直言・直筆。
先週の独り言でドル・円は下げるべくして下げた、と述べたがまだ予断は許さない。
昨日GI24.に投稿した直言・直筆をご披露します。
“嫌な予感。” 3.2.2014.
新興国(インド、インドネシア、ブラジル、トルコ、南アフリカ、アルゼンチン)市場の不安が高まって世界的に株価が下落し、リスク・オフ時に起こる円買いがドル・円相場を押し下げ、またクロス・ベースでも円高傾向が顕著である。
先週ドル・円相場は高値103.43から安値101.74まで約1.6%円高となり、ユーロ・円、ポンド・円、豪ドル・円、NZドル・円もそれぞれ約2.7%、2.3%、2.9%、そして3.8%の円高となり、ある意味円の独歩高と言ってもおかしくはない状況となった。
クロスに比べてドルに対する円高度が低いが、これは我が国個人投資家の逆張り取引(ドルが下がればドルを買う。)が旺盛となり、ドルの下落につれて大量のドル買いが起きたことによる。
下は1月29日付のドル・円相場(黒い線で102.26であった。)と個人投資家のドルの買い持ち残高(赤い線で約121億ドルであった。)を表しているが、前者は先々週の104.51から円高が進み、後者は先々週の約69億ドルからほぼ倍増した。
(上のチャート参照)
これは今までの最大規模のドルの買い持ち残高に匹敵する。
先週も紹介したが、我が国個人投資家とは全く逆の順張り取引(ドルが下がればドルを売る。)を行うシカゴ・IMM.の投機筋は6周連続して円の売り持ちポジションを減少させ(ドルを売って、円を買い戻す。),先週1月28日付で86,192枚(約106億ドル相当)の円の売り越しとなった。
(下のチャート参照)
この二つのチャートを見て感じるのは、
‐我が国個人投資家は中・長期的なドル高&円安の相場観に自信を持っており、早急にドル売り&円買いの損切り行動に出るとは思えないものの、彼らのドル買い余力は相当減退しており、100円を切る様な状況になってもドル下落の歯止めとはならない。
‐シカゴ・IMM.は6週連続して円の売り持ちポジションを減少さえたとは言え、依然として約100億ドル近いドルの買い持ち&円の売り持ちポジションを保持しており、新興国市場の状況のさらなる悪化、或いはアベノミクスに対する評価の後退などを察知すればさらなるポジション調整、言い換えればドル売り&円買いを進める可能性は有る。
である。
相場が急激に変動する際には、市場のコンセンサス方向(依然として多くがドル高&円安になると信じている。)には行かない。
言い換えれば、何かが起きても急激な円安は無い。
相場が急激に変動する際には、ポジションの巻き戻しが起きる筈で、当然ドル売り&円買いが起きて、急激な円高は起こり得る。
その場合はレベルは関係無い。
他の通貨に対する円高度の低いドル・円相場は、短期的には要注意であろう。

酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表
酒匂 隆雄 (さこう たかお)氏
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で敏腕ディーラーとして外国為替業務に従事。その後1992年、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行、さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長に就任した。現在はコメンテーターとしても活躍中。
最新の記事
カテゴリー一覧
- ゴルフ
- ワイン
- 車
- 今週の独り言 (毎週月曜更新)
コメント一覧
コメント3件直言は毎回熟読してもう7年目です。有難う御座います。
未だに円買いポジションを持たないように大手行のディーラーの方々はお上様に監視されているのでしょうか。
アベノミクスと新興国高成長、瓦解ミックス下げ相場でしょうか。株が反発するきっかけがなさそうですが、都知事選も波乱要因そうですね。
投稿者:仁和加 | 2014年2月 4日 15:25
こんにちは
いつも参考にさせていただいています。
当方は個人でお粗末なブログを書いていますが、リンク集に入れさせていただきました。
よろしくお願いします。
投稿者:西川氏 | 2014年2月 4日 18:05
読者の中にもブログをおやりになる方がいらっしゃるのですね。
実を言いますと、私もこっそりとブログを立ち上げていました。
まだまだ不十分な内容ですので、ブログ名は明かしませんが、いつか皆さんにも見ていただけるようになればいいなと思っています。
先ほど、塾長にメールをお送りしました。
ブログのアドレスを書きました。
アドバイスをいただければ幸いです。
投稿者:松 | 2014年2月 5日 12:40