はテクニカルでないとFX取引いわゆる相場に入りにくいと思います。もちろん相場が上下に変動するのは、世界経済の影響を受けていることは理解しています。ただ、イベントとの関連性を私は理解しきれていないので、やっぱりテクニカルで判断するのが分かりやすいと私は思っています。
編集部:- なるほど、テクニカル分析から導いた秘訣とはどういうものなのでしょうか?
山内:- 私が発見したことは、MACDとシグナル、ローソク足を比較すると、MACDがゴールデンクロス、デッドクロスする瞬間は、高確率でMACDの通りに動くということです。ゴールデンクロスのときには、瞬間的に高確率で上がり、デッドクロスのときには、高確率で下がるということです。ゴールデンクロスのときに、早めに買えれば、儲けは大きくなります。
編集部:- そうなんですね。でも絶対はありませんよね?
山内:- はい。問題は「だまし(テクニカルの売買サインと反対の値動きをすること)」です。それがとても難儀なんです。だまされないためには、どうしたらいいのか。そのためにRSIとストキャスティックスを使います。RSIのところで跳ねたら、“買われ過ぎ”“売られ過ぎ”ということがわかります。RSIとストキャスティクスっていうのは、だいたい同じような動きがありますよね。だから、ふたつを並べておいて、両方が同じように反応していれば、私の中では「間違いない」という結論になります。
1回のクロスで売買は1度だけ
編集部:- もう少し詳しく教えてください。
山内:- 先ほど話したMACDのゴールデンクロスですが、ゴールデンクロスのところにきたら「買い」ですよね。高確率でRSIもストキャスティングスも「買い」の70~80%以下のところで跳ね上がります。ただ、1回につき1回だけです。いったんゴールデンクロスで勝って、ある程度いったところでもストキャスティクスで見ながら「行けるかな、この辺かな」っていうところで、私は「売って」終わりにするのです。そして続けて買うことはしません。
編集部:- そこで続けないということが大事なのですね。
山内:- 実は続けたせいで、損切りする羽目になったことがあります。だから、ひとつのクロスで売買は1回と決めています。ゴールデンクロスの中で1回上がって、少しでもいいから、利益が出ればそこで決済します。次のデッドクロスがくるまで、取引はしません。デッドクロスのときは、下降トレンドになったのかっていうのがわかりにくくて、なかなか見過ごすのが難しいのですけれどね。
編集部:- 1回のクロスで1度だけ売買するというルールですね。
山内:- もうひとつ、私は一目均衡表とボリンジャーバンドは重ねて表示しています。一目均衡表って、ほとんど役に立たないでしょう(笑)。でも、基準線は役に立つんです。だから、一目均衡表では雲も参考までに表示していますが、外為どっとコムのチャートはいろいろと自分で設定をいじれるので、ラインの色を変えるのと、基準線だけを太文字にして、わかりやすくして使っています。
編集部:- ありがとうございます。自分でアレンジしているんですね?
山内:- そうです。そして、相場を見ていると、例えば、ローソク足が一目均衡表の転換線を越えて、転換線が基準線を越えたら、トレンドはそのまま上がっていきます。その一方で、ローソク足が逆に転換線を下りてきたら、下降トレンドになります。私が言いたいのは、エンベロープだけではわからないところを、複数のテクニカルチャートを重ねて表示することで補足するんです。
編集部:- チャートの機能を使いこなしていますね!
山内:- ええ、せっかく使う以上は、使いこなさないといけないので、いろいろ自分で考えて試しているところです。まだ自分の中では納得できていないので、インタビューのお話をいただいたときは、「引き受けるのは、ちょっと早いのではないか」と思ったのですが・・・
編集部:- いえいえ、短期間でそこまで使いこなしている人はなかなかいないと思います。ありがとうございます。
(後編に続く)
PickUp編集部より
FXの取引には、必ず「根拠」がなければならないと力説する山内氏。わずか3年という期間で、いくつものテクニカル分析を使いこなし、多角的に売買を判断し、素晴らしい成績を残しています。日々、研究を続けることがトップトレーダーへの近道であることを証明しているようです。後半でも取引手法の要点、毎日の過ごし方などを伺いました。
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