大学中退後、就職せずにパチプロとなり、10年後FX専業トレーダーになった、ためため氏。パチンコで蓄えた約800万円の元手を2年半ですべて失い、相場からの撤退の危機に陥ったとき、貴金属を質屋に入れる等で100万円の現金を作り、助け舟を出してくれたのは妻だった。妻と育児を分担しながら、ためため氏の快進撃は続き、わずか数年で年間1億3000万円の利益を上げるほどに成長する。なぜ彼は逆境に立ち向かい"億トレ"になることができたのか。ためため氏のドラマに迫りました。
以下の取材記事はトレーダー個人の経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。
(この記事は2019年8月15日に掲載した記事名『将来を思い描くより、今を必死に生きる「妻との子育ての約束を守りながら、"億トレ"になった男」トップトレーダーに聞く!(後編)』を一部修正したものです)
ためため氏 プロフィール
年齢性別 :40代男性
取引歴 :約10年
年間収支 :約1億円
取引スタイル:デイトレード
投資商品 :FX
エントリー先っちょ全力、ドテンドテンドテンで7000万円を失う
- PickUp編集部:
- 昨年は1億7000万円の利益が出ていたのに、最後で7千万円もやられたそうですが、負けたときの話をもう少し聞かせてください。
- ためため氏:
- 負けるときは、自分の悪いクセが出まくるんです。「エントリー先っちょ全力、ドテンドテンドテン」の繰り返しです。高いところで全力ロング。底で全力ショート。それを繰り返してしまうんです。
- PickUp編集部:
- やることが次々と裏目に出ると。
- ためため氏:
- それで雪だるま式です。負けたのを取り返そうと、全力で、どんどんどんどんとやるわけです。あのときは、4000枚入れてから負けた。そのあと、気持ちを引きずって、年を越す前までに7000万円負けたんです。
- PickUp編集部:
- そんなときのメンタルはどういう状態ですか?
- ためため氏:
- すでに1億7000万円勝っていましたので、それは幸せだなと思いました。7000万円負けても、まだ1億円が残っているわけですから。「今年は2億円にいけるかな」と、2億円を目指して頑張っていたんですが、1億円になっちゃった。「まあ、それでもよし」と思うことにしました。
順張りか逆張りか、それよりもボラティリティが問題だ
- PickUp編集部:
- トレード仲間と付き合いが深いようですね。
- ためため氏:
- トレードはひとりでやるよりも、みんなでやっているほうが、メンタル面ではいいと思います。トレードを開始するまでの待ち時間で雑談や、情報共有ができます。また、負けてしまったときは、みんなで愚痴り合うことで、メンタルを落ち着かせることもできます。プラスの面がとても多いと思います。
- PickUp編集部:
- スキャルピングのエントリーとしては、「順張り」と「逆張り」のどちらが得意ですか?
- ためため氏:
- 「順張り」のほうが利は「のる」と思いますが、「逆張り」のほうが、リスクは少ないかな。僕の場合、逆張りはレートを決めて入ります。そのレートで、自分の予想と違ったら、すぐに切ります。飛んでいくような動きじゃなかったら1~2pipsで切ります。リスクは少ないし、相場が一瞬で反応したら、すぐに利食えますから。順張りの振り幅は大きいですけれども、負けるときがデカい。切らないといけないところまで、ちょっと遠かったり、一般のトレーダーが「押し目買い」を狙うようなポイントは、押し目が入らなかった時にスピードが上がったりするので、逃げ遅れたときはリスクが高くなります。
- PickUp編集部:
- 最近、スキャルパーの人が勝ちにくい相場になっているようですが、それでも、ためためさんは負けた年がありませんね。それは年々変化する相場に自分をアジャストできているということなのでしょうか?
- ためため氏:
- ボラティリティのモメンタム(勢い)が年々なくなっているように思います。今年の1月、2月もひどかったじゃないですか。縦に動かない。そこの"フィルタリング"が大事になっているんじゃないですか。見るところは変わっていませんが、フィルタリングが変わってきている。
- PickUp編集部:
- 動かない相場で、相場から去ってしまったトレード仲間はいませんか?
- ためため氏:
- 僕のまわりではいませんね。ただ、苦労している人は多いです。今年稼げない一番の理由は"ボラ"ですよ。1月の2週目まではありましたが、3週目からは全然勝てなくなりました。年初で2000万円負けて、その後、取り返しましたが、2月はダメでした。私の場合、その前月にあたる12月に、7000万円をドローダウンしているんで、メンタル的な影響が大いに出ているかもしれません。
- PickUp編集部:
- ボラティリティという観点では、ブレグジットということもあり、3月はポンドが動いていますが、ポンドで取引するつもりはないんですか?
