マット今井「トレーディングのつぼ」バックナンバー

第136回 “ジムロジャーズの教え” (2007/06/05)

先日、私が尊敬してやまないジムロジャーズ氏の「娘に贈る12の言葉」という本を読んだ。非常に簡単な本で1時間ほどで読み終えてしまう内容だが、示唆的で重要なことが沢山書いてあったので、今週はこのご紹介をしたい。内容は12項目に分かれている。それぞれの項目について、自分なりのコメントをつけたい。

1. 他者に流されてはいけない。
ここで彼は自分で判断することの重要性を説いている。彼自身も若い頃、人にこれは儲かると薦められてことごとく損をしたそうだ。実は私も、ここ数年人に薦められて株や出資はことごとく失敗した。あの人が言うから大丈夫だろうと自分でよく調べもしないで投資し、後で決算書を見て唖然とするという愚かな投資であった。この人のことを信じよう」という気持ちは大事だが、やはり自分の頭の中でしっかり納得した上で投資するべきである。

2. 大好きなことに情熱のすべてを注ぎなさい。
  「成功と失敗の分岐点それは細部への注意力だ」或るとき投資を始めると簡単に儲かってしまった。所謂ビギナーズラックである。しかし、それはおそらくたまたま非常に簡単な相場にあたったのであろう。ここで相場を舐めてしまい、ろくに勉強もしなくなる。そうなると、しばらくはそのやり方でうまくいっても、いつか大失敗をする。簡単な相場は永遠には続かないからである。

3. 常識はそれほど常識ではない。
「常識はほとんど間違っている」「従うべき常識、従っていけない常識を見極めなさい」専門家が言っているからといって、それに安易に従わない。大概はいい加減であるからである。その人の考え方などに共鳴できればそれは受け入れ、そうでなければ、ゴミ箱に捨てれば良いと思う。

4. 世界を自分で見ておいで。
新聞等で見聞きする知識はいい加減なものが多い。現場を見るのがもっとも確実であるという彼の意見は正しい。しかし、我々はそこまで余裕がないので、理想は理想として聞いておくしかない。

5. 哲学を、つまり「考える」ということを学びなさい。
これは、私が強調したいことの1つでもある。トレードも最終的には儲けることが目的あるが、自分で考え、それに従って行動し、そして稼ぐ、これが王道だと思う。逆にいえばそこに投資の面白さがあります。単なるお金儲けではなく、知的ゲームとして投資に接して欲しいと思います。

6. 中国の時代、中国語を身につけてほしい。
この章の中でジムは「世界に今起こっている大きな変化に注目しなさい」と言っている。彼はこれから中国の時代がくることは必然であり。娘の時代には中国が話せることがとても価値があることになると考えている。今となっては、もう世の中が騒ぎ始めているので陳腐であるが、彼はこれをずっと前から言っていた。これからの世界経済は中国を中心に考える必要があるとの意見には、私も同感である。

7. 歴史を学びなさい。
「大局をつかむこと」「歴史を学べば何が価格を動かすのかが見えてくる」 「一見、目新しいことそれは歴史の中で繰り返し起きている」 どの言葉を見ても含蓄がある。市場というものは後で振り返ると非常に理屈どおりに動いているものである。それはいつの時代でも共通である。自分の今いる世の中が、歴史の流れの中でどういう位置にあるのかを知るという客観的な見方を身につける必要がある。

8. 汝自らを知ること。
「人は群集心理に駆られやすい」「パニックを起こさない心理学を学ぶ」これは自分自身を見失わないようにというアドバイスである。相場は時々ファンダメンタルズ(或いは需給)から乖離して動くときがあり、それは往々にしてパニックなどの感情によって引き起こされる。こうした騒ぎに巻き込まれないよう、常に第三者的に物事を見る力が必要である。「ヒステリーを売る」 ジムはチャートを使った取引を滅多にやらないが、市場の動きにヒステリーが観測されたときには、相場の逆に打って出ることがある。所謂行き過ぎ(オーバーシュート)の場合である。非常に有効なチャートの使い方の1つであると思う。トレンド、方向はファンダメンタルズ、行き過ぎなどの現象はチャートでみる。

9. 変化を捉え、そして受け入れなさい。
「すべては変化していく」「変化は触媒になりうる」「需給の原理を覆したものはいない」 投資家は変化に対して反応する。そしてトレンドができる。相場の世界はいつも同じである。どこが変化しそうか、どう変化しそうかを考えることが投資を考えることである。また、相場を予想するということは、需給を予想することである。為替相場で言えば、投資資金がどの通貨(国)からどの通貨(国)に流れるのかを考えることである。

10. 未来を見つめなさい。
「滅び行くものに賭けてはいけない」これから、長期に渡って伸びていくものを見極める見識が必要であるということである。これは、日常生活においても同じかもしれない。私のように明らかに衰退すると思われる「剣道」をやり続けていることは、経済学的に考えればマイナスであろう。(自分の趣味なので問題はないが)

11. 大衆に逆らいなさい。
見向きもされないものに目を向けなさい」これは非常に正しいが、誰でもできることではないので、そういうものだと理解する程度にしておこう。「確実に儲かるなんてことはない」確実に儲かる、100%儲かるといっているものほど胡散臭いものはない。投資に絶対はないことを肝に銘じておく必要がある。「願望だけで物事を見てはいけない」自分があるもの(通貨)を買っていると、上がってほしいという願望が目を曇らせてしまう。常に客観的に物事を見るという姿勢を持っておきたい。

12. 幸運の女神は努力を続けた者に微笑む。
「おごり高ぶると真実は見えなくなる」世の中には、非常に簡単な相場のときがある。そういう相場に偶然出くわせたとき、なんだかわからないがどんどん儲かってしまう時期がある。こういう時期は自称「天才投資家」が巷に溢れ返る。ただ残念ながら、こうした簡単な相場はその流れが終わるときに大きな悲劇を生む。過信して過剰投資をした者が、財産をなくすまで、投資し続けるからである。バブルのときがそうであった。途中までは、誰でも株や不動産を買っていれば、簡単に儲けられる時期が何年か続いた。しかし、その後バブルが弾けたとき、多くの人がそれまで儲けた分、或いはそれ以上の損失を出した。今は円を売っていれば、誰でも儲けられる相場が続いている。ここで驕ってはいけない。いつか円高相場が必ずくる。常に相場に対して謙虚でいることが長く成功する一番の秘訣である。

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