- ためため氏:
- ないです。「行ってみようかな」というタイミングはあったのですが、別にポンドに行きたいわけじゃないんです。行かなくてもいいなら、行きたくない。行くなら、ずっと行き続けたい。やり続けたい。しかし、ポンドはヘッドライン相場的なところがあって、ずっと動いているわけではないでしょ。2016年のブレグジットの国民投票のときは、ずっと相場が動いていたので、長い間、取引ができましたが、今回はそういうわけでもなさそうです。
- PickUp編集部:
- 行くからには、ずっと研究しないといけないから、相場がどうなるかを見定める必要があるということですね。
- ためため氏:
- 例えば、そこで10pipsあるとするじゃないですか。そこで、その日にポンドを触ると、pipsの重みが全然違うんですね。頑張って取った10pipsが2pipsぐらいの意味になるわけです。
- PickUp編集部:
- 動きがないときにはトレードしないということですか?
- ためため氏:
- 動きがないときにトレードをしたらダメだと思います。ただ、最初から動きがない状態で、チャートを見たら嫌になりますが、動いている状態から、なくなる分には「負け」やすい。
- PickUp編集部:
- 動きがなくなる前に、利益確定するのがいいということですね。
- ためため氏:
- 「今までと同じだ」と思って、まだ動くと予想し、ポジションを持ったら、「あれっ、動かなくなって(チャートが)横になったぞ」というのがあります。縦にさえ動いてくれたら、負けても取り返せますが、動かなくなったら、もう手も足も出ないですよね。
これがFXの魅力だ
- PickUp編集部:
- ほかの金融商品に投資していますか?
- ためため氏:
- 今はFX一本です。ただ、やってみたい気持ちはあります。仮想通貨はみんながやっているから、ちょっとだけ試してみましたが、インターフェイスが悪かったのと、税金面でメリットがなかったので、もうやめました。もし、僕がチャレンジャーの時代に出合っていたら、やっていたでしょうね。仮想通貨が登場したときには、もうある程度の資産を持っていたので、「別にリスクを背負わなくていいや」と思ってしまった。ただ、同じようにFXで成功していた人間が、仮想通貨でも成功しているところを見ると、「やっぱり私もやるべきだったのでは?」と、少し後悔する気持ちもあります。多少、税金を持って行かれたとしても、その分は稼げればいいわけですから。知り合いに仮想通貨で2億~3億円勝っている人がいますが、FXや株と比べたら、利益を上げ易いみたいです。
- PickUp編集部:
- FXの魅力って何でしょうか?
- ためため氏:
- 株と違って、いつでも逃げられることでしょう。株の怖いところは、逃げられなくなるところですよ。株は取引時間が短いですが、余った時間に、ものすごく研究しないといけないですよね。FXは研究というよりも、チャートと経験の「総和」です。
- PickUp編集部:
- 後輩トレーダーに言いたいことはありますか?
- ためため氏:
- 変な言い方をすると、早く「養分」になってください。「業界」が潤います。(笑)
- PickUp編集部:
- どういうことですか?
- ためため氏:
- 「やめたほうがいいですよ」ってことです。FXは楽に稼げる商売じゃないですから。そういう意味で「養分になりなさい」という言葉を使いました。「負けろ」って思っているなんて、本気にしないでくださいね。(笑)だから、私は友人にFXは勧めませんね。本当に難しいと思うからです。ただ、若い人なら可能性もあるし、頭脳も体力も優れているでしょう。そう考えると、かなり高齢になってから、スキャルピングのようなトレードはきついと思いますね。徹夜ができて、研究熱心な20代と戦うわけですから。これはかなりきついですよ。僕ら世代のアドバンテージは、もはや経験値だけです。経験値が少ない高齢者が、専業でやるのは、本当に大変だと思いますね。
将来を思い描くより、今を必死に生きる
- PickUp編集部:
- 「これぐらい稼げたら満足だ」という目標は、設定していますか?
- ためため氏:
- してないですね。逆にみなさん設定しているんですか?
- PickUp編集部:
- 例えば、10億円貯めたら遊んで暮らすという方もいるようです。
- ためため氏:
- それは10億持っていないから、そう言うんです。10億円を持ったら、また違う目標が出てきます。だから僕はゴールを決めていません。お金は実際に持ってみないとわからないです。
- PickUp編集部:
- それでは、ためためさんがトレードを辞めることは考えていないということですね。
- ためため氏:
- 10億円以上の資産ができて、そのうち何億円かを運用しても、10%くらい利回り出せないとなかなか生活が成立しないでしょう。
- PickUp編集部:
- 例えば、自分が50代になったときに、どんな取引しているかのイメージはありますか?
- ためため氏:
- 毎年、生き残っていけるように、自分が進化しないといけない。そうしないと自分が相場から消えていくだけですから。将来の目標よりも、そっちのことで頭がいっぱいです。(笑)
PickUp編集部:
ためため氏クラスの"億トレ"になっても、生き残っていけるように、自分を進化させ続けなければならない。そのことで頭がいっぱいという最後の言葉が非常に印象的でした。苦しいときに助けてくれた奥様のためにも、子育てに協力しながら、FXで少しずつ資金を増やして、子どもから手離れしたところで、今度は大きく資産を育てることに成功したためため氏の手腕には脱帽です。
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パチプロからFXトレーダーへ「妻との子育ての約束を守りながら、"億トレ"になった男」トップトレーダーに聞く!(前編)
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